それにしても、かつての先輩が、

(自分の身に適うもんは何でも貪欲にとりこめ)といってくれたことは、

いつか私も、そのようにしている。

私は自分の好きなことばかり書いてきた。

しかし、(言葉をしこたま、仕込んどけ)という示唆についてはどうであろうか。

そんなに言葉かずは多くなったとは思えないが、

最も、この巻の夢のあれこれを伝えるのは、本来、とてもむつかしい。

陶酔や耽溺を人にうまく伝え、

かつ薫染してしまうということは、たいへんな力わざなのだから。



ー全集23巻 解説ー