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Haieの久々コラム

2012年12月14日 (金) 

サメシンポジウム in 海遊館

〜日本板鰓類研究会主催 サメシンポジウム参加報告〜

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★40年"目"の封印を解きし挑戦者


トラザメにおける網膜神経節細胞の分類
               名古屋大学大学院生命農学研究科

 序盤の最難関がやってまいりました。
 トラザメの分類…ではなく、その網膜の神経の分類…。
 網膜のなかの神経細胞にどのような種類があるのか、まずそこから長い道のりを目指さなくてはなりません。発表は、その辺を既知の事柄として進んでいましたので相当厳しいものがありました。(あくまで一般人の感想)

 トラザメは、一時はほぼ全国の水族館で見られ、小型で繁殖力が強く牧場のようにたくさん飼っていましたが、あまりにも爆発的に繁殖するため、過去に訪れたことのあるとある水族館(↓掲載のところではないです)では、バックヤードの水槽にあふれかえっていました。
▼この”ゴールデンアイ”は神秘的ですよね。
トラザメ  手間だけが増えエサ代もばかにならず、小柄のくせになかなかの穀潰しぶりでした。雌雄混合で飼うとハムスターのような繁殖ぶりを発揮するようです。(ちなみにトラザメは卵生)
 今は、飼いやすさよりそういったリスクのせいか、見られる水族館も以前より減ったように思います。
 しかし、研究対象となれば別、こんなに手に入れやすいサメもそういないので献体としては申し分ないでしょう。発表者の方も、入手ルートは水族館のようです。

 発表本編に入る前に、まずは網膜の役割から調べていきましょう(ええ、私の理解はここからなんです)。
 目の構造は光の刺激が角膜⇒水晶体⇒ガラス体⇒網膜(中でフィードバックして)⇒視神経へと伝わります。
 こんな目→「」の断面図は見たことありますよね。
 光を網膜に伝えるまでは、光そのものの焦点を合わせ、網膜が受けやすい刺激へと変えるフィルターです。つまり情報を最初に処理するのが網膜であり、脳へ送る信号として変換する役割を担っていると言えます。
 そして網膜のナカミ、これが実際に要旨集に書かれていた図のことで、いくつかの層に分かれたスケッチが書いてありました。(これが、わからなかったのです(T.T)シクシク交尾器を持つオス
















▲交尾器の立派なオス。体長の5分の1はありました。人間だと…ゴクリ

 網膜は手前から大きく分けると、ガラス体側から『視神経細胞』、間で中継する「連絡神経細胞」、光を受容する「視細胞」に分かれ、さらに視細胞は色味(波長)を感じる「錐体(すいたい)」とコントラストを感じる「桿体(かんたい)」に分かれ、一番奥にある「色素上皮」へ到達します。
(本当は細かく分けると10層になるソウです⇒網膜の断面図=外部リンク)

 で、演題の「神経節細胞」さんは、最初の「視神経細胞」部署のひとつで連絡神経細胞さんの手前におられます。(この情報処理の過程が、役所の事務申請に似て思わず「さん」づけしてしまいました)
 演者の方はこの神経節細胞そのものをコードネームのように「GC」と呼んでおられました。(正式な略称です)それで、トラザメの網膜にあるその「GC」がいくつかの種類に分けられる、こういったことのようです。

あー、やっとスタート地点だ。と思ったのも束の間、先は相当長いようです。
 生きたトラザメの視神経に、とある試薬を注入しそれが浸透した神経節細胞の形を見極めたところ、5つの形が認められたとのこと。そしてそれには今まで知られていないであろうものが見つかったようです。トラザメ  さらりと書きましたが、この試薬(逆行性トレーサー物質)は、生きたサメでないと使えない上、板鰓類ではなかなか残ってくれないので、観察が非常に難しいようで相当試行錯誤されたそうです。
 演者の方は、これは40年も進んでいない研究で、敢えてやる人間は「クレイジー」呼ばわりされるとおっしゃられました。
▲トラだけど「キャットシャーク」だニャン

 しかし、サメのような生物センサー満載の生き物の生体研究が進んでいないとは。40年もやらないほうがクレイジーだ、と思うのですが研究という行為が持つ「性」といいますか、やりやすいところから、受けのいいものから…そんな人間らしい世界でもあるようです。
 今回判明した、今まで知られていない型の「GC」の果たす役割はまだ詳しくわかっていないとのことで、研究というものは本当に時間をかけねば結果が得られないものなのだな、と昨今の流行り廃りの潮流が恨めしくなりました。
 研究者の皆さんのおかれる立場が厳しさを増す中、水族館からこのような提供を受けて研究が進められる環境があるというのは、素晴らしいことだと思います。※40年前の研究は、地中海沿岸のハナカケトラザメくんのようですね▼ニシトラザメ

 半分ぐらい網膜の勉強の話題で恐縮いたします。演者の方には申し訳ありません。

 全く関係ないですが、サメのロレンチ―二瓶を解説した「日経サイエンス日本版2007年11月号」には、目の特集もあり詳細な断面図が載っていました。お持ちの方は是非ご参照を。

▼サイト内関連リンク
サメの特殊な目の構造←古いコラムですので、色々と恥ずかしい。

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(何とかしのいだ感じです。まぁ一般でもレベルが低いことがばれてしまいます。ナンテコッタイ)



開催地:大阪港天保山 大阪海遊館
 http://www.kaiyukan.com/(公式サイト)
主催:日本板鰓類研究会
 http://jses.ac.affrc.go.jp/ 

→サイト内関連リンク
2005年 日本板鰓類研究会主催サメシンポジウム(東大)


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