初めて陶印をつくりました


陶印ってなんですか? って聞かれることもあります
あの 掛け軸の下の方に押されている印鑑
落款っていうのですが、本来は石に彫ります(これを篆刻といいます)
その印鑑を陶磁器で創ったものを陶印と呼びます
北大路魯山人や富本憲吉なども陶印をつくり、
川合玉堂や棟方志功らも愛用していたそうです。

昨年から篆刻を習い始めて、月に一度の篆書体のお習字に頭を悩まし
印材相手に視力の落ちた目を擦りながら、ゴリゴリ印を刻んでいます


そんな教室で、先生が陶印を作りたいという話題がでました
「そんなに本格的なものじゃなくて良いのですが 2〜3個程」
素人ながらも陶芸をやっている身としては、なんとか先生のご希望をと
協力を買って出たのでありました。


引き受けたのは良いけれども、陶印なんて創った事も無い私としては
富本憲吉や魯山人の図録を見ながら、なんとか陶印のイメージを掴もうと
いろいろ思いをめぐらし、やっと形にしたのですが…
世田谷美術館の富本憲吉展で実物を見たら、私の思っていたものより
ずーっとサイズが小さかったぁ!
でもまあ 大きいことは良いことだぁ ということで初めての陶印作りが始まりました


■かたちをつくる■                                    
陶印のかたちといっても??
どんな形につくったら良いのか解りません。印材の形にするくらいは解るのですが 
他にどのような形にしたら良いのでしょうか
とりあえず魯山人や富本憲吉の図録を眺めて、陶印の造形を考えました。
陶芸教室で粘土を捏ね繰り回し、どうやら形にして素焼きが出来上がりました。
土は半磁器土です。

さっそく篆刻の教室で先生に素焼きの陶印材を渡しました。
彫っていただいたのは取っ手の着いている印材の方が 「大慶」
右側の印材が、私の名前一文字を取って「宏」と彫っていただきました。
「宏」の方は出来上がったら私が頂けるそうです やったね!


        


■デザインを考える■                                         
石で出来たハンコと陶磁器でつくったハンコの大きな違いは?
それは印材の形を自由に作れるということと、もうひとつ 意匠に凝ることが出来る
ということだと思います。
ちょうどそのころ、陶芸教室の仲間と連れ立って世田谷美術館に「富本憲吉展」を
見に行きまして、妙にその色絵が印象に残っておりました。
彼の図録を眺めながらイメージを膨らませ、ノートにいろいろと陶印のデザインを
書き留めていき、最終的には下の写真のように、染付けと上絵付けで富本風の
デザインを決定!
100均で買った色鉛筆も役にたちます。

     右下の絵は柳?のつもり
                       瀬戸の石皿風の絵柄を目指しました


■絵付けをします■                                        
素焼きの印材にいよいよ絵付けを行います。
上の図案帳のとおり、今回は染付けと色絵で意匠を描きます。
染付けはご存知のように、釉薬の下に絵付けを行い、その上から透明釉を掛けて
下絵を発色させます。
下絵は呉須と呼ばれる酸化コバルトを水で溶いたもの。
図案帳にブルーで描いてある部分を面相筆で描いてゆきます。
今回は柳に竹を書き込み、サイドには甲子模様を丁寧に描きました。

透明釉を掛けて本焼き。本来だと還元焼成(窯内を不完全燃焼させて焼く方法)
の方が呉須の発色や白い磁体も綺麗にでるのでしょうが、何しろ今回が第一回目
早く作品にしたいので通常の酸化焼成(完全燃焼で焼く方法)でお願いしました。

翌週には本焼きが出来上がり、呉須で描いた罫線や柳が現れました。
その上から色絵をつけてゆきます。
図案帳で言うと、赤と緑の部分です。
色絵の具は膠で解いたものを面送筆で描いて行くのですが、素焼きに呉須で
書くのと違って、失敗したらすぐふき取れます。
でも慎重に慎重に
色絵が描き終ったのが下の写真
このあともう一度低温で(800度くらい)焼き付けて完成です。





■出来上がり■
出来上がりました。
上の色絵の具をのせた写真と見比べてください。
赤絵や緑も綺麗に発色しました。
印面の歪みもあまり無く、早く印泥で印章を見たいのですが、これは篆刻教室で
先生にお見せするまでお預けです。
後日印影をとりましたが、いかがでしょうか。
すばらしい陶印を創る機会を与えていただき、先生に感謝いたします。


印字は『宏』


印字は『大慶』








■後日談■
平成19年4月に通っている篆刻教室に、産経新聞の取材がありました。
記事はもちろん篆刻がメインの話ですが、吉永先生が見本としてお持ちになった
この陶印が紹介されました。
掲載は平成19年4月21日(土)の産経新聞朝刊の生活面です

何か嬉しいなぁ
篆刻初めてよかった よかった
ちなみに下の写真 吉永先生が手に持っているのも私が彫った印
細かいところが見えなくて こちらもめでたし

篆刻家 吉永隆山先生のHPはこちらから
篆刻に興味をもたれた方はぜひご覧ください

★★篆刻(てん刻)「作品とその周辺」★★吉永隆山


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