刑法判例


判例とは、実際に起きた事件に対する判決文ですから、「こんなことやって起訴されたり有罪になったり無罪になった人がいるのか」てな感じで読まれると面白いかと思います。
注)なおこのコーナーには暴力、性犯罪等に関するコンテンツが含まれてしまうことがあるかもしれません。
カッコ内は判決年。所名のないものはすべて最高裁です。




第222条 脅迫】
@生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
A親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。



○いわゆる村八分とする旨の決議は、相手方の人格を蔑視し共同生活に適しない一種の劣等者として待遇しようとするものであるからその名誉を侵害し、また右決議を通告することは、将来引き続き不名誉な待遇をしようとする害悪の告知にあたり、脅迫罪を構成する。(S9)

○政治問題について村内の二派の抗争が熾烈になっている時期に、一方の派の中心人物宅に、現実の出火もないのに「出火御見舞申し上げます、火の元に御用心」という趣旨の文面の葉書を差し出し配達させることは、脅迫にあたる。(S35))

○畑地交換の交渉中、前に警察職員であり柔道初段の力を持つ被害者に対し「俺は監獄の飯を食ってきた」等申し向けたが、まもなく話し合いで解決しようということになった場合、右言辞は脅迫罪を構成しない。(東京高裁S33)

○死刑を含む有罪判決を言い渡した裁判官に対し「人殺し、売国奴、貴様に厳烈な審判が下されるであろう」等記載した葉書を投函、配達させた行為は、文面が婉曲であり何人の手によって害悪が加えられるか全く不明確であり、脅迫罪が成立しない。(名古屋高裁S45)

○多数の集落住民が公開の場所において、ある住民に対する絶交の決議をしたときは、特にその通告をしなくとも、被絶交者が右決議を了知したときは、脅迫罪が成立する。(T13)

○妻の姦通事実を公表する旨通告したときは、夫の名誉に対する害悪告知ではなく、妻の名誉に対する害悪告知であって、本条2項に該当する。(S5)



【第234条 威力業務妨害】
威力を用いて人の業務を妨害した者は、233条の例(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)による。



○デパート食堂の配膳部に向かってしまへび20匹をまき散らすことは、客と営業者に嫌悪畏怖の念を生じさせるのみならず、満員の食堂を大混乱に陥れた以上、威力により業務を妨害したと言える。(S7)

○複数の漁協が共同で設立したイルカ対策協議会が、イルカを漁業上有害な動物として捕獲し処理することは正当な事業であると言えるから、動物愛護団体に所属する被告人が、捕獲網のロープを切断するなどして捕獲イルカ約300頭を逃走させた行為は、威力業務妨害罪を構成する。(長崎地裁佐世保支部S55)

○執務に際して目にすることが予想される机の引出し等の場所に猫の死がいなどを入れ、被害者にこれを発見させ、同人を畏怖させるに足りる状態においた行為は、被害者の行為を利用する形態でその意思を制圧するような勢力を用いたもので、威力を用いた場合に当たる。(H4)



【第185条 賭博】
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。



保護法益
賭博は、国民に怠情浪費の弊風を生じさせ、勤労の美風を害するばかりでなく、甚だしきは暴行その他の副次的犯罪を誘発し又国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらあることが、それを処罰する理由である。(S25)

賭博
○賭博罪成立のためには、勝敗が主観的に不確定な事実に係ることで足り、客観的に不確定であることを要しない。(T3)
○勝敗が単に技量の巧拙のみにより決まらず、偶然の事情の影響を受けることがある囲碁についても、賭博罪は成立する。(T4)
○一時の娯楽に供するものとは、関係者が即時娯楽のため消費するような物をいう。(S4)
○金銭はその性質上一時の娯楽に供するものではない(T13) 



【第186条 常習賭博及び賭博場開帳等図利】
@常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
A賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。



○賭博常習者とは、賭博を反復累行する習癖ある者をいい、必ずしも博徒のたぐいを指すものでない。(S26)
○常習賭博罪における数個の賭博行為は、包括して単純な一罪を構成する。(S26)
○賭博場開帳罪成立のためには、必ずしも賭博者を一定の場所に集合させることを要せず、事務所に電話等を備え付け、電話により賭客の申し込みを受ける等して行った野球賭博は、上事務所を本拠として行われたもので、賭博場開帳の場所を欠如するものでない。(S48)



【第208条 暴行】
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。



暴行の意義
暴行とは、人の身体に対する不法な攻撃方法の一切をいい、・・・着衣をつかみ引っ張るなどは暴行にあたる。(T8)

認められた事例
○毛髪の切断・剃去(M45)
○瞬時身体を拘束する行為(S7)
○驚かせる目的で、人の数歩手前を狙って投石する行為(S25東京高裁)
○かわらの破片を投げ、脅かしながら追いかける行為(S25)
○人の身辺で大太鼓・鐘などを打ち鳴らす行為(S29)
○狭い室内で脅す目的で日本刀の抜き身を振り回す行為(S39)
○他人の頭・顔に、お清めと称し、食塩を振り掛ける行為(S46)



【第204条 傷害】
人の身体を傷害した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。



○湖中に突き落とすことによる失神(T8)
○陰毛の引き抜き(S29大阪高裁)
○嫌がらせ電話による精神衰弱症(S54東京地裁)
○被害者方に向かっての怒号等という嫌がらせによる不安状態(H6名古屋地裁)



【第19条 没収】
次に掲げる物は、没収することができる。
@犯罪行為を組成した物
A犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
B犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
C前号に掲げる物の対価として得た物



○没収したたぬきが懐胎していた場合、生まれてきた子だぬきも没収できる。(T15)
○刀を没収するときは、さやも没収できる。(M44)

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