=第7回グローバリゼーション講座=

「外国籍住民に対する人権保障の現状」
−多民族・多文化共生社会をめざして−


















■講師:佐藤信行さん(「在日韓国人問題研究所」所長)
■日時:2007年7月7日(土) 18時〜20時30分
■場所:広島市まちづくり市民交流プラザ研修室A

      (広島市中区袋町6−36、TEL:082−545−3911)
      http://www.hitomachi.city.hiroshima.jp/m-plaza/access/index.html
■参加費:500円

 現在、日本には約201万人(入管局2005年末データより)の外国籍者が外国人登録により在留しており、また定住者も含め約90万人の外国人労働者が働いているとされています。日本は経済のグローバル化により、すでに多国籍・多民族社会へと変貌しているといえます。
 そして、外国人登録者のうち約50万人が特別永住者の「韓国籍・朝鮮籍」外国人として生活しています。そこには日本が朝鮮半島を植民地化した歴史的背景があります。残念ながら戦後60年が経過した現在においても日本社会の在日韓国・朝鮮人に対する民族差別は続いています。私たちは「違いを認め合って互いの生活を尊重する社会」つまり「共に生きる社会」を目指さねばなりません。違いがあるからこそ価値がある社会だと考えます。
 今回の講座では1970年代以降、在日コリアンの様々な人権獲得運動に携わってこられた佐藤信行さんからお話を聞き、在日韓国・朝鮮人にまつわる歴史と現実を再認識したいと思います。そして、人を差別し排除するのではなく、多民族と多文化が共生できる人権保障システムをどうやって確立するかを一緒に考えます。

(講師紹介)
 在日大韓基督教会附属の「在日韓国人問題研究所」(RAIK)所長。
 現在、大学でも講座を持ち、「外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会」「定住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日ネットワーク」などの事務局を担う。1970年代以降、在日コリアンの人権獲得運動や戦後補償問題などに取り組む。主要論文に「外国人登録法と指紋拒否運動」(白石孝ほか『世界のプライバシー権運動と監視社会』、明石書店)など。

■主催:グローバリゼーションを問う広島ネットワーク(GWH)
      Globalization Watch Hiroshima

         連絡先:〒733-0815広島市西区己斐上4ー17−15
         TEL&Fax: 082−271-0854、携帯:090-6835−8391(渡田)
         ホームページ:http://www.geocities.jp/hg_net2003/
         電子メール:hg_net2003@yahoo.co.jp


2007年6月15日(金)更新

第7回グローバリゼーション講座

「外国籍住民に対する人権保障の現状」報告

 第7回グローバリゼーション講座「外国籍住民に対する人権保障の現状」は7月7日 (土)に在日韓国人問題研究所の佐藤信行さんを講師に招いて行なわれました。参加者は19人でした。

■復活の指紋押捺
 1980年代、指紋押捺を拒否する運動があり、佐藤さんも事務局を担いました。広島でも3人の在日コリアンが拒否しました。1万人を越える人々が指紋押捺を拒否・留保し、2000年に指紋押捺は全廃されました。しかし2006年5月24日、指紋押捺を復活する内容の「出入国管理及び難民認定法(入管法)」改定が成立し、今年11月までに実施されることになってしまいました。

■日本の外国人政策、「外国人住民基本法」
 戦後、日本政府のとってきた外国人政策は専ら在日コリアンに対してのものでした。しかしグローバリゼーションの進展、そして少子高齢化→人口減少に伴い、日本政府は日系ブラジル人、アジアからの「研修生」を、人間としてではなく、飽くまで労働力として受け容れざるをえなくなったのでした。その根底には@「労働力導入」政策と「監視・管理」政策を同時に進める、A労働力としての外国人を「高度人材」と技能労働者に、B外国人の「監視・管理」にあたっては「特別永住者」/「労働力としての外国人」/「不法滞在の外国人」に分類するという論点があると佐藤さんは指摘します。また、そこには外国人を犯罪者扱いする発想があります。指紋押捺の復活や法務省入管局のホームページにオーバーステイの外国人を不法滞在者として匿名で密告する窓口が設けられたことなどは、こういった文脈で行なわれたことなのです。そして、外国人の人権という観点や「労働力の送り出し国」に対する想像力が欠如しています。そもそも指紋押捺を復活する内容の入管法改定の際にも、対象である在日外国人の意見表明の場が設けられていません。これで日本は民主主義の国と言えるのでしょうか? 一方で、戦後の日本の外国人法制度は、外国人を普遍的権利の享有主体から排除し、管理するという点で一貫している訳です。外国人および日本国籍の民族的少数者に対し住民自治・地方自治に参画する権利、母語・継承語によって教育を受ける権利や民族名を名乗る権利、民族差別・人種差別の禁止などを謳った「市民法案」である「外国人住民基本法」の必要性を佐藤さんは訴えておられました。

■ブラジル人学校
 日本全国にブラジル人学校は98校あるのですが、そのうち2校しか認可基準を満たしていないため、各種学校にもなれないでいます。その多くが潰れたコンビニエンス・ストアや倉庫の跡を利用しています。校庭はありません。国や自治体からの補助金もありません。親が全て経済的負担(毎月4万円前後)をしなくてはなりません。

■「外国人の子どもは恩恵として学ばせてやっている」!?
 一方、教育委員会は、外国人の子どもに対し、誓約書を書かせるということもやっているということです。「外国人の子どもは恩恵として学ばせてやっている」ということのようです。

■外国人の地方参政権
 韓国では2005年、永住外国人に地方参政権が与えられることになりました。韓国に永住する日本人は地方参政権を持つことになったのです。では日本は? 在日コリアンは? そこには明らかな非対称があります。
 外国人参政権について国会議員にアンケートをとったところ720人いる国会議員のうち回答したのは70人そこそこだったということです。外国人参政権に肯定的な議員に対して嫌がらせのメールやファックスが送られてくるためのようです。また韓国で外国人参政権が認められたことを知らなかった国会議員も10人くらいいたそうです。

■国連人権委員会報告
 国連人権委員会の報告書で「日本には人種差別と外国人嫌悪が存在する」と指摘され、24項目の包括的是正勧告が出されました。オーバーステイの外国人を不法滞在者として密告する窓口が設けられていることについても触れられ、「人種主義・人種差別・外国人嫌悪の扇動」「本質的に外国人を犯罪者扱いする発想に基づくもの」と批判されています。

■在日コリアンの現状、ポスト・コロニアリズムの視点の必要性
 東京都の保健師として働いていた在日コリアン二世の女性が管理職になろうとしたら 「日本国籍を持っていない」という理由で拒否されたため、東京都を訴えた裁判で、最高裁は「東京都の措置は日本国憲法に違反しない」という判決を出しました。また東京都江東区にある朝鮮初級学校の土地を返還することと損害金4億円を支払うよう東京都が提訴したという事件もありました(枝川裁判)。なぜ在日コリアンの人たちが日本に住んでいるのか? 日本が朝鮮を植民地支配したために強制的に日本に連れて来られた人たち、あるいは日本に来ざるをえなかった人たちがいたためです。現在の日本社会では、そういった歴史的な経緯が全く省みられていません。2001年のダーバン会議で、日本における「人種主義」とは、植民地主義に起因するということも指摘されているとのことです。ポスト・コロニアリズム(植民地主義)の視点が必要であるという佐藤さんの言葉が印象に残りました。
(伊達 純)

 以下は「枝川裁判」の関連サイトです。

法学館憲法研究所「在日コリアンをめぐる訴訟(1)枝川ウリハッキョ訴訟」
http://www.jicl.jp/now/saiban/backnumber/korean.html

法学館憲法研究所「枝川朝鮮学校取り壊し裁判で問われる日本社会」
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20050307.html

JANJANより 枝川裁判リンク集
http://www.news.janjan.jp/link/edagawa/index.php