秘 密 基 地


秘密基地、あるいは隠れ家、、、なんともいえない懐かしさと郷愁が込み上げてくる言葉だ。はすぴー世代(昭和33年生まれ)のおじさんなら、ガキの頃、秘密基地ごっこを1度や2度はやったはずだ。たぶん秘密基地という言葉が一般的になったのはサンダーバードウルトラマンがきっかけだったのではないだろうか。サンダーバード国際救助隊は無人島を秘密基地にしていたが、これを除いてはだいたい悪者が密かに秘密基地を築いて世界征服やら人類滅亡を企てていた。たとえば仮面ライダーの敵〜地獄の軍団ショッカーは地底に、サイボーグ009の敵〜死の商人ブラックゴーストは海底に、映画007「ゴールデンアイ」では湖の底に基地が隠されていたし、砂漠の中や雲の中など目立たぬ所に密かに存在するのが秘密基地の特徴だ。これがまたとってもカッチョよくて、僕らは空き地や原っぱに秘密基地もどきを作ったものだ。これが「秘密基地ごっこ」で最近ではこんな遊びをしている小学生はまずいないだろう。

当時の秘密基地は大きく分けて、(1)土管 (2)木の上 (3)資材置き場 (4)草の中に基地を築いていた。

(1)土管 

今ではまず見かけることがなくなった土管は昭和のあの頃には空き地に必ずといってよいほど、置いてあった。ドラえもんによく登場するあれだ。中に段ボールでも敷いて入り口をベニア板でふさげば、これだけで秘密基地になったような気分になる。雨の日でも遊べるが、基地としては丸出しなので秘密性に乏しいのが最大の欠点であった。

         
  

(2)木の上

手間は相当、かかるものであるが秘密基地としては最高級。しかし東京下町でこれを見かけることはなかった。トム・ソーヤの冒険やディズニーの作品によく登場する。そういえば、映画「JACK」にも出てきて木の上に小屋を作ったり、ハンモックを吊るしたリして、どちらかといえば物語の世界かなぁ〜。
        

(3)資材置き場

高度成長期だった時代なので、あちこちで工場やビルが建てられていて、空き地には現場で使う資材が山積みされていた。コンクリートの土管もそうであったが、材木やら鉄板やら土砂など、、、とても危険な場所なので「絶対にここで遊んではいけない」と釘をさされるわけだが、こういう場所ほど秘密基地になりやすい。積み上げられた材木の隙間にはちょうど子どもが3〜4人、入れるスペースになっていて、ゴザか段ボールを敷けばそれでよし。 

      
こんな木が秘密基地への入り口だったりする(大宮氷川神社にて)

そのほか、秘密基地になったのは、土手であったり、廃墟と化した工場などもその対象であったが、なんといっても一番ポピュラーで、もっとも秘密基地らしかったのは草の中に作る基地であった。なんという名前の草か知らないが、枯れると茎が棒状に固くなる草があった。生い茂ったこの草ぱらを鎌倉を作るように中側を抉り出して地面をならす。ゴザを敷いて家らしくし、屋根にはトタン板を乗せ、入り口は段ボールでふさぐ。頑丈にするために大黒柱を立てたりもした。広さは4人が寝ころがれるくらいのスペースのものを2時間くらいかけて作る。完成して中に入り込んだ時の草のにおいを今でも覚えている。

さて、苦労して作った秘密基地で何をするかだが、まずは食糧を蓄えなければならない。近所の駄菓子屋に買出しに行き、ポパイ(カレー味のせんべい)とジュースを買ってくる。それらを食べながら今後の作戦会議を実施する。

はすぴー:よし、とりあえず食糧は確保したから次は敵の攻撃に備えて武器を用意しておこう。

田中君:よし、俺は家から銀玉鉄砲を持ってくる。

小林君:じぁ、俺っちは弓矢と手裏剣だ。よっちゃんは吹き矢を持っていたな。

吉川君:おう、あとは忍者刀とかんしゃく玉ももってくる。

はすぴー:さっき2B弾と爆竹も買ってくればよかったな。

田中君:敵はてごわいから入り口付近に「落とし穴」も掘っておこうぜ。

小林君:例のうんこ、おしっこ入りのやつだな。オッケー

はすぴー:秘密基地に入る時ってさ、合言葉をいうもんだぜ

吉川君:そうそう。合言葉は絶対に必要だ

はすぴー:どんなやつがいい?

田中君:ジャイアントロボのユニコンみたいに「ナポレオンの切り札は」ってどう?

はすぴー:それは真似っ子だから「ナポレオンのチンボコは」にしよう。

小林君:おっ、いいね。合言葉は「左向き20センチ」だ。(一同 笑)

こうして、武器の確保、落とし穴、合言葉などが決まり、ますます秘密基地らしくなってくるのだ。

ところで、原っぱには色々なものが落ちている。たとえばビンに入った薬品のようなものの残り。

秘密基地内での会話

小林君:これ、さっき拾ってきたんだけど、何かの薬品みたいだぜ。

吉川君:きっとすごい猛毒の残りかも知れん。

はすぴー:量が少ないから、家にある薬とか混ぜて猛毒をもっと作ろう。

田中君:よしっ、いろんな薬、もってこようぜ。

こうして、各自、自分の家庭からこっそり赤チンだの、今治水、ケロリン、正露丸などを持ってきて、調合するのだった。

はすぴー:だいたいこんなもんかな。とりあえず完成した。

吉川君:この猛毒、実験してみたいな。

田中君:さっきトタン板の裏側にカタツムリがいたよな。あれで実験しよう。

こうして、カタツムリは犠牲になり、わけのわからない薬品をかけられてしまうのであった。

小林君:ほら、苦しがっているみたいだぞ。

吉川君:だんだん溶けているみたいじゃん。

はすぴー:すげぇ〜猛毒の完成だ!作り方は絶対に秘密にしておこうな。

こうして、猛毒も完成し、ますます秘密基地らしくなってくるのだ。

ところで、原っぱには色々なものが落ちている。たとえば雨に濡れたボロボロのエロ本

秘密基地内での会話

小林君:これ、さっき拾ってきたんだけど、エロ本みたいだぜ。

はすぴー:きったねぇ〜本だな。雨でボロボロじゃんかよ。

小林君:でもな、えっちなページは、ほれ、きれいだぜ。

田中君:うわっ、裸ばっかりじゃん。

吉川君:やべー、チンコたってきちゃった。

こうして、エロ本も入手し、ますます秘密基地らしくなってくるのだ。

さて、ますます秘密基地らしくなった我らの基地だったが、3日後、となり町の中学生がやってきて、悲しい結末を迎えることになる。

となり町の中学生A:おい、お前ら ここにこんなもん作っていいと思ってんのかよ。

小林君:誰にも迷惑をかけていないからいいじゃんかよ。

となり町の中学生B:だいたいそういう口の聞き方が生意気だんだよ

はすぴー:じぁ、元にもどせばいいんだろー

となり町の中学生A:おらおら、こんなもん、こうしてやるぅ〜

吉川君:うわっ、やめてくれよ、せっかく苦労して作ったんだから

となり町の中学生C:おらおら、こんなもん、こうしてやるぅ〜

(我ら一同)うわーん、崩れるぅ〜 バラバラバラ、、、

こうして僕たちの秘密基地はサンダーバード国際救助隊に救助されることもなく、無残に壊滅させられてしまったのだ。(せめて笛を3回吹く時間があれば、マグマ大使を呼べたのに。。。)

悲しい出来事ではあったが、秘密基地ごっこはオイラの脳裏にこうして刻まれている。

ちなみに最近、荒川の土手にぼくらが作ったのとよく似た秘密基地を発見したが、それは言うまでもなくホームレスのおじさんの家だった。。。

      


(原稿:2003.2.24) 

「あの頃」のセピア色の想い出