原ちゃりツーリングのすすめ980312〜

原ちゃり、すなわち原動機付自転車は、バイクと自転車の中間に位置するかも知れない。小型、中型以上のバイクは実技試験があるのに、原ちゃりの場合は、ペーパー試験のみ、もしくは車の免許におまけで付いてくる。乗るときの服装も、ラフな格好になりがち(わたしの場合)。

ちなみに私は21歳のときに原付免許を取った。それ以来、色々なシーンで愛用している。今も新宿の実家に置いてある原ちゃりは、ヤマハのBW’Sという、いまは発売されていないがタイヤの太い、ヘッドライトの大きな、オフロードタイプにみえる車種である。

これを使ったツーリングで一番面白かったのは、やはり大島や三宅島などにこれ持参で上陸したときのことだろう。いまでも、東海汽船では原付なら格安で船内持ち込みできる(東京ー大島2000〜3000円くらい)。そのことを知ったわたしはある日新宿から小田原まで原付で行くのに、伊豆大島経由、ということを考えた。

熱海港まで、小田原からは40分くらい、新宿から竹芝桟橋まで同じく40分くらい、と都市部を走るにしてもまあ、疲れない距離と時間である。夜行船に乗っていけば、朝6時くらいから、熱海行の船の出る15時くらいまで、ゆっくり島の中を探検できる!大島は一周50キロくらいなので、ちょうどよい大きさ。そして山や温泉や、海と、見所には事欠かない!

ということで、私はある日思い立って大島原ちゃりツーリング夜行日帰り、を決行。季節は、私の大好きな花である、伊豆諸島特産のサクユリ(タメトモユリ)の香りをめざして、6月下旬か7月上旬にしよう、となった。もちろん一応水着も持参で。そのころ免許取ったばかりのアマチュア無線機、50MHzFMの、ハンデイ機も忍ばせて行った。50の周波数帯は、夏には思いがけない遠距離と通信できることがあって面白い。

今でも、ハム(アマ無線)機は、携帯電話と違ってどんな山奥でも使えるので、非常用には持参すると安心である、と思う。送信の出力(ワット数)も、けた違いに大きいし、高いところにいくほどよく電波が届くのだ。

竹芝桟橋でバイクをチッキ(手荷物)として預け、いよいよ出航。船旅も、風情があってよいものだ...(その2へ)

           
 サクユリ (カサブランカなどの交配原種。山百合より大きく、花に赤い斑点がない)
(その2)980413

東海汽船の大島行きは、かめりあ丸、または、さるびあ丸2、という3000トンクラスの大型客船であり、ほとんど揺れを感じることはない。勿論台風のときなどは、さすがに大揺れであろうが幸いそういうときには、当たらなかったのである。 へたをすると、陸上を走る電車や自動車よりも揺れない。無気味な程、静かに、平行移動している感じである。 聞こえるのはかすかに低くうなる船底からのエンジン音だけ....。

しかし!夜行船の常として、夜は12時消灯で一応寝なければならない。2等船室にも禁煙室ができて(かめりあ丸の場合)快適にはなったのだが。 ここで、さして広くはない2等船室雑魚寝部屋の悲劇は起こった! それはなにか。

隣で寝ていた見知らぬオヤジのいびきである。こういう場合は、先に寝てしまったほうが勝ちなのだが、、 遅かりし。普通のいびきならば、まだいいのだが、 このオヤジさん,鼻がつまっているのか、不規則呼吸で苦しそうないびきなのである。 途中で、「ブーーー、ゴー、、.....ップシュウ!」 ・・・と、突然フェイント食らわされた私の耳元。 起きてしまったらもう寝られない、、。

逃げようにも2等船室は混雑していたので我慢するしかなかった、の悲劇であった。 船は東京湾を出るまで、時間順番待ちがあるので、明け方まで出口で待機するようである。 そのため、ゆっくり走行して夜10時に出港した船は明け方6時に、緑深い東京都大島町、は岡田港に 着岸となった。

もうひとつの西向きの元町港のほうが 大きいが、朝東京からの便はほとんどといっていいほど、この北向きの港、岡田港に着くようだ。 これは、ひそかに港前のお土産屋さんの商売上の都合で、2つの港交互に着岸するように申し合わせしているのではな か、とわたしは思ったのであった。本当は、風向きによって入港地を決めることになっているらしい(当たり前だが)。

岡田港の水の色はもうすでに東京ではなく、伊豆地方の色...深いマリンブルーである!感激してしまう、この色だけでも!! 

(その3)981012(おひさしぶり〜)  

 

未明の岡田港桟橋に、チッキ荷物として積載されていたわたしのバイクが降ろされる
様子をながめることができる。小さな荷札をつけただけのわたしの原付。いまではコンテナ積みであるが、当時は甲板にロープで簡単に固定されただけで、東海汽船のお兄さん2〜3人がかりの手作業でよいしょ、と降ろされる。受け取って、キックでエンジンをかけ、出発。簡単なものだ。気分は地元民になってしまう。このときは、前日気づいて予約した、大島温泉ホテルの朝食休憩所へ向かった。まだ朝6時であったし、

温泉ホテルは三原山中腹にあったから朝靄(もや)がかかっていた。けっこう広間ではお客さんがいて、朝食の典型的な旅館メニューを食べ終わった後くつろいでいた。ここでの目玉はもちろん、活火山三原山を見渡す露天温泉大浴場!当時のアウトライダー誌というバイク雑誌に紹介されていて、それも原チャリツーリングだったので、ぜひに、と思っていたが期待にそむかない素晴らしいながめであった。しかも女風呂はそのときなぜか私ひとり。こっそり、となりの混浴?らしい湯船ものぞきに行ったがそこにも誰もいなかった。あわててすぐ女湯に戻ったけれども・・・。澄んだお湯が冷え切った肌にも心地よかった。(つづく)

活火山・三原山