「肩こり・頭痛がひどくてマッサージをしてもらうんですが、その時はイイけど、次の日さらにコリがひどくなっているんです・・・」

「はじめは軽くマッサージしてもらっていたんですが、最近はかなり強く揉んでもらわないと効かないんです・・・痛くないと物足りなくて・・・」

と言う患者さんが最近増加しています。
肩こり・頭痛・腰痛などの治療・改善目的でのマッサージは症状を悪化させる危険性が有ります。また、強いマッサージは悪刺激が神経・筋肉を鈍感にし、「コリの悪循環」を生み出してしまいます。悪循環を断ち切らないと、将来、重度の肩こり・頭痛・腰痛が慢性化になり自然治癒力が低下した状態が日常化してしまいます。

マッサージはケア(予防・手入れ)であり、
キュア(治療)ではないのです!!

「次の日、コリが戻るんです・・・」
最近、この様な訴えをされる、女性の患者さんが増加しています。肩こり・頭痛・腰痛改善目的でマッサージを受けたけれど、次の日はコリが戻ってしまっている人、さらには、ますますひどいコリになっている人。などです。また、初めは軽くマッサージしてもらっていたが、続けていたら、軽い刺激では物足りなくなり、今では、肘や親指で力一杯揉んだり、押してもらわないと全然、効いた気がしない。という方々です。

簡単に言えば、「マッサージを受けてもいい人」、「悪い人」がいるということです。受けてもいい人というのは、もともと、ハッキリした肩こり・頭痛・腰痛の自覚症状が無く、1日の仕事が終わった時に、肩や背中、腰の辺りが、「疲れたなァ、筋肉が張ったなァ」、と感じる程度の人たちで、一晩寝ると、次の日には、だいたい疲れが取れているような人達です。つまり、「疲れても一晩寝れば疲れが取れる人
。この様な人たちは、休日や仕事帰りに「ボディ・ケア」としてのマッサージは効果的です。スポーツの試合後・練習後のマッサージと同じ意味です。あくまでも、疲労を溜めない為の予防的な意味でのマッサージです。

この反対に、マッサージを受けると逆効果の人は、もともと、ハッキリした肩こり・頭痛・腰痛、最悪なのは,手足のしびれ感やムチウチ、重度の生理痛・生理不順がある人などです。何年も症状が継続し、整形外科も受診し、さらに、何ヶ所か整体院、整骨院も行きました・・・。という人はさらに適応外です。
これらの、症状を治療・改善目的でマッサージを受けている人は、将来的に症状が悪化する危険性があるということを自覚しながら、マッサージを受けないと大変なことになってしまう恐れが有ります。

おそらく、マッサージ中に施術者から「右の首がコッてますね」「左の背骨の横の筋肉が張ってますね」といわれ、そこの部分を、グリグリ・ゴリゴリと集中的に押されたり、揉まれたりしたのではないでしょうか?実は、このマッサージ自体がさらなる
コリと、マッサージの悪循環を生む原因なのです。

「筋肉がコッテいるから揉む」、「筋肉が張っているから、親指で押す」、という単純な考えでは、慢性化した肩こり・頭痛は改善よりも悪化してしまう可能性が高くなるのです。おそらく、この文章を読んでおられる方は、自分の実体験として、経験されているのではないでしょうか?マッサージを受けたんだから、良くなるはず、と思い込んでいる人も大勢います

次の日コリが戻るのは、あなたの身体に問題があるのではなく、マッサージの方法が間違っている。という事実を認識する必要があると思います。

確かに、筋肉は背骨を中心にして左右で、コリや張り方がことなります。しかし、ここで大事なのはコリや張りを機械的にもみほぐす事ではなく、なぜコリや張りが出来たのかという根本原因を突き止めないと、根本的な肩こり・頭痛の改善は不可能なのです。筋肉の張りやコリにはそれぞれ必ず理由があるのです。さらにいえば、「ほぐしていいコリ」と
「ほぐしてはいけないコリ」が存在しているのです。ほぐしてはいけないコリを無理やりほぐしてしまうと、さらに強いコリとなって戻ってきてしまいます。これは、筋生理学、神経生理学で説明することが出来ます。

筋肉の弱い部分を硬くして、支える手助けをしている「コリ」も有るのです。例えば細いスラッとした首の女性が、一日中事務仕事などで座っていれば、重力に対して頭を支えななければならない為に首の筋肉を硬くして支えようと、筋肉なりに工夫します。首が凝る、肩が凝るという状態は、疲労という意味が強いですが、「硬くして支える」という側面もあるのです。筋肉もガンバッテいるのです

「強くないと物足りなくて・・・」
徐々にマッサージの加減が強くなってきている人も、将来的に要注意と言わざるを得ません。筋肉がコッテいるから揉みほぐすという行為を繰り返して行なうと、徐々にコリは強く、頑固になってきます。

これは、トレーニング原則の恒常性・適応性にあたります。簡単に言えば、「身体が刺激に慣れる」ということです。スポーツ選手も過酷な走りこみや練習を繰り返し、身体をその競技に慣れさせます。はじめは10分で疲れていたが、走り込みをすることで、30分平気に動ける。ということも「慣れ」のひとつの例に挙げられます。
 
つまり、はじめは軽く揉んでもらって、満足していたけれど、今までの刺激に慣れが生じると、次第にさらなる強い刺激を求めてしまうということなのです。これが、マッサージの悪循環の始まりになるのです。

筋肉のコリや張りは、言い換えれば、筋肉内の血行が悪くなって、その場所が硬くなった状態ともいえます。だから、揉んだり、押したりして血液の流れを良くしよう。というのが基本的なマッサージの考えですが、これらは、本来軽い刺激だけで充分なのです。

強い刺激で揉みほぐすと、筋組織内の毛細血管が傷つき、内出血をおこしてしまします。内出血により、筋肉内に停滞していた血液が散らばり、コリがほぐれたような錯覚(マッサージ直後の爽快感)がおとずれますが、これは一時的で、内出血が修復され始めると、さらなるコリとなって戻ってくるのです。今度は以前よりも強力になって・・・。

皆さんもご存知にのように、筋力トレーニングも重いダンベルなどを、何回も持ち上げ、いったん筋組織を破壊します。そして、食物で栄養を取り、休息すると以前より強い筋肉に再生されます。筋組織の破壊と再生を繰り返し筋肉は強くなっていくのです。
 お気づきのように、マッサージの悪循環もこれと同じ理由なのです。軽い刺激では物足りなく、どんどん強い刺激が欲しくなる。これに伴い、不快症状、コリの状態もどんどん、ますます強くなっていくのです。

筋肉のコリや張りには原因があるので、それを無視して、強い刺激で筋肉を揉み解しても、根本原因が解決されていないから、また元に戻る。また、強い刺激に慣れた人は、「痛いくらいがちょうどいい」
とも話されます。本来は生理学的には「痛み」とは身体の防御システムの最重要なものです。

過度の「痛み」が「気持ちいい」という身体の状態は、身体システム上「異常な状態」ともいえます。他の動物は痛み刺激に対し「逃避」をみせます。つまり、
「痛いものは良くないもの」と避ける、無意識の反応です。この「痛み」→「逃げる」という反応が、「痛み・強い刺激」→「気持ちいい」という感覚は肩こり・頭痛・腰痛の改善には、良い結果に繋がりません。むしろ、症状の改善を遅らせる、阻害因子(邪魔する原因)になってしますのです。

このヘンテコリンな状態は結果的に、自分で自分の病気を治す力、「自然治癒力の低下」に直接関係してしまいます。実際、強いマッサージに慣れた人が、いよいよ症状がひどくなり、当院を来院されますが、この様な「痛み大好き」タイプの人の身体は、おしなべて自然治癒力が低下しており、
平均的に症状改善まで時間がかかります。

「筋肉も悲しんでいる???」
この様な人の、首や背中の筋肉は悲しいことに、ちょっと触れただけでも無意識にキュッと収縮し、硬くなります。まるで強い刺激から防御するように。「触られる→強く揉まれる→内出血」と筋肉が記憶してしまったために、筋肉も自分自身を防御するのではないのでしょうか。マッサージを受ける当の本人は、筋肉のコリをほぐそうと、せっせとマッサージサロンに通いますが、しかし、筋肉自体は無意識にキュッと防御反応を示し、強い刺激に耐えている・・・。という、ヘンテコリンな状態がマッサージの悪循環なのです。

この様なケースの場合、先ずはじめに、筋肉の無意識のキュッという防御(?)反応を無くすことからはじめないといけないのです。
強烈マッサージでいじめられ、頑固になった、筋肉の機嫌を直すことから始めないと、その後の、根本的な症状改善には進めないのです。
親の仇(カタキ)、憎っくき奴とグイグイ・ゴリゴリ押したり揉んだりしていると、筋肉はホントに頑固・偏屈になってしまいます。一日も早く、筋肉の無言のメッセージを受け取り、本来の意味での、
ご褒美的なボディケアをご自分の筋肉にプレゼントしてください。
 
ここで伝えたいのは、マッサージが悪いというのではなく、マッサージに適応する身体かどうか・・ということです。マッサージは優れたボディケアの方法であり、全世界で地域により様々な方法が伝えられてきました。しかし、その使い方を間違えるということが問題なのであり、施術する側もこのことを理解しないで行なうことは、危険な行為であるということです。行なう側(施術者・セラピスト)としては、評価学、解剖生理学(特に筋生理学・運動生理学・神経生理学)、解剖実験、臨床経験をしっかり積んでマッサージを行なってもらいたいと思います。「たかがマッサージでしょ」では済まされないのです。アルバイト・パート感覚で行なうには、危険性をはらんでいるのです。

自分の行なったマッサージで、症状が悪化し、患者さんが社会生活に支障を及ぼす。と考えたら、行なう側はそれなりの勉強は必要だと思いますが、いかがでしょうか?。