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白夜行 第一部 全体感想編

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☆★ 2005年9月24日 マチネ(笠原・舟見組)
★☆ 2005年9月24日 ソワレ(芳樹・及川組)


☆東野圭吾原作の、800Pある、代表作のひとつ、「白夜行」を二部構成で舞台化。

・・・正直「何考えてるんだライフ」と思った。
後ほど、原作者である東野圭吾さんも同じ事を発言なさっていた。
原作者も原作ファンも気持ちは同じであった・・・。

ライフは基本的に「時代」を重視しない作風である。舞台上のビジュアルも基本的に「イメージ映像」である。
その中で、倉田さんはドラマティックに「そこにたまたま存在した人々の感情の流れ」を描く。

一方の白夜行は、主人公の内面が全く語られること無く、淡々と、冷え冷えとした描写と共に物語は突き進む。
膨大な小道具が語る時代性、そして彼らが暮らすその土地の空気が物語を作る重要な一片となる。

・・・倉田さんと東野さんの持ち味は、正直ケンカするのではないか。どこに接点を見出せるのか。

また、時代や国が違う中ではあまり感じることの無い「女性役」の違和感が、昭和の日本、というくくりの中でどう存在するのか。


なお、この作品はまだ、第一部の上演が終わったところです。
原作を愛する私は勿論後半の展開も知っています(突然のオリジナル展開が無い限りは)。読んでずばりのネタバレはありませんが、「あの事件が」程度には語っております。何も余計な知識は入れずにご覧になりたい方は、ここから先は読んじゃダメ。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆

☆予想外にというか、予想通りというか、「ライフの」白夜行になっていて、思っていたよりもとんでもない事にはならずにうまくまとまっていたと思う。

原作の、「あふれる程の情報量、ディティールの積み重ねの中で浮かび上がる時代と人物」ではなくて、ライフらしい「何もない空間で、たまたまその時代に存在している人物たちが、何をどう思ったか」がふわりと立ち上がる作品になっていた。

正直言って、時代と、彼らの経済状況と、今雪穂と亮司が何歳なのかは全然分からない。←きちんと「西暦」は出るが、観客は「亮司×才」とか書いてくれなければ考えない気が。
パソコンの保存媒体がカセットテープだとか、そういう部分は出てくるけれども、あくまでもそれは背景としてさらっと出てくるだけ。


そうなった場合に、それはもう「白夜行」では無いのではないか。

また、舞台化する事で「誰がそれをやったか」を明らかにしなくてはならない事は説明過多ではないか。
また、登場人物が常に観客の前にいる事で感情過多になるのではないか(その時どんな表情をしているかとかは観客は見ることができるから)。

色々思っていたけれども、意外とそれはそれでアリ、と思えたのはよかった。


でも正直、見終わっても、雪穂と亮司の感情の観客への提示のバランスが、こんなに出しちゃっていいのかどうかはちょっと良く分からない。彼らは今回、「自分を取り巻く人々に向かって」と「観客に向かって」演技しているのだが、この「観客に向かって」部分のバランスは本当に難しい。正直どうなると一番いいのかは分からない。

原作好きとしては、「舞台としての答え」が知りたいというのも有るけれども、今回に関しては、もっと分からなくてもいいような気もした。
観客に対しても、とくに雪穂は「一体何考えてるのか分からない」状態であってほしい気がする。


☆原作をものすごく愛している人が多い作品を次々舞台化し続ける倉田さんだけあって、彼女の「原作との距離の取り方」は、原作を愛している人を裏切らない。

ま、作者が死んでいる時は大胆に別物にする傾向があるのだが、基本的に、倉田さんは本当にその作品が好きで、「作品」を舞台的に最も魅力的に見せる脚本を書き演出をする方なんだと思う。
自分が言いたいことをその作品を借りて表現するのではなくて。

倉田さんは、基本的に、原作を愛する人の「核」をきちんと落とさずに拾ってくれる。
実は毎回舞台的にすごく大胆に別作品に仕上がるんだけど、見ていて「違和感がすごくある」とか「何かが気持ち悪い」という事が非常に少ない作家さんだと思う。
(・・・単に、倉田さんの本の読み方と、私の読み方が似てるだけかもしれないけど)

今回、冒頭に書いたように原作「白夜行」とは明らかにその立ち上がり方が全然違うのだけれども、確かに舞台も「白夜行」で、その「違うけど同じ」感じが、すごく「スタジオライフだなー(というか倉田さんだなー)」と思った。



☆あまりにも全然終わっていないところで「(地を這うように)昼間を歩きたい・・・」幕。

「・・・終わった??え??終わったの???ここで終わり?????」
・・・大混乱。

全然終わっていない所で幕なので、カーテンコールの様子もいつもと違い全く笑顔なし。
今回は芳樹さん、カーテンコールですら笑顔が見られないので1回も笑ったところが見られない(泣)。

いや確かに2部構成って言ったけど・・・この全編伏線みたいな部分を、正直12月までは覚えていられません・・・。
多分伏線以前に「アンタ誰??」から始まるし・・・いっそ「エンジェルス イン アメリカ」方式で行くとか(1,2部通し、1部のみ、2部のみで売り出して一気に上演)してほしい。


☆正直言って、この作品は誰が見ると楽しめるのかちょっと良く分からない所もある。
私は「ライフが好き」だから、それぞれワンポイントで皆が活躍し、シニア勢ぞろいし、新人さんが新たな魅力を発揮していることでも満足する。
同時に、「原作好き」だから、舞台としての答えが知りたい所で答えがもらえたり、「本当は知っている人々」がどんな風にその言葉を発するのかに注目してみたり、あと、生きて動く亮司が見られた!みたいな楽しみ方もできる。

でも、特にライフのファンでもなく、東野ファンでもなく、フラリと見に来た方とかに何がアピールできるかと言うと微妙な気もする。
何かちょっと淡々としすぎだし、この作品の「第一部」中で訴える所があるかと言うと本当に途中だし、謎と展開が早過ぎて、自分の中に落ちてくる前に次の場面に行くからちょっと置いていかれるし。
勿論場面場面ではいい所もたくさんあるのだけれども、「白夜行 第一部」としての何か、があるかというと難しい。

今回は本当にもう「第一部」という割り切り方をしたんだなと思って、それは本当に大胆な切り方だけれども。


「ライフが好き」で「原作が好き」な私は充分楽しめたのだが、でも一方何かが割り切れない・・・。

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