「こうなりたい」ロールモデルと「ああはなりたくない」アンチロールモデル

「文句だけの“中年評論家”にならないためにすべきこと」 
 河合薫 1月13日版より一部抜粋しました。

大手企業に勤められる40代後半の
女性(部長職)が語られます。

「甘えた おばさん女の子でいる
   先輩を見てると、ああなりたくない  
   っていうか  石に齧りついても、
   自律した かっこいい女性に
   なってやる、って思うんです」

「甘えた おばさん女の子」とは、
  ・困ったときに、猫なで声をだす
  ・都合が悪くなると「よくわからな〜い」
    とすっとぼける
  ・決断を下さなきゃいけない場面に、
    責任放棄する
  ・いい年をして“女”を使う
のような中年女性をいうみたいです。

その女性は続けて、
「数年前まで、部下を どう育てれば
   いいのか?、 現状を打破するには
   どうしたらいい?とか、自分の問題
   だけ追われていた。
   今思えば、それって結構、楽だった。
   育ってもらわなきゃ困る部下が山ほどいて、
   日々決断を迫られ、自分も 
   まだまだキャリアアップしなきゃ…
   カラダがいくつも必要な感じで
   ただ、目の前に いつまでも甘えた
   “おばさん女の子”がいるわけで、
   ああはなりたくない。」
と話されます。




40代後半にもなれば、誰もが遭遇する問題の一つに、
「こうなりたい!」とポジティブな理想より、
「ああはなりたくない」という否定的観点に
陥ってしまいます。

「男性が、ゴマすって出世する同僚に、
   あんな “ゴマすり男”に なりたくない!  
   って思うのと一緒?」
「いい給料もらって、口だけ動かして、
   自分は働かない“使えないおじさん”に
   なりたくない! というのと同じ?」

河合薫氏は 同じ と言われます。

・年下の男性に甘えた声を
  出してすり寄ったり
・上司の男性の ちょっとばかり
  曲がったネクタイを、まるで
  奥さんのように直したり
・気分次第で、部下たちを
  怒鳴りちらしたり

河合氏は、そんな女性を思い出しては、
「これが楽な処世術」とささやく自分と、
「ダメ!負けるな!ああなったら終わり!」
もう一人の自分が心の中で格闘するらしいです。




「ロールモデル」というのは、リーダーシップ
研究によって生まれた言葉ですが、
「上司の背中を見て、部下は伸びる」
日本の徒弟制度が原型と言われます。
 
キャリア意識向上の研修などで、
ロールモデルが取り上げられます。

「 『ああなりたいなぁー』 と思える人物
 (=ロールモデル)を意識して見なさい。
   ただ、漠然と観察するのでなく、
   リーダーシップの理想モデルとして
   観察すると、明確に映ります」
 という研修が行われてるみたいです。

ですが、ロールモデルとしての役割を
果たすのは、30歳代までと言われます。

リーダーとなって活躍するミドル世代の
ほとんどは、『アンチロールモデル』
(=ああはなりたくない) になってしまう
のが現実とされます。

自分の限界が分かってきたミドル世代は、
「もう自分は無理」というような雰囲気を
映し出します。

体力や気力の衰え、能力の限界などの
ミドルとしての戸惑い リスクを、敏感に
感じ取られるようになったからといえます。

まさに、不惑40歳です。




気持ちは理解できて、身体が追いつかない。
今しなければならないことが山積してて、
焦りを感じ始める年代ともいわれます。

そして一端、守りに入れば、気づかなくても、
『アンチロールモデル』を漂わせています。

「自律した素敵な女性になる!」
と言ってみたものの、
「こうなりたい」は消極的になってしまい、
「ああはなりたくない」が前面に出てきます。

「こうなりたい」という人生の分岐点で、
「ああはなりたくない」が見えてしまいます。

さらに、50歳が目前にまで迫り来れば、
「今しかない!」って気分になり、
逆算人生が始まります。

その結果、「今 やらなければ!」となります。




人間は深層心理の中に、
「自分自身に対するイメージ=自己概念」
を持っています。

一生懸命に努力したものの、結果として、
「なりたくなかった人間になってしまった」
という事実を正当化せざるをえません。

そうするための手段として、
新たな“自己概念”を創出して、
「仕方ない」と「今の自分」を受け入れます。

そのように、『アンチロールモデル』となった
事実を悔やんでも、将来につながりません。

昔も今も、夢みたいな理想論を抱かれて
「ああなりたくない」評論家を続けるより、
自己概念を修正し、今の自分に適応した
新しい生き方をされることが
大切と指摘されます。

そのようにして、建設的な 前向きな対処、対策を
行わない限り、真の問題解決はできないと説かれます。

再修正されながら、少しずつ、やり直される
ミドルは多くおられます。

「若いときから続けてきた妻と月1回のデートが
  めんどくさくなった」
という男性は、
「出張帰りにレストランで妻と待ち合わせよう」
というアイデアを思いつかれました。

その男性は、子どもさんが独立され、
生活環境が変化して奥さんとの衝突が
増えてました。

また、毎朝 犬の散歩に夫婦で出かけることを
日課にされ、その散歩時間をご夫婦の
話し合い時間にされたケースもあります。

いずれも、だからといって、100%問題が
解決するわけでありませんが、
環境の変化に応じて、自らを適応させる
工夫が感じられます。




40代後半からの人生を、「個性化」という
考え方で捉えれば、
不惑の「危機」も
乗り越えられるはず
と解説されます。

自らを「個性化」へ向かわせるとは、
危機意識を抱きながら勇気を持って、
ああはなりたくなかった「今の自分」を
現実として受け入れることだ
と説かれます。

そして今の環境に応じて、「こうなりたい」という
新しい自分を創造し、より個性的に生きていかれる
ことだといわれます。

ですから、
「ああはなりたくない」
アンチロールモデルが、
目の前にちらつくようになれば、もう その時点で
「自分自身の危機状態」と認識されて、
環境の変化に応じて 新しい生き方を創造されたら
いいのではないでしょうか。

それとも、"甘えたおばさん女の子" のように、
50歳になっても  危機意識もなく
無邪気に 
ワァー ワァー キャッキャと
はしゃがれるのでしょうか。



河合薫(かわいかおる) 
健康社会学者 気象予報士
1988年 千葉大学教育学部卒業 全日本空輸入社
     気象予報士として「ニュースステーション」出演
2004年 東京大学大学院医学系研究科修士課程修了
2007年 博士課程修了(Ph.D)


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