きっちりスゴイぞっ!
〜Growing Up Live/Peter Gabriel





久しぶりに気合を入れて更新してみようじゃないか、という気持ちにさせてくれたピーター・ガブリエルの02〜03年にかけて行われた"Growing Up Tour"から、2003年のイタリアはミラノでのステージを収めたライヴDVD。およそ10年ぶりとなったこのツアーは、2002年にリリースされたアルバム「Up」に合わせて行われた。

プログレ期のジェネシスは一応一通り制覇したし(あ、"Live"はまだ持ってなかったわ)スティーヴ・ハケットもまぁだいたい揃ったことだし、次はやっぱりガブリエルだろう・・・と別に意識して聴きだしたということは全くないのだが、「Up」にただならぬ衝撃を受けてしまい、その流れでこのDVDは密かに気になる存在だったのである。

しかし、彼のステージがどんなものなのか、ということは全く知らずに、何の予備知識もなくこの映像を見たのだが・・・
いやぁ〜、たまげました(笑)
そりゃジェネシス時代は奇抜なファッションやメイクでシアトリカルなステージがあまりに有名ではあった。しかし、ソロになってからは、若い頃ならともかく、最近の彼はなにしろ歳を取った。これは誰にでもいえることであって、彼だからどうこう、ということではもちろんないのだが、それでもジェネシスのメンバーの中では一番外見上の変化が激しかった人ではないかと思うのだ。
長いことミュージシャンをやっている人の中には、昔の写真と最近の写真を見比べても、どうしても同一人物に見えない、というくらいに違って見えてしまう人がいるが、ピーターはまさにその典型といっていいと思う。
2006年のトリノ五輪の開会式で動くピーター・ガブリエルを初めて見た時、自分が
イメージしていた姿とのあまりのギャップに目を疑ったのを覚えている。その頃はジェネシス時代の彼のことはよく知らなかったのだが、「So」のジャケット写真の姿とのあまりの違いに、本当にこのヒトがピーター・ガブリエルなのか・・・?と思わず口を半開きにしながら、TVに映るクマのようなオジサンを穴があく程に凝視してしまったのである。

そのトリノ五輪でのイメージが強かったせいだろう。どうも「近年のピーター・ガブリエルは歳とって
老成してしまった」という、なんというか「受身」のイメージが自分の中で勝手に作り上げられてしまったようだ。遅まきながら聴いた「Up」は確かに素晴らしかった。それのツアーってことでもちろん期待してこのDVDを買ってみたわけなのだけれども、しかしやっぱり「老成」のイメージは消えず、ただキーボードに座って歌い上げるだけの、なんとなく淡々とした、ひょっとしたら所々退屈とさえ感じられるステージなのではなかろうか・・・と勝手に想像していたのだ。

ところがどっこい、とんでもない・・・!
ピーターさんは熱かった!「老成」なんて言ってしまって、ゴメンナサイ。即撤回いたします・・・と私はTVに向かってひれ伏したのであった。

ライナーの言葉をそのまま借りるなら、「きれいに頭を剃り上げ、チベットのラマ僧のような格好」をしたピーター・ガブリエルは、一昔前のショーン・コネリーに似ているようにも思えるし、何年か後のジョージ・クルーニーの姿ともダブるような気もする。オープニングこそひとり静かにキーボードに向かい、「地味め」だったりするのだが、ステージが進行するにつれ、何だこりゃ、タダゴトではないぞよ・・・と思わず腰を浮かせてしまったのである。
ステージは回転する円形のものでセットがなにしろ凝っている。上から吊り下げられ、上下する大きな円形のシャンデリア状の装置とその中から現れる楕円状の幕(風船?)のようなもの。曲によっては小舟が出てきたり、ピーターがTVショウのディレクターに扮してカメラを回す真似をしたり、逆さまになって歩いたり(ジャニーズか!?:笑)、巨大なボールの中に入ってピョンピョン飛跳ねたり、自転車に乗ってステージをグルグル回ったり、ピカピカ光るライトジャケットを羽織って歌ったり・・・。
この歳でそんなことを?と思ってしまう位にアクロバティックなのである。「老成」なんて言ったの誰だよ、失礼な!(笑)
さすがジェネシスでシアトリカルなステージをやっていただけのことはある。いや〜,恐れ入りました。
ボーナス映像で、逆さまになったり、自転車を乗り回したりするのはさすがに恐かったと本人も言っていたが、体を張って頑張ってしまうピーターさん、根性あります、スゴイっす。

面白いなと思ったのはツアースタッフたちの様子が映っていること。円形状のステージの下からオレンジの作務衣のようないで立ちで、頭にヘッドランプを装着した裏方さんたちが曲の合間に小道具や楽器の入れ替え等をテキパキと行う。当たり前のことではあるけれど、コンサートって多くのスタッフの手によって作り上げられていくんだなぁ、ということが改めてわかる。
それから、このツアーにはピーターの娘(次女だそう)のメラニーがコーラスで参加している。そういう目(ってどういう目?)で見てしまうせいもあるのかもしれないけど、どうもお父さんは娘と歌うことに若干の
テレを感じているようで、ちょっと微笑ましかったりするのだ。

とにかく、見ていて気持ちのよいライヴである。それは
オーディエンスの反応がすこぶる良い、ということとも大いに関係がありそうだ。イタリアの客ってホントにノリが良くて、まさに「ステージと客席が一体化」されている状態なのだ。あんな空間に身を置いてみたい・・・と思う。イタリアでのピーター・ガブリエル(及びジェネシス)の人気は特に高いと言われているので、日本ではきっとこんなふうにはいかないんだろうけど・・・。

いやぁ〜、とにかくぶっ飛んだ映像であった。
ピーターに関する外見的な私見(老成化云々・・・)は完全に払拭された。ヤレヤレ(笑)
当分はこれで楽しめそうだけど、実はその前('93〜'94年時)のツアーDVDを中古で見つけたので買ってしまいました。これも今回のツアーと同じ人が演出しており、セットも凝った大胆なものであるらしいので、見るのが楽しみである。(今回のボーナス映像でその一部をチラっと見ることができる)他にCDも2枚買っちゃったし・・・。今年はPGにハマりそうな気配・・・?かも?




Growing Up Live/Peter Gabriel


1. Here Comes The Flood

2. Darkness
3. Red Rain
4. Seacret World
5. Sky Blue
6. Downside Up
7. The Barry Williams Show
8. More Than This
9. Mercy Street
10. Digging In The Dirt
11.Growing Up
12. Animal Nation
13. Solbury Hill
14. Sledgehammer
15. Signal To Noise
16. In Your Eyes
17. Father, Son

…Plus
1. The Story Of Growing Up
2. Tony Levin's Tour Photographs
3. Nodole - Interactive "Growing Up"



ピーター・ガブリエル (Peter Gabriel)


1950年ロンドン生まれ。パブリックスクールの同級生トニー・バンクス(key, g)と作ったグループに、後にマイク・ラザフォード(g, b)とアンソニー・フィリップ(g)が合流して、'ジェネシスを結成。'74年、眩惑のブロードウェイ(The Lamb Lies Down On Broadway)を最後に脱退、ソロに転身する。
最初の頃こそジェネシス色が残ったものの、徐々に払拭していき、80年代に入ってからは、最新のシンセサイザーや民族音楽を取り入れ、独特のサウンドを作り上げた。'86年の5枚目にあたるSoではポップな要素を前面に出し、大ヒットを飛ばした。シングルカットされたSledgehammerは、ビデオクリップも話題を呼び、初の全米No.1に輝いた。
また、WOMAD(=World of Music, Arts and Dance)というワールドミュージックの フェスティバルを主宰し、その普及に貢献したことでも知られている。
2002年、10年ぶりとなるスタジオアルバムUpをリリース。ツアーも精力的に行われた。


(1.17.08)


back
ホームページTOPへ
雑文集CONTENTSへ