平成8・9・10年度の研究内容
理科研究室新聞
編集:小県東部中学校理科教科会
  
【平成8年度】【ここは平成9年度の研究です!】【平成10年度】

平成9年度
       東部中学校理科教科会授業研究
1、単元名 『身のまわりの科学』 小単元「熱と物質の世界」  
                    “状態変化する温度は決まっているか”
2、小単元設定の理由 
 今までに生徒は、熱と物質に関わっては小学校3年で光と関連させて「光が当たると物によって明るさや温まり方に違いがある。」ことを、4年では「金属・水・空気は、暖めたり冷やしたりするとその体積が変わる。(金属は、熱せられた部分から順に温まり、温まると体積がわずか増える。水や空気は熱せられた部分が移動して全体が温まる。水は温まると体積がわずか増え、空気は暖まると大変大きくなる。)」ことや「水は温度によって氷や水蒸気に変わる。(0度まで下げると氷に、100度近くになると沸騰して水蒸気に変わる)」ことを学んできている。そして5年では、「物質の水への溶け方について、温度が高いほどたくさん溶ける。また、水溶液を加熱して水分を蒸発させると、溶けていた物が水と分かれて出てくる。」こと等の性質を学んできている。また、熱することで物が燃えたり変化したりするように、化学変化を起こす要因としての熱ということも6年で学んでいる。このように自然現象の中で温度とか熱とかの持つ性質をいろいろな角度から学んできたり、日々の生活の中で経験してきている。しかしな、生徒にとって熱という物を又は、熱が及ぼす現象について系統的に意 識しているかというと不十分であると考える。一方でこのことはかなり難しい問題を抱えていると考える。このようなな生徒達に、物質が持っている性質の中で熱を授受によって起こる現象である融点・沸点の存在とそれに関わる現象の理解をさせたいと願っている。
 そこでまず、熱を加えている時間(熱量の大きさ)と水やエタノールの温度上昇をグラフ化することで、純粋な物質には沸点が存在する事に気づかせる。そして、沸点で物質は液体から気体へと状態変化を起こしており、この実験の逆に気体の熱を奪っていくともとの液体になることを理解させたい。こうした学習の積み上げの上に立って、物質が混合しているとき(水とエタノール)の温度上昇パターンや実験中に気がついた事実より、混合物から純粋な物質を取り出せることに気づかせ、その具体的な方法を考え、話し合いを通して検証することで、混合物の沸点の違いから、純粋な物質を取り出せることに気づかせていきたいと考えた。同時に各種機具の扱いや観察・実験の記録の仕方など、自然を調べる能力や態度を育てたいと考えて、本小単元を設定した。

3、単元目標
 (1)総括目標
  身の回りの熱に関わる事物・現象を観察・実験することを通して、熱の性質・規則性について理解を   深め、自然を調べる基礎的技能や態度を育てると共に科学的な見方や考え方を養う。

 (2)具体目標
 「自然への興味関心・意欲・態度」
  @物質の状態変化に興味を持ち、身近な現象や既有経験を生かしたり観察や実験を通して科学的    に進んで調べようとする。
  A日常生活に関わっている身の回りの事物・現象と関連づけて調べたり考えたりしようとする。
 「科学的な思考」
  @沸点や融点のデータをもとに、物質を識別する方法が説明できる。
  A観察・実験を通して考察し、物質の状態変化の実験の記録から、純粋な物質の状態変化の特性を   見つけ、物質を同定したり分離の方法を考え説明できる。
  B蒸留によって分離した物質を同定することができる。
 「観察・実験の技能・表現」
  @物質が状態変化するときの体積や質量の変化を調べ、結果をまとめることができる。
  A物質の加熱時間と温度との関係を正しくグラフにかき表すことができる。
  B融点や沸点の違いによって混合物を分離することができる。
 「自然現象についての知識・理解」
  @状態変化は温度によって物質の姿(状態)が変化する現象であることが説明できる。
  A状態変化の前後で化学的な性質は変わらない。また、体積は変化するが重さは変化しない。
  B物質の密度をもとに、体積から質量を求めることができる。
  C融点・沸点の定義ができ、混合物の分離の方法が説明できる。
4、小単元展開
学習問題 学 習 活 動 指   導
1、氷の上で沸騰している物はなん だろう <予想される反応>
・氷の上で沸騰するなんて信じられない。・液体窒素じゃないかなあ。・液体窒素(沸点はー196℃)を使っての演示実験を観察する。
・液体窒素は氷の上で沸騰することを簡単に説明する(沸点については触れない)
・本来窒素は気体だが
液体にもなることを知らせる。
2,温度によって姿を変える物質にはどんなものがあるだろう?
<予想される反応>
・水は氷や水蒸気に変わる。
・砂糖は溶けるとドロドロになる。・小学校でろうそくを溶かしたりした。
・注射用のアルコールはすぐ乾きスーッとする。
・演示可能なものとしてジエチルエーテル(沸点35℃)を使用し、液体から気体に変わる様子を見せる。同様に塩化ナトリウム(融点801℃)が溶ける様子も見せる。
・温度によって固体、液体、気体に変化すること(状態変化)の説明。
3,ロウが状態変するとき体積や質量はどうなるだろう?
・あらかじめ質量を計っておいたロウを液体、固体と変化させそのときの質量や体積を実験を行い調べる。
・溶けるとき固まるときの様子をよく観察させる。
・固体→液体のとき体積が増加すること。 水は例外で体積は減る。
・液体→気体のとき体積は大きく増加する
・質量は変化しない。
4,同じ体積の水銀と水はどちらが重いだろう
・同体積の水銀と水を実際に持ってみてどちらが重いかくらべてみる。
・物質1pの質量を密 度とすることを説明 する。
5,水はどのように姿を変えるのだろうか
・生活経験の中から、個体(氷)
・液体(水)・気体(水蒸気)という姿を想起していく。
・ガスバーナーの使い方の確認。
・昇華は説明する
6,水が沸騰するときの温度変化を調べよう
・枝付きフラスコを使って温度変化を調べ、水蒸気を冷やして液体に戻ることを実際にやってみる。
・沸点についての説明水の沸点と融点について。(水が基準になっていること)
・蒸留の操作も行う。
・1分ごとに測定していく。
7, エタノールの沸騰する温度を調べよう
<予想させる反応>
・実験の手順から100より低そうだな。
・手に付けるとすぐ蒸発するから水よりかなり低いのでは?
・エタノールを沸騰させた水で温め温度変化を調べる。
・エタノールは水より も沸点は低く78℃ であることや沸点は 物質によって決まっ ていること。
8,水とエタノールの混合物の温度変化を調べよう
・1:1に混合させた液体を熱したときの温度変化を実験からグラフ化する。

・混合物には沸点が一 定せず常に沸騰が続くこと。
・1分ごとに温度を測っていく
9,水とエタノールの混合物からエタノールのみ取り出すにはどうすればよいだろう?
<予想される反応>
・78℃の近くで沢山でてくるはず。
・79〜80のあたり。
・前時までの学習をもとにした予想を立て
 させる。
・エタノールの確認の方法についても学習
 しておく。
10,水とエタノールの混合物からエタノールを取り出そう
・混合物を枝付きフラスコを使い一
定時間ごとに蒸留した液体を取
り出すことによってエタノールを分留する実験を行い、温度を目安に身近なお酒からエタノールが取り出せる事が分かる。
・水とエタノールの沸 点の違いによってあ る程度それぞれの物質に分けることがで きることを知らせる 本時
11,まとめをする ・物質には特有の沸点融点が存在する。また、混合物から沸点の違いを利用して純粋な物質を取り出すことできる事がまとめられる。発表を聞きあう。
・今までの実験を(事実)をもとに考察しまとめていく。 1
12,熱と温度とはどう違うのだろう。
・熱の移動と水の温度変化について話を聞く。
日常経験を大切にしながら温度と熱の違いに気づかせる。
1
13,加熱時間と水の温度変化との関係を調べよう。
・水の量を変えた時の加熱時間と温度変化の違いから、温度と熱の違いについて考察し、熱量の出し方を知る。
・熱量の出し方に重点をおいて学習を進める。
1
14,水以外の物質の温度の上がり方を調べよう。
・<金属+水>と<水のみ>との結果の違いから、物質には温まりやすいものと、温まりにくいものがあることを、考察していく。
・比熱の考え方(水を基本として、単位量の温度変化から数値を決めだしていること)を通して理解させる。
1
15,まとめをしよう。
・問題を通して小単元全体のまとめをしていく。
・計算問題がいくつかあるので、重点的に扱う。 1
5、学習の流れ
「水とエタノールそれぞれに特有の沸点がある事を知ったり、両物質の混合物を加熱し たときの温度上昇の特徴や実験結果から、混合物からエタノールが取り出せる事に気 づいた生徒が、酒類からエタノールを取り出す方法を考え、実際に取り出す。」
項目       実 験 ・ 実験方法 ・ 指導まとめ
学習課題   「水はどのように姿を変えるのだろう?」
生徒の反応    →氷になるぞ    →水蒸気になるぞ
演示事項 ジエチルエーテルを温めたり冷やしたしする実験を通して気体から液体、液体から気体への変化を実感させる。液体窒素を使って、常温では考えられない状態変化を経験させる。
指導とまとめ 固体、液体、気体と状態の変化することを状態変化ということや物質の定義。

                           ↓
学習問題 水が沸騰するときの温度を調べよう (枝付きフラスコを使った実験)
実験方法の説明と実験 枝付きフラスコの中に一定量の水と沸騰石を入れ加熱する。記録の仕方、グラフ化のし方の指導を確実にする
実験結果 100℃付近で温度が上昇しなくなる。気体になった水を再び取り出すことができる。
指導まとめ 水は100度(より少し低いところ)で沸騰する。沸騰するときの温度を沸点という。試験管の中に水がたまっている。(蒸留の意味) 水の融点は0℃であること。
疑 問 他の物質の沸点は何度くらいなのかな?
学習問題 エタノールが沸騰するときの温度を調べよう。 (エタノールをお湯で暖め沸騰する温度を調べる)
実験方法の説明と実験 まず、水を沸騰させ、その後沸騰させた水の中にエタノールを入れた試験管を入れる。時間経過毎の温度を測定し、グラフ化していく。
実験結果 80℃くらいまでしか上昇しない。エタノールは水よりも沸点が低いのだ。エタノールがどんどん減っていっているぞ。
指導まとめ エタノールの沸点は78度である。沸騰している間は温度が変化しない。水やエタノールを純粋な物質という。沸点は物質によって決まっている。
疑 問 水とエタノールを混ぜ合わせたら沸点はどう変わるだろう?
学習問題 水とエタノールの混合物の沸点を調べよう。 (枝付きフラスコを使った実験)
実験方法の説明と実験 水とエタノールを1:1の割合に混ぜて枝付きフラスコで一定時間ごとの温度を測定していく。ガラス管の先を観察したり、におい等にも注目して実験記録をしっかりとる。結果をもとにグラフ化していく。
指導とまとめ ・混合物は沸騰しながら温度上昇が続くぞ。・沸点が変化していくぞ。・蒸気がどんどん出てくるけど、水ではないような感じがするぞ。・アルコールのようだ。においもあるぞ。
前時の結果から 水とエタノールの混合物(1:1)を熱したときの温度変化のグラフや実験結果からエタノールを取り出す事ができそうだぞ!身近な酒類に蒸留酒というものもあるぞお酒にはエタノールが入っていること、お酒によって量が違うようだ身近な酒類からだってエタノールを取り出すことができるはずだ・・・!!やってみたいなあ。
学習問題 酒類からエノールを取り出すにはどうすればよい のだろ?水とエタノールの混合物を熱したときの温度変化や実験結果から、考えよう。酒類の温度変化も水とエタノール(1:1)のグラフとほぼ同じになる事を確認する。
予想 ◎グラフの何℃位の所から取っていけばとれるはずだ?          ↓
〇70〜80℃の温度のときに取り出せばいいと思う。
〇エタノールの沸点(78℃)の近くでたくさん出てくるのではないか。
〇どこからでもエタノールは出てくるだろう。
〇どこからでもエタノールは出てくるだろう。
〇蒸気は出て、取り出せても混ざったものがでてくると思う。
○後半取り出したものは水で燃えないはずだ。
指導とまとめ ・枝付フラスコを使用する時の注意について確認する
・エタノールかどうかはにおいと火を付けることで確認できる
確認 ・温度を目安に分留させるのが難しそうな班は、時間を目安に 分留するように指導
学習問題 身近な酒類からエタノールを取り出そう   (枝付フラスコを使った実験)
予想の確認 何人かの生徒から予想をきく。
実験方法の説明 枝付きフラスコに混合物を入れ熱する。・でてきた気体が液体になったものを、温度を目安又は時間を目安に試験管数本に分けていく。 ・出てきた物質の同定確認を行う。(におい、燃やす)
実験結果 ○予想通りはじめの試験管の液体は燃える
○1本目の試験管の液体はエタノールのにおいがする。
○80〜90℃の液体は少し燃える。
○90℃以上の液体はにおいもしないし火を付けても燃えなかった。
まとめ アルコール混合物から、ある時間→ある温度でエタノール(アルコール)を分けることができる。これを分留と言うのだ
学習問題7   物質の状態変化と混合物からの物質の分離
全体まとめ ・物質には特有の沸点・融点が存在すること。・混合物から沸点の違いを利用して純粋な物質を取り出せる事ができる。  →水とエタノールの沸点のちがいによってある程度それぞれの物質に分けることができた。(分留できた)事を確認する。 ・この原理で身近で使われている石油は作られている事等を 話す。

6、本時案(略)




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