~ 第49回定期演奏会  平成28年11月13日  於 アイプラザ半田 ~



半田混声と潮干祭





  •  混声合唱組曲「潮干祭」は、
  •   1.序曲
  •   2.祭の準備(したく)
  •   3.祭本番
  •   4.祭の後
  •   5.祭讃歌
  • の5曲で構成されています。波静かな衣ヶ浦に神武天皇が上陸したといわれる天神岬の伝説(1.序曲)、さやがけ、ゴマ堀り、山車の組み上げ、囃子の稽古、しめ縄張り、のぼり立てなど祭に携わる人々のせわしい気持ち(2.祭の準備)、綱を引く子供、楫をきる若者、それを導く長老。やがて5輌の山車が干潮の浜へと曳き下ろされる。そこでからくり人形が演じられ、再び陸へと曳き上げられる光景(3.祭本番)、金魚屋、わたがし屋などの露店は姿を消し、祭を終えた人々はただ黙って家路を急ぐ。祭の後の淋しさと後に残る祭囃子の耳鳴り(4.祭の後)、祭へのかぎりない憧れ。大自然、祭そのもの、先人達の偉業を讃える様(5.祭讃歌)を絶妙なメロディーラインで表現した合唱曲です。
  • (当団委嘱作品 混声合唱組曲「潮干祭」誕生の経緯)
  •  当団は半田市立亀崎中学校合唱部OBを中心に結成され、半田市亀崎地区を拠点として演奏活動を行ってまいりました。草創期には亀崎潮干祭の各組に所属している団員も多数在籍しており、地元亀崎を代表する題材の合唱作品を委嘱することを企画し、活動をしてまいりました。
  •  そうした中、昭和58年、以前から親交を深めておりました加藤豊氏(長崎県活水女子大学教授)の作曲、矢口栄氏の作詩によって誕生しました。

  • (混声合唱組曲「潮干祭」の演奏歴)
  • 昭和58年
  • 第16回定期演奏会において、ピアノ伴奏により初演。
  • 昭和59年
  • 結成20周年記念事業の一環として沖縄県名護市において、「北部混声合唱団」・「名護市少年少女合唱団」との「交歓演奏会」を開催し、演奏。
  • 平成5年
  • 第26回定期演奏会において演奏。
  • 平成16年
  • 結成40周年記念第37回定期演奏会において、亀崎潮干祭保存会の協力により臨場感あふれる潮干祭模擬上演ならびに半田市民管弦楽団によるオーケストラ伴奏にて演奏。
  • (オーケストレーション:加藤豊氏)
  • 平成21年 
  • 結成45周年記念事業の一環として長崎県活水女子大学東山手キャンパス大チャペルにおいて、「長崎3団交歓演奏」で「女声合唱団Fortuna」・「長崎アカデミー男声合唱団」との3団合同により演奏。
  • 平成26年
  • 結成50周年記念事業の一環として地元半田市立亀崎中学校体育館において、「亀崎演奏会」を開催。亀崎潮干祭保存会の協力による潮干祭模擬上演とともに演奏。
  • 平成28年
  • 亀崎潮干祭山車行事のユネスコ無形文化遺産登録記念式典祝賀演奏に出演・演奏。




亀崎潮干祭の歴史と変遷

  • ユネスコ無形文化遺産
  • 国指定重要無形民俗文化財
  • 愛知県指定有形民俗文化財
  •  「潮干祭」は神前神社の祭礼で、その昔、祭神である神武天皇東征の折、海からこの地に上陸したとの伝説にちなみ、5輌の山車を潮干の浜へ曳き下ろしたことからこの名がつけられました。祭りの起源は定かではありませんが、各種史料によって元禄~宝暦年間(17世紀末から18世紀前半頃)までその歴史を遡ることができ、以来今日まで300年もの長きにわたって祭りの風格・伝統がしっかりと受け継がれてきました。
  •  山車は創建以来何度も総造り変えや修復を経て今日の姿になりましたが、現存する山車は名工の手による精緻な彫刻や、豪華な幕類、螺鈿や堆朱・七宝焼などで装飾され、また各山車の上では精巧なからくり人形が華麗に舞い踊ります。このように潮干祭の山車は幕末の爛熟した文化の粋を集めて造られたものといえます。
  •  昭和34年の伊勢湾台風後の護岸整備により、山車の海浜曳き下ろしは永く途絶えていましたが、平成5年、神前神社前に人工海浜が完成し、昔ながらの勇壮な祭りが復活しました。祭りにおける人手不足が全国的に叫ばれるなか、潮干祭は古来からの強固な「組」組織によってしっかり守り伝えられ、さらに亀崎の祭りびとの情熱によって年々盛んになっており、伝統である「女人禁制」も崩れることなく現在に至っています。
  •  昭和41年に5輌の山車が愛知県有形民俗文化財に指定されたのをきっかけに、亀崎では潮干祭の文化的・歴史的価値を再評価する流れが生まれ、破損や紛失等で永く途絶えていたからくり人形の修復や復元が各山車組で相次いでなされ、また幕類や彫刻その他の装飾品も盛んに修理されるなど、先人から受け継いだ有形・無形の財産を大切に後世に守り伝えていこうという意識が年々高まってきました。
  •  こうした中、平成18年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。さらに平成28年には、亀崎潮干祭山車行事のユネスコ無形文化遺産登録決定がなされました。







混声合唱組曲「潮干祭」 歌詩


「潮干祭」          詩  矢口 栄
 
序曲
 
海に立つ 海に立つ 海の岬に立つ
潮の香り漂う まだ暗き春の海
洋々と煙る 大気に包まれ
知多の海が 明けてゆく
その昔 我らが同胞(はらから)が この天神の岬に立ち
神々への 祈りを捧げた
遠い伝説の世界に思いを馳せ 日々の営み越え
より大いなる世界を求め 我らの歴史を 創ろう
祭だ 祭だ 同胞の意志集めた
祭を創ろう 豊穣の海への 我らの神話を
我らが汗と 我らが血と 我らが酒を注ぎ
海の祭だ 潮干祭だ 神前(かみさき)の海への
祭を 創るのだ
 
 
祭の準備(したく)
 
さあ始めよう 祭の準備(したく)を
すべての 我らが同胞 集めよ
遠き神々との つながりを求めて
山車だ 山車を組もう
贅(ぜい)を尽くせ 国々の 匠達 集めよ
山車を 飾るのだ
さあ始めよう 祭の準備(したく)を
明日を思うな 我らが全てを
その日のために 出しきるのだ
鞘がけだ ゴマを掘れ 山車を組め
笛だ 太鼓だ 舞だ 囃子だ
縄を張れ 幟立て 
天神の岬 神前の神社に
 
 
祭本番
 
祭の町だ 山車が行く
我等が力 ここに集めた
五輌の山車だ
「宮本」「青龍」「力神」「神楽」 そして「花王」
長老が導く 若者が楫(かじ)を 子供たちが曳き廻す
やがて山車は 潮干の浜へ 曳き下ろされ
山車と人が 血と汗が 潮の香りと入り混じり
海は天地を包む 窯となって 燃え上がる
曳き上げられた山車は 酒蔵の町を行く
山車は岬の神の前に並べる
幟が旗めく
山車はからくり人形 綾渡りする唐子
遠いおとぎ世界の物語
子供たちの文楽人形 三番叟(さんばそう)
人々は酔いしれる
 
祭の後
 
海は凪ぎ 夕日が静かに岬を包む
にぎやかな露店がたたまれてゆく
金魚屋 風船屋 お面屋 そして綿菓子屋
着飾った娘や子供たちが
祭の余韻を胸に家路につく
同胞が神に捧げた祭を 来たる年へと引き渡す
打ち込み提灯の流れが 車元へと揺れて行く
全てを出し切った人々が 心地よい疲れに身をまかせ
今ここに 火を囲み 酒を酌む
潮は満ち 風が 暗い海を渡ってゆく
 
 
祭讃歌
 
祭 それは限りない憧れ
祭 それは神々との交わり
日々の生活に 垣間見る
魔性への恐れと祈り
より大いなる世界を夢見る
人々の願い
祭 世界への愛
祭 開かれたエロス
ああ 目覚めゆく 春の息吹き
全ての人々に 生命(いのち)の喜び教える春
海に立つ 海の岬に立つ
知多の海 神前の神社に捧げた祭
それは 我らと 海と 空と 大地とのロンド
祭 それは我らの憧れ