日本海軍艦艇

駆逐艦「吹雪」
このページでは列強海軍国に先駆けて建造し 世界を驚愕させた艦隊型駆逐艦、通称「特型」の変遷を図面で検証。
 平成13年1月27日更新

ようこそ「駆逐艦「吹雪」に!。


 「吹雪」型駆逐艦

  大正10年ワシントン軍縮条約により主力艦の保有量を米、英
 海軍の6割に制限された日本海軍は、其の劣勢を制限外の補助
 艦艇により補うため、より強力な駆逐艦を必要とした。
  これにより完成したのが、従来の概念を遥かに超えた性能と
 重武装の「吹雪型」で、特型駆逐艦と呼ばれる純日本型の大型
 駆逐艦であった。この特型駆逐艦の出現は各列強国の駆逐艦に
 大なる影響与え、その後に建造された近代駆逐艦の原型とも言
 える斬新な艦型であった。
  これまでの英国式から脱却した艦型は、大きなシヤーを持つ
 長船首楼甲板上に艦橋を設け、後方に傾斜した二本の煙突と、
 艦首に付けられた強いフレーヤを後部まで延ばした船体は、い
 っそうのスマートさとスピード感を与えた。
  この吹雪型の出現に驚愕した英、米国は更に補助艦にも制限
 を加えてきた、これにより無理な建造を強いられた「特型」は
 後期型になるに従いトップヘビーや船体の強度に問題を生じた。
  しかし昭和11年の性能改善工事により安定性を強化させた特
 型駆逐艦は太平洋戦争で駆逐艦隊の中堅として善戦し、「潮」
 「響」を残し全てが戦没した。


  「吹雪」型 T型艦型図


「吹雪型」駆逐艦の変遷

「吹雪型」駆逐艦は別名特型とも呼ばれ、大正12年度計画で建造
開始され、最初の艦「磯波」が昭和3年6月に竣工した。、続い
て大正15年度、昭和2年度でも計画され、最終艦「響」が昭和8
年3月に竣工し、合計24隻が建造された。
しかし建造計画期間が4ヶ年以上の長期にわたったため、その
間に造艦技術や兵器などの進歩は著しく、此れを建造中の艦に逐
次採用していき、結果的に初期の艦と後期の艦では艦形に違いが
生じてきた。
「吹雪型」を初期、中期、後期型の3型に分け、それぞれをT、
U、V型と呼称し区別した。特にV型においては外容だけでなく、
主缶数を減らすなど、少なからずの改正を見たので「吹雪改」型
とも呼ばれた。  
 各型を記述すれば下記の如くになる
T型 大正12年度計画 吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲
   大正15年度計画 東雲、薄雲、白雲、磯波
U型 昭和2年度計画 浦波、綾波、敷波、朝霧、天霧、狭霧
           夕霧、 朧、 曙、 漣、 潮
V型 昭和2年度計画  暁、 響、 雷、 電
 この内、U型の一番艦「浦波」は昭和2年度計画艦より、改正
 が採り入れられたため、主砲はT型と同じで有るが煙突基部に
 設けられている缶室給気筒の形式が改正され、外観上T型とU
 型の中間的型になった。

各型の相違点の概要

 T型の缶室給気筒は煙管(キセル)状のものが、煙突の両側に設
けられていたが、U型以降では、お椀を伏せた形のものが煙突の
周囲を取り巻くように設置され、後で建造される日本駆逐艦のす
べてがこの型式となっている。
 なおT型の煙突では背が高く、細い感じを受けるがU型では高
さを減じ幅が広くなり、重量感を増している。(下図参照)

 またV型に於いては空気余熱器の採用で効率アップに成功し、
主缶を従来型の4缶から3缶に減じた、従って前部煙突は1缶分
でよく、U型などの半分の太さになり、T型、U型と比べ外容上
特異な感じを受ける。(上図U型新造時と下図参照)

 対空兵装面では、T型で装備されていた7.7mm単装機銃2門が
U型では12.7mm2門になり、主砲塔もA型砲塔と称されるものから
B型砲塔に換装された。このA型砲塔は風波を防ぐ程度の鉄板で覆
ったもので、給弾も人力による最大仰角40度の平射砲で準砲塔とも
言えるものであった。これに対しB型砲塔は機力式給弾方式とし、
仰角も最大75度で高角射撃が可能でる。(下図参照)

    (詳細は仮題「駆逐艦の搭載砲」で後日説明)

 特型が建造された時期には、あらゆる兵器が急速に発達し、
それに伴い射撃式装置の強化が要求された。これは高角測定器
や魚雷発射指揮装置を艦橋に集中することになり、さらに方位
盤装置の採用などにより後期型になるに従い艦橋構造は拡大複
V型に至っては大型化された艦橋は重心の上昇を招き、特型全
体に行われた性能改善工事の際に縮小小型化された。
(上図V型参照)
 魚雷発射管はT型、U型とも新造時には波防盾(カバー)無
しで後日装備されたが、V型では建造時から設けられいた。
(下図参照)

防波盾付き魚雷発射管


「駆逐艦.吹雪」

新造時の吹雪(一等駆逐艦)を示す


艦 種   一等駆逐艦(特型) 吹雪型ネームシップ
姉妹艦    白雪 初雪 深雪 叢雲 東雲 薄雲 白雲
       磯波 浦波 綾波 敷波 朝霧 夕霧 天霧
       狭霧  朧  曙  漣  潮      
 改型     暁  響  雷  電 

 排水量    基準排水量  1,680トン
        公試排水量  1,980トン

 主要寸法   長さ   全  長   118.00m
             垂線間長   112.00m
              水線長   115.30m
        幅   水線最大幅    10.36m
           水線下最大幅         m
        平均吃水          3.20m

 主 機(型式−数)艦本式オール.ギヤードタービン  2基
 主 罐(型式−数)ロ号艦本式水管缶 重油専焼罐   4基

 機関出力     50,000馬力    速力 38.0ノット
 燃料搭載量    重油 475トン   軸数 2軸
 航続距離(Kn−哩) 14-4,500浬    乗員 219人

 兵装  主 砲 12.7cm50口径 3年式連装砲3基( 6門)
     機 銃  7.7mm     式単装機銃2基( 2門)
     発射管 61.0cm 90式水上魚雷発射管3連装 3基 
     魚 雷        式魚雷  本

 起工  大正15年6月19日   進水  昭和2年11月15日
 完成  昭和3年8月10日   建造所 舞鶴工作部

 備考  特型駆逐艦と称し、近代駆逐艦の原型になる、以後の
     各列強国の駆逐艦に大なる影響与えた。

  ネームシップ艦「吹雪」はバタビヤ沖海戦では目覚ましい活
 躍をし、又ガタルカナル増援輸送作戦に従事すること5回など
 良く苦戦お乗り超えてきたが、昭和17年10月11日ガタルカナル
 島の飛行場砲撃のため第6戦隊と共に出撃し、米艦隊と遭遇こ
 れにより発生した、サボ島沖夜戦でレーダーによる集中射撃を
 受け、ガ島エスペラント岬沖に、名声を博した其の姿を没した。
 
   


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