猫も杓子も

ーbyす〜♪さんー

「美しくするのも醜くするのも、すべて人間の気持のもちかた次第で、

ものごとそれ自体は事実にすぎない。

人生の事実は単に素材で、

そこから何かを作るのが人間の仕事である。」       

心ふるえたこの言葉に導かれて、『猫も杓子も』読ませていただきました。

とても豊かな本だと思いました。

リズミカルなテンポで、ひょいと抱き上げ、すとんと落とす、ときにユーモラスに、ときにほろりと。

言の葉の間から、ひょこっと顔出しにやっと笑う、書き手の実に小気味よい可愛らしさに、

思わず「やられたー!」と、「くくくっ♪」でした。

また、紡がれる言葉が、私の感性の糸をびびびっと揺らして。

たくさんありすぎて、すべてを挙げられないのが残念ですが、

「今までの生きる希望みたいなものがスポッとぬけおちたあとへ、

そのままの形で、絶望が填まり、ひろまってゆく。」

「男が食べてるのを見ると、ほんとに、じっくりと、ずっしりと、がっちりと、

おなかの底にたまり、エネルギイになってゆくような気がする。」

ツボにはまってしまいました〜。

ぐっとくる短い言葉、その行間からも立ち上る気配。

書き手の思いと読み手の思いがゆらゆらと交差して、しっとりとひとつの模様。

−2004.10.17−