アカエイ

千葉県習志野市にある谷津干潟。野鳥観察地としても有名なこの干潟は、その昔谷津遊園という遊園地に隣接する潮干狩り場でした。
(谷津遊園の在りし日の姿は映画『男はつらいよ』の第30作、『花も嵐も虎次郎』で見ることができます)
管理人ハナマルユキは、子供の頃この谷津遊園に何度か行きましたし、潮干狩りもやったらしいのですが、残念ながらほとんど覚えていません。しかし、ただ一つだけ強烈に印象に残っていることがあります。それがアカエイです。

谷津干潟

潮干狩りに行った幼い日…「アカエイが出た!」大人たちがなにやら大騒ぎ…
干潟にたたずんでいた『あかえい注意』の看板…
あかえい???

アカエイはエイ目アカエイ科の魚で、潮干狩り客や釣り人には嫌われ者です。
英名reyまたはstingrayスティングレイと言います。sting、つまり『トゲあるエイ』です。トゲは尾の付け根近くについています。厄介なことにこのトゲにはかなり強力な毒があります。
刺されると数分後に激痛がおこり、血圧低下や呼吸困難、発熱などの症状がおこり、最悪死に至るといいます。
アカエイは積極的に人を襲うようなことはしません。しかし浅瀬にいたアカエイや、干潮時に干潟に取り残されたアカエイをうっかり踏んづけたりして事故が起きます。また、釣り人がアカエイを釣り上げてしまって被害に遭うケースもあるようです。

…とまあ、危険な生き物ではあるのですが、管理人はアカエイに恐怖を感じたことは一度もありませんでした。
むしろ是非実物にお目にかかりたいと思っていました。その何とも不思議な形に惹かれたのです。もっとも、遭遇して毒棘の洗礼を受けていたらそんな悠長なことは言っていられなかったでしょうが。

一時、この谷津干潟は徹底的なまでに荒廃しました。ヘドロとゴミにまみれ、埋め立て計画が実行寸前まで進行していたのです。そんなとき、一人の青年が立ち上がりました。森田三郎さんです。家族との楽しくて大切な思い出がいっぱい詰まった谷津の干潟。この干潟をなんとしても守りたい…
森田さんの孤独な戦いが始まりました。初めのうちは非難され、あからさまな妨害も受けたといいます。地元住民にとってはこんな悪臭の源、一刻も早く埋め立てて欲しかったのです。森田さんの行動は埋め立て計画の障害でしかありませんでした。
しかし森田さんの信念は少しも揺らぎませんでした。長い戦いの末、少しずつ地元の人の中にも理解者が現れ、ついに埋め立て手計画撤廃にまでこぎ着けたのです。そして1993年この谷津干潟はラムサール条約登録湿地に指定されました。
今ではたくさんの野鳥が飛来するようになり、自然観察センターも設置されています。干潟というものの重要性も人々に認知されるようになりました。

機会がないのでこの場をお借りして
…森田さんありがとう

さて、現在谷津干潟のアカエイは…ご安心下さい?海の汚染や生息場所埋め立てなどの危機を乗り越えて、彼等はしっかり生き抜いています。
谷津干潟は二つの細い水路で東京湾とつながっていて、満潮の刻限になると海水がこの水路から干潟に流れ込んでくるのですが、この時間がアカエイ見物の最大のチャンスです。アカエイはこの流れに乗って干潟に侵入して来ます。アカエイのエサはアサリ、蛤などの二枚貝やゴカイ等で、干潟はこれら御馳走の宝庫なのです。
水路は幅5メートルほどで、水もわりと透けているのでアカエイの姿をはっきり観察できます。

東京湾と谷津干潟を結ぶ水路
一辺が40〜50pの座布団が泳いでいるみたい

今では保護区になった谷津干潟の中で、彼等は安心して暮らしていける…と言いたいところですが、鵜や鷺といった天敵が数を増やしています。アカエイの受難はまだまだ続くようです。

船橋海浜公園の潮干狩り場で現役のアカエイの看板。
『アカエイ看板前集合』といった具合に、待ち合わせや集合場所の目印として重宝されているようです。

日本のアカエイは地味な色合いですが、海外のアカエイ科の仲間にはとても美しい模様をしているものも多く、ペットとしても人気があります。ただ、毒針があるのは勿論のこと、かなり大きく成長しますので、それなりの設備が必要です。
ポルカドットスティングレー ロイヤルレオパードスティングレー リーフスティングレー
淡水性のエイです(東京タワー水族館) 海のエイで、ダイバーには有名らしいです
2005/9