平成8・9・10年度の研究内容
理科研究室新聞
編集:小県東部中学校理科教科会
【平成8年度】 【平成9年度】 【ここは平成10年度の研究内容です!】
       
煮干しの胃の内容物の詳細は・・・・
《煮干しの胃内容物:胃の中の小さな生き物たち》のページへ
平成10年度
        東部中学校理科教科会 実証授業研究      
1、単元名 『生物つながり』 小単元「生物界のつながり」 “海の食物連鎖を探る”
2、小単元設定の理由 
 今まで生徒は、小学校において動植物の体のつくりや周囲との関わり等々について学んできている。そしてその上に立って、中学校では一年時「植物の世界」の単元で植物の生活と体のつくりや仲間(種類)について、また二年時は「動物の世界」の単元で動物の生活と体のつくりや仲間(種類)について、身近な動・植物を使った観察・実験を通して、生物を調べる方法を知ると共に、動・植物体の基本的作りとはたらきについて学習し、生物の多様性と同一性について学んできている。
 さらに3年では、単元『生物のつながり』の中の小単元「生物の細胞」で植物も動物もその体は細胞でできていることを知り、両者の構造を明らかにするとともに、成長は細胞の分裂と伸長の結果であることから、細胞分裂時の染色体のふるまいに共通性があることについて認識を深めてきた。また、小単元「生殖と遺伝」では、動物も植物も仲間の増やし方には無性生殖と有性生殖があること、またその際生物の特徴は受け継がれていく(複製されていく)というような共通性に気づかせる事を通して、生命の連続的なつながりを学んできた。小単元「生物の進化」では大きな時間的な流れの中で、動植物の特徴が受け継がれながらも、少しずつ変化しながら(進化しながら)現在生きている人間にまで至っている事を学んできている。
 そして、小単元「生物界のつながり」では、自分たちの生活経験や資料等を通して、身近な東部中学校の周辺を中心に東部町では、どの生き物がどの生き物を食べているかを矢印でつなげさせる等の活動をしていく。こうした活動を通して生物界には食物を中心にしたつながりが有ること(食物連鎖)、そしてその関係は身近な東部町の中だけでなく、海の中やアフリカのサバンナ等々の色々な場面に存在する事やこの「つながり」における共通性に気づかせていく。
そして、こうして自分達の経験や資料で学んだ食物連鎖の考え方を生かして、海の生物界のつながりについて考え、予想をたて、資料で確認し、実際に自分たちの身近にある煮干し(イワシ:マイワシ・ウルメイワシ・カタクチイワシ)を中心として食物連鎖を検証しようとしている。こうした、資料から考察していく活動や胃袋の中味を調べる等々の活動を通して、観察・実験の記録の仕方や科学的な追究の仕方等の自然を調べる能力や態度の育成を願っている。また、発展的に生物量に注目させながら、生物同士の絡み合いの中で生物界全体が一定秩序を保っていることを学ぶことや、エネルギーの流れと言う観点で自然をとらえることで、科学的な自然の見方や考え方を育てたいと願って本単元を設定した。
3、単元目標
 (1)総括目標
 身の回りの生物に関わる事物・現象を観察・実験することを通して、生物や生物界全体の特徴・規則性について理解を深め、自然を調べる基礎的技能や態度を育てると共に科学的な見方や考え方を養う。
                       
 (2)具体目標(小単元)
「自然への興味関心・意欲・態度」
 @生物が生きていくための相互の関係や、自然界における生物同士のつながりなどに興味関心を持ち、資料  などを調べたり、身近な自然を対象に観察・実験を通して科学的に進んで調べようとする。
 A日常生活に関わっている身の回りの生物における事物・現象と関連づけて調べたり考えたりしようとする。

 「科学的な思考」
 @既有知識や資料から、生き物の食べる食べられるの関係を大きく捉えることができる。
 A陸上における食物連鎖を元にして、海における食物連鎖の実際を、身近にある煮干し(イワシ)を中心に    した食物連鎖を観察・実験学習と資料学習を通して説明できる。    
 B捕食者と被食者との量的な関係を、一般化して述べることができる。
 C生態系において構成する生物群のつり合いが崩れたときの自然回復について説明できる。

 「観察・実験の技能・表現」
 @陸上や海の中の食物連鎖を自分達があげた生き物を中心にして食う食われるの関係をつなぐことができる
A煮干しの胃袋がわかり、その内容物を取り出して調べることができる。
 B検索表を使い、観察して自分の予想した生き物の存在を指摘できる。

 「自然現象についての知識・理解」
 @食物連鎖の生産者と消費者を指摘し、量的関係について説明できる。
 A食物連鎖の量的な関係は一般的にピラミッド型になることがいえ、底部に緑色の植物が位置することが説   できる。
 B自然界における分解者(菌類・細菌類)のい役割を説明できる。
4、「生物界のつながり」単元展開案   
学 習 問 題   学 習 活 動                  指   導
1、身の回りの生き物はどんな生き物を食べているのだろう。
    
(1)各自今までの既有経験知っていることを発表する。
※東部町、家の周りや学校の周辺等森や畑・田圃などで生きている生き物ではどうか発表する
・ヘビは蛙を食べるぞ
・蜘蛛が昆虫を捕まえていた。
・カマキリはバッタ等を食べているぞ
・毛虫は草を食べる
・カエルは虫を食べている?
・タカは・・・
・スズメは虫や木の実
(2)身近にいながらあまり見たことのないカモシカやタヌキの話を中心に、実際に色々な生き物が生きていくために他の生き物を食べていることを実感する。
(3)上がってきた生き物やスライドの中の生き物を中心に、話し合いを通して食う食わ れの関係を矢印を使って表していく
(4)こうした食う食われるの関係を「食物連鎖」ということでまとめる。
資料冊子「東部町の自然」東中科学部著、東部町町史自然編よりの抜粋




*川については陸上に入れて考えさせる。

各種スライド
→タヌキ、カモシカ、クモ・・・・準備



生き物漫画磁石をつけた、動物を型どった画用紙を使って、黒板にて食う食われるの関係を矢印でつなげさせて
いく。

2、身の回りの生き 物はどんな生き物を 食べているのだろう。(2)
(1)土の中の食う食われるの関係を考える。
・モグラがいる。見たこと有るぞ・・何を食べているのだろう
・土の中と言ったらミミズがいる確か土を食べているはずだ?
・ミミズを中心に土の中の食物連鎖を考え発表する。
(2)海ではどうだろう?
・マグロはいろいろなものをとらえているようだ。
・鯨がオキアミを食べていると言う話を聞いたことあるぞ。
・シャチはどん欲で何でも食べると聞いたぞ。
・マグロは?
・カツオは?
資料
土の中の食物連鎖
生き物漫画





実物大の生き物漫画


・陸の上だけでなく色々な場面で生き物が生き物を食べる様子が見られることをまとめ る。
3、食物連鎖の特徴って何だろう。
・前時授業で作った、食物連鎖をの図を見ながら考える。
→@中学校を中心とした東部町の食物連鎖  A土の中の食物連鎖 
  B海の食物連鎖
資料:海の生き物を書いた紙、あるいはプリント又は模造紙
・たどっていくと、最後は植物に辿り着くこと。また、大型の肉食動物に辿り着くことをまとめる。  
4、食物連鎖が成り立っていることを調べるにはどうしたらよいのだろう。

(1)食物連鎖を確認する方法について考える。(話を聞く)
→食性は糞の分析、胃内容物の分析、実際の様子(これは現実的にはかなり難しい)
 同時にイワシを中心とした食物連鎖について疑問をあげる。
(2)海における食物連鎖を、身近にある煮干し(イワシ)を中心に実際に調べるにあたり、その食性を考え、何を食べているか予想する。
・個人での予想を確認する。
・班毎の予想を確認する。
・学級全体で個や班の考えを知り合う。
「海の食物連鎖を小さなイワシ
(煮干し)を中心に調べよう」」
(3)実験方法について説明を聞く。
○「海にすんでいた体の小さいイワシ(煮干し)の胃袋には予想した生き物がいるのだろうか?」
資料:関谷先生のタヌキ・テン・キツネ等の糞内容物についての資料を使って考えさせるる。→科学的な調査方法についてまとめる
*海における食物連鎖の一部を確認する事を確認する
学習カードA
資料:イワシの生活場所等生態について
資料:前時に完成させた模造紙に書いた海の食物連鎖の図を参照しながら食う食われるの内容について考えさせる。
*個人の考えを書かせる。
*実験方法を説明する。
簡易検索表1
本時
5、煮干し(イワシ)は何を食べているのだろう。
(1)方法について確認する。
(2)実験(スケッチ):煮干しの胃袋を調べ、どんな生き物が取り込まれているか確認し、分かったことを発表し、考察する。
・思った通り、小さなイワシを干した“煮干し”には小さな動物がいたぞ。
・植物の藻類がいたぞ。
・動植物の両方を食べているのだなあ。
・予想通りだぞ!
→観察した結果から、イワシの食性が分かり、食物連鎖を説明する。
(3)感想を発表する。
(学習カードA)
(簡易検索表1、2)
*煮干しの胃袋における生き物の
*状況により簡易検索表2(写真)を渡す。(エビの仲間、珪藻類:コシノディスカス、タ
ラシオシーラ等の同心目、プレウロシグマ等の羽状目、ツノモ、ウミホタル等々
*黒板に海の食物連鎖について、画用紙に書いた魚を張り出し、イワシを中心とした食物連鎖を意識化する。
6、動物は植物がなくなっても生きていくことができるだろうか、又生物界のつり合いはどのように保たれているのだろうか。
(1)消費者と生産者について知り、食物連鎖での生物の数量関係を理解する。
・アフリカのセレンゲティ地域での動植物の数量関係を知り、ライオン一頭あたり何平方kuの草原が必要なのか計算で求める。
(2)自然界で肉食動物が増え続けない訳を考えること等で、自然界では、生物(植物・動物)自身がその数を釣り合わせていることを理解する。
「消費者」と「生産者」について説明する。
天災や人間による自然開発のためにつり合いが崩れることが有ることを説明する。
7、生き物の死体は(糞や葉も)どうなってしまうのだろう
(1)カモシカの死体のスライドを見て、これからどうなっていくか考え発表する。
(2)菌類や細菌類のはたらきについて理解し、その検証実験について知り演示実験を観察する。確認は次時に行う。
(3)分解者について説明する。
資料:カモシカの死体のスライド

実験の準備
8、自然界で物質はどのように循環するのだろう

◎分解について実証実験を行う
(1)動物は自分の体を作っている炭素や窒素を何から得ているのか‘物質循環の図’を使って理解する。
(2)自然界における物質の循環について説明をする。
実験の準備
資料:物質循環の図

5、本時案
(1)単元名「生物界のつながり」
(2)小単元「生物界のつながり」
(3)本時の位置 全8時間中第5時間目
  ○本時 海の食物連鎖の関係が実際に成り立っている事の証明方法を、イワシの生活場所や食性などの    事実から自分たちなりの方法を考え、学習計画を立てる。
  ○次時 食物連鎖について、食う食われるの関係を数量的に考える。
(4)本時の主眼
  ・イワシの生態や陸上動物の食物連鎖からイワシの食性を予想した生徒が、イワシ(煮干し)から胃の内容   物を取り出し、顕微鏡で観察することを通して、イワシが自分よりも小さい植物や動物を食べていることが   分かり、海の中の食う食われるの関係をイワシで説明できる。
(5学習課題
 「マグロやカツオなどに食べられているイワシは何を食べて生きているのか胃の中身を調べて確認しよう。」
(6)指導上の留意点
・導入は、前時で扱ってあるので確認程度とする。
・個別実験観察である、二人一組お互いが共に協力助言しあいながらできるよう指導する。
・器具の扱い方、イワシの解体など基本的操作について事前に演示指導で注意を促す。
(7)本時の展開
段階 学習活動 予想される生徒の反応 指導・助言 備考 時間
課題把握 1学習課題を確認する
2自分の予想をする
「学習課題」マグロやカツオなどに食べられているイワシは何を食べているのだろうか?

(1)プランクトン(動物・植物)をたべているのだろう。
(2)自分よりも小さい魚、弱い魚を食べている。
(3)魚の卵を食べているのかもしれないな。
(4)共食いをしているのではないかな。
・全体の予想を確認し予想を発表させる。
・確認程度とする。
・学習カード
・検索表1
・顕微鏡
・ピンセット
・お湯
・煮干し・シャーレ
実験をして 3各自実験をする ・二人一組でお湯に浸しておいたイワシ(煮干し)を解体し、胃を取り出し、胃の内容物をプレパラートにする。
・各自顕微鏡で自分の作成したプレパラートを観察する。

(生徒の気づき)
・胃を取り出すのは難しいなあ
・植物に見えるがはっきりしない物が見られる。
・エビの子供みたいな物がみえるなあ。
・胃の取り出し方について確認をする。
・机間巡視
・うまく取り出せないグループへの指導
・不完全な形で見えることに触れる。
・はじめ150倍で観察する。その後600倍で観察させる





(評価)
○手順にそってイワシの胃を取り出し観察することができたか。
○自分の課題に従って集中して観察できたか。
・見つけられないグループには検索表2を渡す。
・分かったこと、感想を記入する。



・はじめ倍率は150倍で
・検索表2(写真)






・教師作成のプレパラートを用意し見つからない生徒にはこれを与える。
30
まとめ 4結果発表


5片づけ
・自分の予想通りコシノディスカスの一部が見られた。
・何か赤色をしたエビの子どもみたいな物が入っていた。
・もやもやしていてよく分からなかったが緑色をしていた。
・細長い珪藻が見られた。

               
・イワシは自分よりも小さい生き物を食べている。そして、イワシもカツオに食べられている。
・イワシも「生きるためにプランクトンを食べているがイワシも弱い魚だから生き延びていくために大変だ。
これまでの学習で海の食物連鎖についてまとめる。 板書 15

(8)反省
6、素材・教材研究                                                             (1)導入のためのスライドの説明と考察(スライド提供・解説:関谷圭史)
No スライド写真の説明 考察
ホテイアオイの葉を食べるアゲハや蛾の幼虫 理科研究室の池で撮影。第1消費者の代表として、葉を食べる場面を生徒も良く目にしている。特にクルミを食べる通称「シラガダユウ」という幼虫はは生徒達になじみ深い。
クモの巣にかかった昆虫 木造校舎である東部中学校の至る場所で生徒達が目にしている。
リンゴを食べるメジロ 果実を好む野鳥として、生徒達は技研の前のサクランボのを食べに来るヒヨドリ、サクラの密を吸うヒヨドリ、柿のみを食べに来るヒヨド・ムクドリ等をしばしば観察している。
ミカンを食べるキレンジャク
幼虫をくわえるシジュウカラ 鳥類が子育てのために幼虫をくわえていくのを生徒も何回か観察している。
ライ麦、サワグルミの葉、苔を食うカモシカ 第一次消費者としての草食の哺乳動物の代表。東部町でも千曲川の段丘面や湯ノ丸、烏帽子方面にカモシカが生息しており、目撃したことのある生徒も多い。
魚やドッグフードを食う狸 東部町の和地区で行った狸の調査のおりに、赤外線センサーで撮影。タヌキは生徒達も夜道を渡る所などを目撃しており、身近な哺乳動物である。
トウモロコシ畑で罠にかかった狸 タヌキは植物質でも、動物質でも何でもよく食べる。雑食性の動物の代表的なものである。生徒の家の畑でも、タヌキによる食害が多いようである。
ノリスの雛、巣の中にはウサギの足! このあたりの生態系の頂点に立つワシタタ科の野鳥ノリス。東部町の山地や高原で最も良く目撃できるワシタカである。
10 ネズミをつかむチョウゲンボウ 松本市や上田市でビルに巣作りをすることで話題になったワシタカ。足にはネズミをつかんでいる。
11 カモシカの皮と骨 山の斜面で見つけたカモシカの死体。土壌生物に食われ、分解者によって骨と皮にされてしまった様子が分かれる
なるべく、校内で撮影した写真、東部中学校付近に姿を現す動物の食う場面、獲物をくわえたり、持っている場面を選んだ。生徒達に身近な動物たちを使うことにより、同じような場面を観察した経験を思い起こしたり、その動物が何を食べているのか興味を持つことができると考えた。                 
(2)東部中学校を中心とした生き物たち                                                 東部中学校の周りには、西側に法善寺のケヤキ林、北側には公園の林、東側にも小さなケヤキ林がある。ケヤキ林には、コナラやクヌギ、クリ、ツルウメモドキ、スグリなどの果実をつける植物が豊富である。それらを求めて、たくさんの動物たちがやってくる。東部中学校にもシジュウカラやヒヨドリ、カワラヒワなどの野鳥、イタチやアカネズミなどの哺乳動物、大きなヘビなどがしばしば生徒の目の前にも現れる。ヘビや、イタチは木の実などを餌にする草食動物をねらってやってくる。東部中学校で、生徒達g普段目にする動物たちだけでも、食物連鎖の関係が十分に推測できる。                   図表 <東部中学校やその周りのケヤキ林に生息する生き物たち>                                 
(3)土の中の生態系(調査:関谷圭史)   
 詳しくは、分解者のところで扱いたい。土の中の食物連鎖については、生徒に身近なモグラとミミズ、ダンゴムシ、ハサミムシ。技術科室前の落ち葉捨て場の腐った落ち葉の観察で、必ず出てくる、ダニ、トビムシ、カニムシで考えさせたい。分解者の所では、ツルグレン装置を使って、土壌生物の観察を行っている。                           ツルグレン装置による土壌生物の観察結果                                            @上田四中の学級園(S60.10.2) ※100平方センチメートルの土中                               ・・トビムシ  38+α  ・ヒメミミズ 16+α  ・ダニ  3+α ・ハサミムシ 2+α  ・カニムシ  1+α
A小牧山
・ダニ  13+α  ・トビムシ  8+α
B菅平ミズナラ林(S.56.7.5)※100平方メートルの土中
・ダニ 103+α  ・









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