60を過ぎてはじめた水彩画が
こんなにも上達している
輪郭をかたどる素描がそのまま残り、
大胆で滑らかなタッチは
母の年輪を物語っている
けっして 媚び諂うことはなかった
幾たびもの悲しみ 苦しみを越え
我が道を 飄々と生きてきた母
心配で 電話したことなど一度もない
文字にはそれまで見えなかった力強さ さえうかがえる
……人様の前で母を誉めるとは あきれ者だ……
そんな母も 何年かぶりかで会うたびに年老いていく
いつまでも母の子でいたいと思った
むくげの花が真っ赤な紅を差し
笑っているかに見える
No.5
No39
2002.09.04
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