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2005年
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小説晴子の ページへようこそ

短編小説・オムニバス

旅は私に不思議なエネルギーを与えてくれます。
海外旅行、ことにフランスの旅は、、、

主人公は1編ごとに変わります。女性であったり男性であったり。
また時代もタイムスリップし現在・未来・古い時代へと、、


夢・幻想・創造

では、じっくりとお楽しみ下さいませ
Photo: Kaneyoshi Takatori


murasaki
紫の愛

広尾にある家庭的な撮影会社の依頼で、小田原まで行くことになった。始発 でその事務所がある集合場所へと向かった。久しぶりの早起きは遠足のようで新鮮な気分になる。少しけだるい体と心の底には小さな期 待と新しいスタッフ達に会う楽しみが入り混じり。窓から入る風は朝の洗い髪を乾かしながら、私にエネルギーを与えてくれる。

昨日FAXで送られてきた絵コンテに目を通し、背景の小田原の景色に空想をはせる。
事務所からロケバスに乗り、小田原へ向かう。元気のいいADさん(従兄弟に似た顔立ちと明るい性格が)私を安心させた。

バス移動の間、うとうと浅い眠りに落ちながら、後方座席に特別な存在の気配があることを感じていた。無意識にそれはあった。振り向かずそのままの空気を味 わった。

バスから降り撮影準備に走り回るスタッフ。私はメイクも済み静かに待った。

背中が熱い。深い感情が行きかうあの熱さを感じた。振り向けない。
「お待たせしました。こちらへ」とADさんの声に救われた感があり、ゆっくりと立ち上がり、移動準備をしながら何気なく振り向いた。必ず居る大きな存在を 確かめたかった。

彼は黒いセーターに黒いズボン、黒のハイカットの上質な皮の靴。
その靴紐を器用そうに結んでいた。そして彼は私のかすかな視線を完全に受け止めた。「もう逃げられない」人生が変わることを自覚した瞬間だった。初めての 人、初めての感情そして人生を大きく変えた人
2004/04/19
murasaki


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