ペミカンを作ろう

ペミカンとはもちろん、ヨン様のミカンのことではありません。(あー、オヤジギャクだともさ)。簡単に言えば調理した肉や野菜などを脂で固めた保存食のことです。
私がペミカンというものを初めて知ったのは、アウトドア教書の類本でです。そこに載っていたのは魚を使ったペミカンでした。
作り方は@調理した魚の脂を手でこねて柔らかくしA調理した魚の身を刻むかすりつぶして脂とよく混ぜB好みでフルーツやナッツなどを加えCよくこねてソーセージ状に形を整えD天日で乾かして固める−というものです。そしてこのペミカンというもの、何年も保存でき、栄養も損なわれないと紹介されていました。
しかし私はこれに疑問を持ちました。この材料と作り方を考えると、常温で保存するなら何年どころか2,3日で腐ってしまうように思えるのですが。魚の脂って傷まないものなのでしょうか。
ずっとこの疑問を抱えていましたが、インターネットという環境が手に入り、ペミカンについて調べることができるようになりました。

ペミカンの元祖はカナダのネイティブ・インデアンが使用していた保存食でした。作り方は@干したバッファローの肉を石で粉みじんに砕きA同量のバッファローの脂と混ぜB乾燥果実などを混ぜてC皮の袋などに入れて密封する…といったものです。実際にこの元祖ペミカンは何年もの長期保存ができたそうです。しかも味も良く高カロリーな上、フルーツを加えてあるのでビタミンCも摂取できるという優れものの保存食でした。極地探検隊がこのペミカンを大いに活用し、すばらしい功績を上げたそうです。

日本では南極観測隊が保存食として採用したことで有名になり、その後山岳の世界に持ち込まれるようになりました。ただしこのペミカンは簡易ペミカンとでも言うべきものです。その作り方は肉やタマネギなどの野菜を炒めバターやラードで固めるというもので、冬山はともかく夏場は2.3日しか保たなかったという話です。
現在ではレトルトなどの食品保存技術が発達しているため、もはや過去の遺物…ペミカンの名前すら知らない世代が
山の世界では大勢を占めているようです。

というわけで実験室でこのペミカンを取り上げることにしました。作るのはまず元祖ペミカンをできるだけ忠実に再現したもの。バッファローはちょっと無理なので牛脂とビーフジャーキーで代用します。これはなによりその保存性に注目したいので、完成品を密封し、一年間常温でほったらかしにしてみたいと思います(これをペミカン1号と命名します)。
そして山岳で食されていたペミカンも作ってみます。(これは材料や作り方に案外地域差があるようです)肉と野菜はあり合わせのものを使います。バターやラードを使うとありますが、今回はバターの方を使ってみます。だってバターの方が美味しそうだし…(でもラードの方が保存性という意味では上の気もします)
これは制作後一週間後に試食します(ペミカン2号です)。

魚を使ったペミカンもそのうち制作したいと思います。

ペミカン一号

干し肉は自作が困難なのでビーフジャーキーで代用します。ドライフルーツは都合の良いのが市販されていました。 まずスリコギでビーフジャーキーを粉々にします。結構骨の折れる作業。 ニンニクスライスと胡椒を少々加えてみます。
出来上がった粉末ジャーキー。実験なのでこの程度の量で充分でしょう。 肉屋さんでもらった牛脂を溶かします。粉末ジャーキーと同量にするらしいのですが、ここは適当な量でやりました。 獣脂が煮立ったところへ粉末ジャーキーを加えます。一気ににおいが立ちこめました。
更にドライフルーツを加え… 一煮立ちさせてできあがり。牛脂の量が多かったかも。 小さなタッパに入れて密封します。ちょっと味見してみましたが、コンビーフに似た味です。ジャリジャリいってたのは胡椒のせいかな?胡椒とニンニクは必要なかったかもしれません。

ペミカン一号完成!
冷めて固まったら常温で暗所に放置します。蓋を開けるのは2006年…いったいどうなっていることやら−
2005/1


さて、一年が経過しました。

ペミカン君はこんな状態です。上の方は脂の固まり。やっぱり牛脂が多すぎました。

容器を熱湯に浸けて何とか取り出しました。傷んでいるのかどうか外見からでは判りません。香りもほとんどしません。
食っても大丈夫かなあ…
とりあえず『脂のみ部分』は取り去ります。それにしても、食欲のわかない色です。チョコレートケーキだとしたらいい色なのですが。

それではそのまま一口。『……………』
口の中に入れた瞬間はあまりり味がしません。しかし、噛めばかむほど味が出てきます。牛脂の溶ける温度が高いためでしょう。
味は…当然と言えば当然ですが、ビーフジャーキーです。ドライフルーツが良いアクセントになっていて、不味いという程ではありません。
お湯に入れてスープに。
う〜ん、これまた旨くもなければ不味くもない。でも飽きのこない味かもしれません。
キャンプなどでは一緒にクラッカーでもあれば、いい朝食になるかも。

完食!
とりあえずしばらくは正露丸を手元に置いておこう。
(よい子は絶対に真似しちゃ駄目だよ!)

一年間の保存は(今のところ)クリアーです。

あと一つは…もうしばらく放置してみます。
2006/2

全国のペミカン・ファンのみなさま(?)お待たせしました

ついに禁断の匣を開封する日が!!

三年ものです!レアです!!
上の牛脂部分は二年前よりやや黄色くなったか?
カチカチに固まっていると思いきや、まだまだ柔らかかったです。

ペミカン部分はかなり固くなっていました。
ラーメンのスープみたいな、ちょっと妙な香りが…
例によって『脂だけ部分』を除去。
そして例によって一口…ちょっと怖い…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まあ…ジャーキーの味…ドライフルーツも…普通にドライフルーツ…。傷んでいるのかどうか、ちょっと判らないです。
半分ほどを、これまた例によってスープに。
香りがさらに強く…

なんというかその…不安な匂い…
苦みだとか酸味だとかはなく、フルーツはちゃんとフルーツの味がするし、ビーフジャーキーの味も…
でも香りが独特でやっぱり気になります。
スープの味があまりにも薄かったので、半分だけ味わった後、残りはラーメンに入れて食べました。
腹具合がどうなるか…現在様子見中。もちろん準備は万端。
もしかすると最悪の正月を迎えるかも…

はたして三年間保存クリアなるか
よい子は絶対!絶対!まねしちゃダメだよ!!
2007/12

ペミカン2号

肉とあり合わせの野菜を小片に刻みます。 刻んだ肉と野菜を炒め、塩や胡椒で濃いめの味を付けます。 次にバターを多めに溶かします。
溶けたバターに炒めた肉と野菜を入れます。さらに、ペミカン1号で余ったドライフルーツも加えてみます。 一煮立ちさせ… ラップでくるんで冷まします。

ペミカン2号完成!
冷えて固まったらジップロックに入れて密封し、これまた冷暗所に常温で保管。開封は一週間後です。
2005/1/9

…そして一週間後
こんな感じになりました。
大丈夫だろうか…
とりあえずそのまま一口
「−………………。」
うーん、思ったよりは食えるかな…

ご飯と炒めてチャーハンといってみましょう。 ものすごくギトギトのチャーハン。莫大なカロリーを消費する山行では(特に冬山では)、このくらいでないといけないのでしょう。下界で食うのはチトきついかな…
2005/1/16
今度はラーメン。 これは普通にいけます。
2005/1/17
何とか実験は成功で、腹の方は無事です(チャーハンはちょっと気持ち悪くなったけど)。でもこれは冬場だからなんとかなったのでしょう。山岳関係のHPにおうかがいしたところ、冬山では雪の中に埋めて保存するそうです。そして、やはり夏場は雑菌が繁殖して2〜3日が限界だそうです。夏場の実験は怖いからやめとこーっと。