★山のエッセイ(7)  ハチ
2005年8月1日記
30年ほど前、京都北山を越え、由良川源流から福井県に抜けたことがあります。
このとき、府県境の峠で、ハチに刺されました。
あとにも先にも、ハチに刺されたという記憶は、このときだけです。

昨年から、うちの裏山(湖南アルプス)でも、スズメバチが異常に多くなっています。
一昨年の夏は、夏でも裏山に入っており、ハチの事はあまり印象にないのですが、昨年はあちこちでハチを見かけ、ハチがいる間は、あまり山に入らないようにしていました。
というのは、先に書いたように、私はハチに刺された経験があるため、この次にハチに刺されると「アナフィラキシーショック」が出るかもしれないからです。
このショックは、死につながりますので、やっぱりびびります。

そんなんで、今年もハチが出るようになってから、あまり山に入っていません。
入るとしても、林道から笹間が岳に登るくらいで、不意にハチを驚かせるような条件にある道には、できるだけ入らないようにしています。

昨日、砂防林道から笹間が岳に向かいました。
朝の6時に家を出たので、暑さは比較的ましでした。
それでも汗びっしょりになりながら、看板地点を越え、上関ルート入り口を過ぎ、ショートカットルートを過ぎたところまで来ました。
冬場なら、躊躇無くショートカットルートを登り、笹間が岳頂上に向かうのですが、蜂の巣が怖いので、林道広場まで行って登山道に入り、笹間が岳頂上に向かうことにしたのです。
まあ、ここまで来たら、どっちのルートを取ったとしても、頂上はすぐなのですからね。
ところが、ここでハチが飛び出して来たのです。
そこそこでっかい黄色いハチが、頭のまわりを飛び始めました。
最初は、そのうちどっかにいくやろと思い、刺激を与えないように頭を低くして、ゆっくり進みました。
ハチは、私の頭や身体のまわりを飛ぶかと思えば、べつのところに飛んでいき、また戻ってきて私のまわりを飛び、今にも腕などに止まりそうに見えました。
これはやばい、動かんほうがいいと思って、身体を縮めてじっとしていました。
目の前で、ハチの顔がはっきり分かるぐらい近くで、ハチが飛んでいます。
私は、もし腕にでも止まったらどうしょう、、、と、恐怖感でいっぱいでした。
止まらないでくれ、早くどっかに行ってくれ。心の中で、そう叫んでいました。

あしたにつづく
ハチは、攻撃されない限り、自分からは攻撃しないようです。
ただし、攻撃されているかどうかの判断は、ハチの側がするわけで、人間の側は、いま自分がしている動きや行動が、ハチに対してどうなのかということは判断できません。
ここが非常に微妙なところで、ハチがすぐ近くを飛んでいて、そこでの自分の行動がハチに対する攻撃となるのか、それとも攻撃とは受け止められないのか、この判断をしなければいけない状態になったとき(今回は、まさにそうであったわけですが)、自信を持って自分の行動を律することができるでしょうか。普通なら、なかなかそうはいかないと思います。

ハチは、なんども、じっとしている私の周囲を飛び回っていました。
露出している肌から数センチのところまで近づき、いまにも止まりそうでした。
私は、止まったらどうしょう、止まっても敵意を与えないようにじっとしてることができるだろうか。そんな疑問とおそれをもちながら、止まらないでくれと祈っていました。
もし刺されたら、アナフィラキシー・ショックを起こして死ぬかもしれない。
そういう究極的な恐怖感に襲われていました。極度の緊張状態にあったと言えます。
この状態が何分続いたのでしょうか。
それは、ほんの数分間だったのかもしれませんが、私には長い時間でした。

ハチが、一時的に私から離れた時、じっとしていてもしょうがないので、ゆっくりと下り始めました。
ハチは、すぐに戻ってきて、頭のあたりを旋回しています。
ゆっくりと歩いている限りでは、ハチは攻撃とは受け止めていないようなので、その状態で歩き続けましたが、ある程度のところまで下ると、ハチは追いかけて来ませんでした。
あーー、助かった。
なんとも言えない安堵感と、重たい疲労感がありました。

当分、山には行きません。

山のエッセイTOP

山の写真の部屋  琵琶湖オオナマズの趣味の部屋
fishmlホームページ  湖南アルプスの麓から
お魚情報館  うなぎ情報館
Copyright(C) Aug. 1.2005 by Toshio Yabe. All rights reserved