ミトコンドリアとは何か・・・・・・

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 ミトコンドリアはほとんどすべての生物(動植物や菌類など)の細胞に広く含まれている細胞内構造物の一つです。 高校の生物の教科書などで細胞の構造図を見た覚えがあれば、その中でたいていは丸いカプセルのような形で描かれていたでしょう。 このミトコンドリアは一つの細胞に(細胞の種類によって違いますが)数十から数万という大変な数が含まれています。

  これらのミトコンドリアは細胞の中で呼吸をしてエネルギーを生産しているのです。 我々が肺から吸い込んだ酸素は、血液によって体内の細胞に運ばれ取り込まれ、ミトコンドリアによって糖や脂肪を燃やす燃料として使われていることになります。 燃やすといっても生化学的に糖などを分解していく過程でエネルギーが発生するわけで、我々はそのエネルギーを利用して体温を保ち運動をして生きていることになります。

 ところで我々の体を構成する細胞一つ一つには、ごく特殊なものを除いてがあり、その中には遺伝情報がぎっしりと詰まった遺伝子(染色体)が含まれています。 ヒトの場合には23対46本の染色体があり、父親と母親から23本ずつうけついだ遺伝情報が記録されているわけです。
 1968年にミトコンドリアの構造の中に細胞の核が持っている遺伝子とは別の遺伝子が発見されました。 これをミトコンドリアDNAと呼びます。 DNAのことは別に調べていただくとして、動物のミトコンドリアDNAは丸い輪になった形をし端末がありません。 動物の場合大体17000前後の梯子段がつながったまま折り畳まれ、ミトコンドリアが自分自身を複製して増えるための遺伝情報の一部が乗っています。

 その後の研究によると、ヒトを含め大部分の動物でミトコンドリアDNA母系遺伝をすることが確認されました。 ヒトの精子も細胞ですから20程度のミトコンドリアが存在しています。 しかし卵子と融合した後でなぜか精子由来のミトコンドリアは消滅してしまい、元々卵子にあったミトコンドリアだけが生き残るのです。  
 従って我々の体内にあるすべてのミトコンドリアは、体細胞のDNAと違い、すべて母親から受け継いだものなのです。  

  もう一つ大切なことがあります。 DNAというのは4種類の塩基が延々と繋がったものですが、様々な要件で塩基の並び方が変わったり、ある塩基が別の塩基に置き換わったりします。 DNAの繋がりに変化が起こると病気になったり、場合によっては致死的な条件になることもありますが、一方生物の進化や環境への適応など重大な役割を果たしています。 さらに、長い配列の中にはその生物が生存していく上で必要がなくなっている部分が大量に見つかっています。 その部分は配列に変化が起きても生存のためには何ら支障が出ません。 DNAの塩基配列が長い期間を通じてみれば、おおむね一定の割合で変化していることは、各種の動植物のDNA配列を調べた結果確認されています。
 動物の種類の違いでも、ヒトとヒトの血縁関係でも、スケールは違いますが、共通の祖先が遠いほど違う配列になっている部分が増えるのです。 

 人のミトコンドリアDNAの場合、現在では特定部位の変化の数から、共通祖先を辿ることが出来るようになっています。(詳しいことは、「イヴの7人の娘たち」 を参照してください。)


 

 参考図書  河野重行著 
    ミトコンドリアの謎 
    講談社現代新書     1999年

  少し難しい部分もありますが科学史としても面白く読めました。

 

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