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Photo Album   第二書庫

 

 

 

 

 

PHOTO ALBUM  ともし火

 

 

 

早朝のバス停で

二人の少女を見た 

夜通し遊んでいたことは 容易に見て取れる 

皆 目的に向かって ひた走っているというのに

滑稽にも思える このマイマイカブリでさえ

(…?若干の無理があったか)

何世代前になるのだろう

数千年前まで 人類は野に暮らし、

小さなコロニーを形成して 自給自足の生活を送っていた

裸にされた人間ほど弱い動物はいないと言われるが

まさにその通りだ

今では 裸足で野を駈けることすら出来なくなっている

しゃぶしゃぶや、焼き鳥は食べたいと思うが

さあ食えと差し出されても 生きた子牛は 到底 食べ物には見えない

私達が好んで見る夕ぐれの風景も

危険な夜の訪れを知らせる 合図だったに違いない

森に潜む猛獣が餌を求めて徘徊し、人を襲ったこともあったろう

闇に視界をさえぎられて 岩場に命を落とした者もいただろう   

魑魅魍魎の騒ぎ始める夜を恐れて コロニーに火をともした

炎は 今も共通の不思議な魅力を持っている

棲家であった 洞窟の中央に設けられた火の回りで

身を寄せ合って 互いの無事を祈ったろう

そして 温かな 食事のにおいは 炎から立ち上った

常に 家族の真中で 平和と安らぎを もたらせてくれた

焚き火や、蝋燭の火にじっと 見入った記憶は誰にでもある

街のネオンにひかれて ついふらふらと足を運ぶのは

遠い記憶の悪戯なのかも知れない

 世の父さんたちは仕方ないとして

幼い彼らの帰るその先に

はたして 穏やかな火は 灯らないのだろうか

No11

2001.11.05


 

 

 

 

 

PHOTO ALBUM  優 等 生

 

 

 

 

見事に色づいたイチョウの葉 

同じ道沿いの右と左に並ぶ銀杏並木 をよく見れば

まだ、青い葉の木もかなりある

この違いはどうだ

いろんな子がいて、クラスの中に必ずいたタイプの二人

どちらがどっちかは にわかに言いがたい

右と左では大きく違う

この場合 単なる立地条件????

優等生と劣等性も 言いかえれば立地条件

生れてくる家も、親も選べないのだから

やりきれないフラストレーションは行き場を失うが

ときとして 意外な才能を 見出すことがある

花も例外ではない

これは花市場のオークションルーム横のショーケースに展示された

近代産地の 申し子達

営業スマイルで 誇らしげに咲いているようにも見えてくる

ん――ん お見事

かたや

売れ残って打ち捨てられた野ボタンが懸命に

命の輝きを見せている

市場に出回る花達のほとんどが 各生産地の誇る優等生たち

あたくしはその中から できるだけ

人に そっぽを向いた花を探して 買い求める

ふたつとない花の顔が だんだん 幼なじみの愛すべき 権太坊主に見えてくる

この施設に集って来る人たちが聞いたら 笑うかもしれない

けれども

誰にどう思われようとかまわない

損な生き方でもかまわない

飾りをすべてとり払った 極限のフォルムの中にある

『ほんとう』を これからもずっと 見ていたきいと 心から願っている

    

 

 

No12

2001.11.13


 

 

 

 

 

 

PHOTO ALBUM  初公開

 

彼女が やって来たのは2年前の6月のすえ

伊丹空港まで迎えに行ったとき ぶるぶる震えていました

かかえてやると とたんにもらしてしまったのです

  HANAYO のアイドル ゴールデンのMAY♀

喜んで みんなでかかえては 写真をとったものです

あ   

うちの おかみさんです (実はこれが初公開)

 

ハニー オブ スーパー ソニック オミガワ JP

これが

アメリカンチャンピオンを父母にもつ 彼女の 本名です

じつに躾のいい お嬢さん

こんなことしても 全然怒りません

それから2年半 りっぱに育ちました

彼女の目は 何もかも知っているかのように 透き通っています

あの頃の面影を残したまま

今日も

かわいがってくれる誰かが来るのを 

 じっと待っているのです

No13

2001.11.21

 

 


 

 

 

 

 

 

 

PHOTO ALBUM  午前0時

 

 

 

 

 

 

街が眠りにつく頃

草木も眠る夜の公園に

気まぐれな 風が吹くたび

落ち葉がカサカサ舞い踊る

近所の子らの 明るい笑い声とボールが弾んだあとの 音の抜け殻のようだ

あまりに静まり返っていると

何かが物陰に潜んで

じっとこちらをうかがっているような気がしてくる

子供の頃

おもちゃの兵隊が 行進するところを見てみたいと 寝ずの番を試みた 

眠気に勝てるはずもなく

ついに 動き出すおもちゃを 見ることはなかったが

今でも・・・・

ひそかに期待をもっている

あらゆるものが

こんなにも 生き生きと たたずんでいる

 

No14

2001.11.26

 


 

 

 

 

 

 

 

PHOTO ALBUM  un Buddhist

 

 

 

 

 

生まれてこのかた ここまで 自分と同じにおいを感ずる人に出会ったことがない

まったくもって かわった人だ

大学の先輩である

同じように 成り行きみたいに 花屋になって

業界の中にあって 彼は異才を・・・あたくしは異彩を 放っている

ホームページのイベント情報でも紹介したが 氏のデモの様子だ

あたくしと大きく違うのは 彼は スリムで醤油顔の美男子で、

喧嘩っぱやかったこと 空手の有段者なのだ かっこいい

きれものだが 危険はない

まさに「安全かみそり」という言葉がふさわしいか

作品は繊細で

見ていると どこか遠い記憶を彷徨う旅人にされてしまう

黙々と何時間も花と向き合っていると 仏の境地に近づいていくという

あたくしにも経験があるが決して 仏弟子ではない 深い知識があるわけでもない

チベットの僧が床に砂で描く 曼荼羅(まんだら) のように

一見 無意味と思われるものの中に 真実を見出した 静かな感激とともに

時間も 空間も あらゆる一切のものが消える瞬間がある

その白い世界には 自分すら存在しない

あるのは きわめて純粋な魂と 形容しがたいきらめきだけである

ファイナルプレゼンテーションはこの作品

これが一番好きだという人は かなりの変わりもんだろう

 

 

No15

2001.12.07


 

 

 

 

 

 

PHOTO ALBUM  通 天 閣 の 夜

 

 

 

 

とあるホテルの33階からのぞむ みなみと 新世界にそびえ立つ通天閣

関西に移り住んではや 二十数年がたつが、

実は生れてはじめて 通天閣を見た

本当の大阪に来た感じだ

一体今までどこにいたのだろうか

食事の後・・・・・・

グラス片手に ぼんやり夜景を眺めながらロマンチックな夜を・・・・・ ならいいが、

残念ながら 仕事の打ち合わせ お泊りはない

眼下にのびる 電気屋の街 日本橋が 気にかかる

すぐ下では 大阪球場跡地が着々と様を整えている

ここから見ると 球場後にしては ちっぽけな 敷地だが、

片隅に立ち その手でホームランを打て

といわれれば あまりに広すぎる

顔が見えなければ いかに手前味噌の 好き勝手で

人様のものにけちをつけているかという証だ

生駒の麓まで続く 広大なこの街灯りも

見る者の在りようによって どのようにも見えてくる

 

No16

2001.12.13


 

 

 

 

 

 

PHOTO ALBUM  バニシングポイント

 

 

 

 

近代絵画以降 画面構成は遠近法に基づいてなされてきた

ユトリロ、セザンヌ、ミレー・・・・挙げればきりがないほど 多くの画家たちが取り入れた

歴史的革命といえる

この技法の論理は バニシングポイントの存在に起因する

道のかなたにある 機構上の焦点がそれである

近くのものは 大きく 遠くのものは小さく見える

バニシングポイントは 明らかに存在している・・・・・・が

実在はしない

目にすることはできても 決して触れることはできない

朝焼けの色、空の青も 同じようなものだ

赤く見える、青く見えるだけのこと

ひとつの現象にすぎない

私たちの 存在そのものも もしかすると 

哲の世界で言う ひとつの事象にすぎないのかもしれない

ちっぽけな自分など パニシングポイントに吸い込まれて

消えかかりそうになる 

唯一確かなのは

私たちを取り巻く 日常の風景に呼応する

このあふれる歓喜

先日 オセアニアの花が届いた

花びらも葉も 肉厚で巨大だ

かの大地は今まさに 夏真っ盛り

感傷に浸っていては 季節を取り逃がしているかもしれない

No17

2001.12.27

 


 

 

 

 

 

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