2000.3.1 朝日新聞 阪神、大阪版など

返上の外国人登録証 新法で県保管の根拠消える


尼崎市など対応苦慮 返還業務 押し付けられる形に

尼崎の金さん「問題点改めて問う」

 
尼崎市と大阪市、大阪府豊中市の在日韓国・朝鮮人らが外国人登録法に抗議し
て国に返上した外国人登録証の扱いに、関係自治体が苦慮している。登録証は一
部を除き両府県が保管してきたが、四月一日の地方分権一括法施行で、保管の根
拠とされた府県経由の国の機関委任事務が廃止され、外国人登録業務が直接市町
村に委託されるためだ。
「市から本人に返してほしい」という国、府県に対し、押し付けられる形の市
側は「預かってもどうしようもない」と困惑。在日韓国・朝鮮人らは「たらい回
しは外登法の矛盾そのもの」と批判している。返上された登録証は兵庫県と
大阪府が各三枚を保管。このほか、大阪府を経由して大阪市がすでに二枚
を預かってきた。

 指紋押なつ制度の全廃を訴えてきた尼崎市の喫茶店経営金成日さん(四八)は一九
九〇年八月、当時の海部俊樹首相あてに登録証を郵送した。法務省ほ「登録業務
担当の市を通じて本人に返してほしい」と兵庫県に移送したが、尼崎市は「事務
の範ちゅう外」と受け取りを拒否。結局、県が九年以上も保管してきた。

 法務省入国管理局登録課は「地方分権一括法施行後も、従来の方針に変わりほ
ない」と、登録証の引き取りを事実上拒んでいる。府は今月二十七日、「四月以
降は預かる根拠がなくなるLとして、大阪、豊中両市に送付。兵庫では扱いをめぐ
って同二十四日、県と尼崎市が話し合ったが結論が出ず、県は「今月末まで
にはどう扱うか決めたいが、そのまま県が保管することはない」としている。

 大阪市は「常時携帯義務の指導まで市がすべきなのか。本人が国に返したのだ
から、法務省が直接対応してもいいのでは。送られてきてもどうしようもない」
と嘆く。尼崎市む「抱えたくないというのが正直なところ。地方分権一括法の施行
がなけれぱ、間題にならずに済んだだろうに」という。

 外登法は登録証の不携帯に罰則規定を設けているが、法務省は「登録証を本
人に円滑に返したい」と適用を避けてきた。地方分権一括法と同時施行の改正外
登法で指紋押なつ制度は全廃されるが、登録証の携帯義務は残る。金さんは「罰
則を適用せず、登録証を保管し続けてきたのは、間題の拡大を恐れたためでは。
人権無視の外登法の問題点を改めて間うていきたい」と話している。

差別的な外登法は見直す必要がある
 在日外国人の人権問題に取り組む丹羽雅雄弁護士(大阪)の話
 地方分権一括法の施行で外国人登録業務に関する権限がなくなる

府県が登録証を保管し続けれぱ、不携帯行為を容認するのと同じことになる。
返上された登録証を国と自治体が長年放置してきたこと自体がおかしい。
こうした間題が生じるのは、登録証の常時携帯を義務づける外国人管理制度
そのものの破たんを意味している。国は国運規約人権委員会の勧告に従い、
差別的な法律である外登法を根本的に見直す必要があるのではないか。

                            戻る