ゼロの言葉

―言葉の海に捧げる詩―

 

言葉のあふれる海のようなこの世界で
全てを救うために生きるなどと思い立ったところで
できることはせいぜい小石を投げることくらい
小石は沈み 海の底で佇み
言葉を発しても もう誰にも届かない気さえする
静かな水底で目をつぶり想う
自分に何ができるのかを
この言葉があなたを救えるのかを
たくさんの人を傷つけて壊してきた 小石は
なんの目的もなく生きてきた 私は
自分自身を救おうとさえしなかった
今 私は私自身に花束を捧げよう
この世界に花束を捧げるためにも
ありがとう言葉よ お前はいつも傍にいてくれた
私はこの大いなる海を壊して 大いなる波を鎮め
一滴の涙から 世界を築こう
まったく空っぽの言葉にさえ意味を与えよう
そしていつか名付けた あの言葉を思いだそう

 

-200809-