///一葉の恋/// ー世界文化社ー  

好きなものの”集大成”と田辺さんがあとがきで書いていらっしゃる通り、

ここには田辺聖子さんが愛する人間たちが描かれています。

評伝を書かれた一茶に与謝野晶子、表題にもなった樋口一葉、

杉田久女、岸本水府に吉屋信子・・・

そして、田辺家の人々、カモカのおっちゃん・・・。

ここには、作家田辺聖子が愛した人、

愛された人たちが隈なく登場します。

子供時代の田辺さんの何と豊かなこと。

こうして育てられた人間の目は、公正で愛に溢れ鋭く

まさしく天の視点を持っています。

この本から田辺ワールドに入っていかれるのも幸福なことだと思います。

私は一葉の「十三夜」をもう一度読み返してみようと思いました。

「庭訓」という一章は、現代の子育ての問題への大きな解答にもなっています。

川柳へも俳句へも小説へも、この本の田辺さんの 愛ある賛辞や解説から

入っていくことができる というのは何と嬉しいことでしょう。

その人の嫌いなものを聞かされるより

、好きなものを聞かされる楽しさは、

気持ちをふくふくと豊かにしてくれます。

まして、一流の文学者の愛するものを知ることは、

深く澄む空の高さを示されるように感じるのです。

−2004.6.4−   by UTA