なぜ男性は暴力を振るうのか

まず初めに断っておきますが、暴力を振るう夫や恋人を、学歴・年収・職業・社会的地位・人種・民族・宗教・地域などで分類することは出来ません。
なぜなら、DVの発生は、これらのすべての範疇に及んでいて、その特徴を示さないからです。
そして、この事は同時に、暴力を受ける女性の特定、分類も不可能であることを示しています。
つまり、すべての人がDV加害者になる可能性を持ち、すべての人がDV被害者になる可能性を持っているのです。

DV加害者の性格・心理パターン
必ずしもぴったりと当てはまるわけではないのですが、ある程度の性格傾向を示します。以下に紹介します。

T性別役割を当然と考えている
妻は家に居て、夫に黙って付き従うのが当然と考えています。
決定権が夫にあるものと思っていることの根拠がここにあります。
男女が対等であるなどという考えは全く理解しようとしません。
相手が女性というだけで、自分のほうが優位にあるという錯覚を起こしています。
ですから、「出来る女性」を見ると、「あんなのは女じゃない」と否定したがります。

Uパートナーに対する過剰な期待と過度の依存
自分の理想の女性像をパートナーに求めます。
そのイメージとパートナーが少しでも違っていると、パートナーを許せなくなってしまいます。
そして、そのギャップを埋められないことをパートナーのせいにします。
自分の無力さを、パートナーの「努力不足」のせいにします。
そして、そういうパートナーと一緒に居る自分が不幸者だと、勝手に被害者になろうとします。
自分が愛するように、またはそれ以上にパートナーも自分を愛することを求めます。
その愛情は、「自分が愛だと感じる」愛し方でないと、愛とは認めようとしません。

V嫉妬深い
後で説明する支配欲・独占欲へとつながっていく感情です。
パートナーが他人と接触するだけで腹が立ってきます。
しかし、自分が他の女性と親しくすることに対してはなんとも思っていません。
嫉妬は、実は、人間関係の不安定さの証明です。疑心暗鬼になり、人間関係はうまく行きません。
この感情が、「身体的暴力」「心理的暴力」「社会的隔離」「性的暴力」につながっていきます。
ここで大事なことは、「嫉妬心」と「愛情」は全く別のものだということです。
暴力にさらされていると、ここのところが麻痺してきます。
このことをぜひ覚えておいてください。

W支配欲・独占欲
暴力夫の大半は、家庭の安全が保たれているのは、自分のおかげだと思っています。
そして、これからもその安全を守るのは、男であり、一家の大黒柱である自分自身だと思いこんでいます。
また、この様に思うことが家族への愛情だと本気で思っています。
このため、家のことに口を出されると、それだけで激怒します。
なぜなら、家庭内での主導権が脅かされると感じてしまうためです。

X神経過敏で傷つきやすい
あれほどの身体的暴力や心理的暴力、言葉の暴力を振るう男性も、びっくりするほど傷つきやすい心の持ち主です。
自分を傷つける言葉には非常に敏感です。
また、傷つけられると、今度はその感情に対して押さえが利かなくなります。
感情のコントロールの欠如(コントロール障害)している彼らの怒りは尋常ではありません。
DVによって死者が出るほどですから、そのコントロール欠如については理解していただけることでしょう。
特に厄介なのは、いらいらしているときは、誰が何をしても、誰も何もしなくても、気に入らなくて怒りが表出する点です。

Y内弁慶の外地蔵
多くのDV男性は、会社では仕事熱心であったり、信望の厚い人物であったり、有能な人材であったりします。
地域でも、温厚で人柄がよく、面倒見の良いパパさんという評価をされています。
ところが、家の中では態度が一変するのです。
これでは、パートナーは1日中ずっと夫のご機嫌伺いをしていなくてはなりません・・・

セックスについて
DV男性は、性行為によって自分の支配関係を確認しています。
自分の望むセックスプレイを強要し、それに黙って従う相手に対しては、征服感と安心感に満たされます。
しかし、それを嫌がる相手に対しては、それだけで自分に対する愛情が無いと決め付けます。
そして、そのプレイの恥辱度と、自分への愛情を比例させて考えます。つまり、自分の要求するどんな行為も受け入れる女性は、自分のことを深く愛してくれているということになるのです。
また、自分が暴力を振るった後で、性行為を求める男性が数多くいます。
ここで、女性が性行為を受け入れると、男性は、自分のした行為すべて(暴力も含めて)が許された証拠だと錯覚します。
女性からすれば、性行為を受け入れなければまた暴力を振るわれるからという場合がほとんどですが(こうなると家庭内レイプです)、男性側にはその自覚が全くありません。

自分の犯した暴力行為について
DV男性の多くは、自分の犯してきた暴力行為に対して、全く無自覚です。
それは、前述してきた様々な要素によるからなのですが、だからこそ、暴力を振るう男性は、変わることは出来ないのです。
パートナーに逃げられても、また新しい女性と暮らし、その暮らしのなかで暴力を繰り返すことになるでしょう。

だからこそ、DVの渦中から脱出しなければならないのです。

では、なぜ、暴力を振るう夫ではなく、振るわれる妻のほうが逃げなくてはいけないのでしょうか。
このことは、別のコンテンツで詳しく述べています。

アメとムチ
結局のところ、男性は、家庭内での支配関係を維持するための暴力を振るうといってしまっても良いと思います。
そして、そのほとんどすべての場合、男性は女性を「1人のかけがえのない人間」としてではなく、自分に付き従う「従属物」や「所有物」としてしか見ていません。
だからこそ、反抗することなど、男性にしてみれば、とんでもないこと、許されざることなのです。そして、そのことを解らせるために、手段として暴力を使用するのです。
しかし、暴力ばかりでは当然女性はたまらなくなって家を飛び出します。
そこで男性は、暴力を振るった後には、必ずといって良いほど、稚拙な方法ではありますが、フォローに走ります。
この繰り返し(私は個人的に「アメとムチ」と呼んでいます)によって、女性は、暴力を受けていることに麻痺してしまうのです。

*土下座をして謝る。謝りつづける。
*自分の非を認め、パートナーの言う事をよく聞くようになる
など・・・
この時の男性は、まるで、暴力が発覚する前の頃の、やさしく、まめで、まさに自分が愛していた彼そのものです。
こうなると、女性のほうは、「もう1度やり直せるかも」「今度こそ彼は良くなってくれるに違いない」「今の彼が本当の彼なんだ」と錯覚し、次に暴力を振るわれるまで、男性との関係を持続させてしまうのです。