「グローバリゼーションを問う広島ネットワーク」
設立2周年記念講演会


民営化される戦争とグローバル企業



















■講師:本山美彦さん(福井県立大学大学院教授、京都大学名誉教授)
■時間:9月24日(日) 14時〜16時30分
■場所:アステールプラザ大会議室A(4階)

      (広島市中区加古町4−17、平和記念資料館から南へ徒歩5分、TEL:082-244-8000)
      http://www.cf.city.hiroshima.jp/naka-cs/access/access.html
■参加費:700円(会員と学生は半額)

=講師紹介=

 1943年神戸市生まれ。福井県立大学大学院経済・経営学研究科教授、京都大学名誉教授。
 世界経済論専攻。主要研究テーマは金融と倫理。最近は、アメリカの巨大軍産複合体や、株式交換・M&Aに関する研究など。
 最近の主著は『売られるアジア』(新書館、2000年)、『ESOP−株価資本主義の克服』(シュプリンガー・フェアクラーク東京、2003年)、『民営化される戦争−21世紀の民族紛争と企業』(ナカニシヤ出版、2004年)、『売られ続ける日本、買い漁るアメリカ』(ビジネス社、2006年)、共著『儲かれば、それでいいのか』(「環境持続社会」研究センター、2006年)など。

 去る3月12日、岩国市民が住民投票で米軍再編に伴う基地機能強化に「NO」を突きつけたにもかかわらず、日本政府は米国政府の圧力に屈しています。そして、米海兵隊のグアム移転費用の59%(約7100億円)が日本の負担、つまり私たちの税金で賄われようとしています。
 米軍は、アフガニスタンやイラクに自己中心の論理で戦争を仕掛け、劣化ウラン弾などの非人道的兵器を使用し、一般市民を含む多くの人々を殺戮し、今も駐留し続けています。
 20世紀から21世紀にかけて、米軍は大規模な軍事作戦に多くの民間会社を使い、兵員訓練、兵站業務、さらには戦後の復興工事まで幅広く業務委託しています。そしてこれら民間軍事請負企業のトップが米国政府の要職につき軍部に強い影響力を行使する構図が出来上がっています。最近では世界最大の小売企業ウォルマートも軍の物資輸送業務等を担っています。
 つまり、「戦争の民営化」が急ピッチで進行しています。戦争を支えるグローバル企業の実態と問題点について、『民営化される戦争−21世紀の民族紛争と企業』を著された本山美彦さんから詳しいお話をお聞きします。なお、本山さんは本年2月に『売られ続ける日本、買い漁るアメリカ』で米国の対日改造プログラムを明確に批判され注目されています。皆様のご参加をお待ちしています。

「民営化される戦争とグローバル企業」報告
「グローバリゼーションを問う広島ネットワーク」設立2周年記念講演会は、9月24日(日)にアステール・プラザ4階の大会議室で、福井県立大学大学院教授の本山美彦さんを講師として行なわれました。
 本山さんは、「なぜ『グローバリゼーションを問う』のか」という当会の名前に沿うかたちで話を始められました。そして紅茶、石油、銀行を例にあげて、「力の強い国によって力の弱い国は作らされ売らされ価格も決定されている」「貧しい国の人々は厳しい労働を強制され」「儲けも技術もすべて一握りの外国の大きな企業に持っていかれてしまう」のがグローバリゼーションであり、それは許されないことであるという問題の立て方が、「グローバリゼーションを問う」ということだと本山さんは話されました。
 また本山さんは、全ての技術、資本、労働力、知識が自分たちの国だけで使われるとすれば、意外に発展は早いのだとということも指摘されました。戦後の日本は、アメリカに占領されましたが、朝鮮戦争が起こったため、アメリカは日本を「反共国家」に仕立て上げるためにいち早く復興させる必要に迫られた。その時、アメリカがとった政策は、日本を放っておくことでした。むしろ、そのために日本は復興できた。逆に現在、「途上国」は「先進国」、あるいは多国籍企業によって国内のシステムが分断されてしまっている。「途上国」の貧困は、ここに原因があると本山さんは言います。「グローバリゼーションを問う広島ネットワーク」では「途上国」に対するODA(政府開発援助)の問題などを取り上げてきましたが、このことは忘れてはならない視点ではないでしょうか?
 グローバリゼーションを推進しているアメリカという国は、所得格差の大きい、実は貧しい国であると本山さんは言います。一握りの大金持ちがGDP(国内総生産)を上げていても、多くが貧しい社会を豊かな社会と言えるのか。むしろ格差のない社会こそが豊かな社会ではないのか。本山さんは問いかけます。
 また本山さんは「戦争が一番儲かる」として、アメリカの軍事請負会社(民営化された軍隊)や軍産複合体のことについても言及されました。軍事請負会社は、貧しい「途上国」の軍隊よりも兵器も戦闘能力も上だそうです。また軍産複合体が推し進めているのが、米軍再編のあらわれの1つであるミサイル防衛(MD)です。身近なところでは厚木基地空母艦載機部隊の岩国基地移転も米軍再編のあらわれです。そして日本の産業界も、武器輸出三原則をかなぐり捨てようとしているのです。
 他にも日本の医療保険は、日米保険協議で、日本の大手企業は参入できずに、アメリカの企業か日本の中小企業が参入できることになったため、やたらテレビでAIGグループのひとつであるAFLAC(アフラック:アメリカンファミリー生命保険)が目立つようになってしまったこと、「日米投資イニシアティブ」によって教育や医療までがビジネス対象となっていること、イラク戦争はフセインが石油取引をドル建てからユーロ建てにすることを言い出したことが原因であることなど面白い話をたくさん聞くことができました。
(伊達 純)