ときどき机の上に何ということなく数個、出しておく。

何を入れるのですか、ときかれても、(べつに)としか、答えられない。

箱はそれ自体で完結しており、箱であることがすでに存在価値があるのである。

箱のなかには、何がはいっていたのか、あるいは消えてしまったのかもしれない。

ときどき人生にはふしぎなことがあって、

(忽然と消える)

というときがある。

私はそれを(箱のふしぎ)と考えている。

きっと箱のなかへ入れたがために消えてしまったのだ。

箱のなかにはべつな宇宙があるにちがいない。



ー手のなかの虹ー