Leon Russell Live (11.21.05 at Bunkamura オーチャードホール)



レオン・ラッセルが来日すると聞いたとき、へぇ〜、いいなぁ、行ってみたいかも・・・と思った。と、同時になんでまた・・・?とも思った。最近オリジナルアルバムを出したというわけでもないし、目立った活動をしているわけでもない。それこそ70年代の前半はカリスマ的な存在感タップリの
伝説のミュージシャン的な存在だったと言われている人だけど、近年の彼はそれこそもうトシだし、隠居しちゃってるのかな・・・などと漠然と思っていた。そう考えてもおかしくはない歳だしね。

今回の公演は東京は(大阪もか)2回とも平日だったし、ちょっとキビシイかな・・・と諦めていたのだが、行く予定だった友人が行けなくなったとかで、よかったら代わりに行かない・・・?と声をかけてくれたのである。
オーチャードホールは初めて。ロックコンサートというよりは、クラシックやオペラの方が似合いそうなホール(実際そっち方面の公演が多いようだ)。きれいだし格式もある(ような気がする)。そういえば昨年、ジャクソン・ブラウンがアコースティックライヴをやったのもここだったんだよなぁ・・・と、楽器だけが置かれた、まだ誰もいないステージに、ジャクソンが弾き語りする姿をしばし思い浮かべてみる・・・。

ほぼ定刻どおりにコンサートは始まった。
向かって右袖から白い帽子に白髭白髪、白いパンツにブルーのアロハ風のシャツといういでたちのレオン・ラッセルが1人で登場。ちょっと足がおぼつかないようで、杖をついている。最短距離を歩いて、右前方のピアノの椅子に座ると挨拶もそこそこに演奏が始まった。で、そのピアノなのだが、普通のピアノの音色ではなく、
多彩なぶ厚い音が出るようになっていて、そのシンセサイザー的な音に最初はちょっと戸惑った。
オリジナルと感じが違うので、すぐにはわからなかったけど、オープニングは"Magic Mirror"。全体の3分の1ぐらいは、ピアノソロでしっとりと聴かせてくれた。MCもなく、曲間もほとんどなく、ほとんどメドレーのように曲が進む。心の準備(?)もできていないうちに早々と"A Song For You"が出てきてしまい(しかもメドレーの1部のような形で)、
ええ〜、もうコレやっちゃうの・・・?とちょっと拍子抜けしてしまった。

ソロ・パートのラストは結局"A Song For You"で、それが終わると、左袖から女性が1人で出てきて、演奏なしの声だけ勝負のソロで1曲。この方、どうやらレオンの娘さんであるらしい。父娘で共演できるなんて素晴らしい!その後、バンドのメンバーが現れ、ここからはいよいよバンドセット。バンドの構成はギター、ベース、パーカッション、キーボード(これはレオン)。
バンドセットになってからも、
淡々とステージは進み、レオンはやはり淡々と歌う。1曲だけ他のメンバーにソロをまかせたものの、ほとんど曲間もないので、座っているだけとはいえ、結構ハードだったかもしれない。
バンド・パートではなんといっても"Delta Lady"が嬉しかった。往年のパンチの効いた声には及ばないが、やっぱりカッコイイ。でもって、おおっ、
あのイントロ・・・!バングラデシュの映像が蘇る、"Jumpin' Jack Flash"だ!"Young Blood"はやらなかったけど(メドレーでつないだ曲が何だったかはわからず)途中"Paint It Black"のリフまで飛び出して、大いに沸かせてくれた。そうそう、こういうノリを待っていたんだよ、私は!
ーーなどと思っていたら、これがラストであった。レオンは手ぐらいは振っただろうか。去り際はよく覚えていないけど、最短距離を杖をついて帰っていった。

アンコールを待っていると、いきなり場内が明るくなり、「
本日の公演は全て終了いたしました。只今ロビー売店にて・・・」などというアナウンスが流れ始めた。あん・・・?アンコールなしかい?と、ちょっと戸惑う。
けど、まぁこういうのもありなのかもなぁ・・・と、気が抜けながらも無理やり納得させようとしていたら、いきなり前方から歓声が。そう、レオンとバンドメンバーが
戻ってきたのだ。そしてノリノリなロックンロール!みんな総立ちで、前の方に押しかけた人も大勢いる。この曲、最初は何だかわからなかったのだが、よーく聴いてみると、なんと"Roll Over Beethoven"ではないか!よーく聴かないとわからないようなアレンジだったのか、私の耳が鈍いのか(多分後者でしょう:笑)、とにかくサプライズな選曲にグッときた。これってジョージへのリスペクト、と受け取っちゃっていいのかな?ジョージのライヴ・イン・ジャパンのバージョンを思い出そうとしたけど、頭の中を駆け巡ったのは、ジョージの声が青くてかわいらしいビートルズ・バージョンの方だった。

休憩なしの1時間半のステージはこのようにしてお開きとなった。"Tight Rope"、やらなかったのは残念。"Bluebird"も"Stranger In A Strange Land"もやらなかったなぁ。わかった曲は全体のせいぜい3分の1というところか。
そういえばこれは後に関連のブログを読んでわかったのだが、
”アコースティックセット+ピアノソロ”という当初の予定が本人の要望で急に”エレクトリックセット”に変更になった、という張り紙がしてあったのだそう。そんな張り紙なんて全然気づかなかったけど。確かにアコースティックセットのわりには、エレキギターがビンビンうなってるなぁ・・・と思ったのだけど、そういうことだったのね。個人的にはこの人のスワンプ全開のワイルドなバンドサウンドが好みなので(まぁ、しっとりなのも好きですが)結果的には良かったのかな。

席は1階中央右寄りで、丁度ピアノを弾くレオンの正面らへんだった。あそこにいる奇抜なルックス(笑)のおっさんが34年も前に、ジョージやディランと1本のマイクを分け合い、あの美しいワンシーン("Just Like A Woman")を造り出した1人なんだなぁ・・・などと思うとちょっと不思議な気がした。バングラデシュで見られるようなカリスマ性は、さすがにもうなかったけど、
貫禄と存在感は相変わらずだった。
遠目だったし、レオンは黒いサングラスをかけていたのでわかるはずもないが、その下の眼光は相変わらず鷹のようにギョロリと鋭かったのだろうか。それとも歳を取って温和なジジイの”やさしい瞳”に変わっていたのだろうか。なんとなく後者のような気がするのだけど、いかがなものだろう・・・。



('11.27.05)




レオン・ラッセル(Leon Russell)



1942年米国オクラホマ州、ノートンに生まれる。幼少の頃からクラシックピアノを習い、14歳ですでに自らのバンドを結成し、演奏活動を始めていた。60年代前半からスタジオ・ミュージシャンとして活躍し、ロネッツ、グレン・キャンベル、バーズなどそうそうたるアーチストのバックを務める。(バーズの"Mr. Tambourine Man"でのピアノは彼だそう)60年代後半、デボラ&ボニーのまとめ役やジョー・コッカーのプロデューサーとして名を馳せ、70年、自身で立ち上げたシェルター・レーベルからジョージやリンゴ、クラプトンにストーンズのメンバーや、スティーヴ・ウィンウッドも参加したと言われるLeon Russellでデビュー。スワンプ全開の2作目Leon Russell&The Shelter People、ソングライターとしての魅力が詰まった3作目Carneyと、いずれも高い評価を受ける。
カーペンターズで有名な"Superstar"や"A Song For You"、ジョージ・ベンソンの"This Masquerade"、ジョー・コッカーの"Delta Lady"など、カバーも多数。
コンサート・フォー・バングラデシュでは、独特の存在感でステージを盛り上げた。




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