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Haieの久々コラム

2012年12月12日 (水) 

サメシンポジウム in 海遊館

〜日本板鰓類研究会主催 サメシンポジウム参加報告〜

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★ギザギザハードの「ノコ」刃とフェイスロックの関節技


 つい先日、50歳という若さで京都大学の山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞を授与されました。師事されていたケンブリッジ大のガードン博士と共同での受賞でした。最先端の科学というものが、日の目を見ると同時に評価されたということを素直に喜びたいと思います。(万能の細胞を作り出すというぐらいの了解ですが…)

さて、偉大な師にはたくさんの弟子がおられるようです。引き続き歯の研究での発表となります。そして、難しい表題も…。
しかし、超ベテランの先生の後というのは、なかなか発表しづらいものだと思います。 ましてやこのような立派な会場で、大勢の聴衆を前になんて緊張しないほうがおかしいでしょう。


サメ類における鋸歯縁の形態・構造・形成について
                 兵庫県立大学病院・鶴見大学ほか

 サメの歯の中でも、獲物に大型動物を好むサメは鋭い形状をしています。発表者の方は、肉食性の古代生物を引き合いに出されました。彼らに共通する歯の「ギザギザ」のことを取り上げるようです。
 それは歯の側面が肉を引き裂けるように出来た「鋸歯(きょし)」というのこぎり状の突起を指し、その全体は「鋸歯縁(きょしえん)」と呼ぶそうです。植物にも、サクラなどの広葉樹の葉っぱが同じように示されることもありますね。

▼親不知は二十歳の時に抜いたもの。痛かった! kyoshi















 機能的な意味を大いに持つこの歯の鋸歯縁ですが、その「のこ刃」が一つ一つできる過程については、まだよくわかっていないとのこと。
そこでメジロザメの仲間である「イタチザメ」とネズミザメの仲間「ホホジロザメ」での比較をし、組成の違いなどを見出されたそうです。
 エックス線などを用いて行う観察(コンタクトマイクロラジオグラフィー)では、イタチの鋸歯が歯の表面と一体化しているのに対し、ホホジロでは鋸歯がギザギザひとつひとつにまで歯の基部をなす象牙質が入り込んでいたとのこと。
 歯の構造は、柔らかい象牙質の周りをエナメル質(魚類ではエナメロイド)が固く艶をもって覆っています。なので、表面はエナメロイドでもイタチはエナメロイドのみでギザギザ(真正象牙質)、ホホジロは象牙質の形をなぞってギザギザ(骨様象牙質)になっているのです。
 また、この構造の違いは化石でも当てはまるようです。

 フカ追いすると余計に説明不足になってしまいそうなので、この辺で切り上げると致しましょう。なかなか面白い発表でした。たくさんの種類での比較も見てみたいですね。(時間押しで、まきが入ってたのが残念でした)


サメ類に見られる眼窩内関節の多様性
        岡部渇棊p藻類学研究所 北海道大学水産科学院ほか

事前に演題を見ていたとき、何のことだろうと疑問符が浮かんだのがこちらです。
「眼窩…目の窪みだよなぁ、その中の関節?…目の関節??」
そして演者の方が見せてくださったスライドは…「顎」でした。

サメの頭部の骨は顎と深いかかわりがあり、眼窩内関節(がんかないかんせつ)は、あるサメのみが持つ、あごが眼窩と接触する機構、すなわち上顎の凸と眼窩にある凹がはまる関節のことを指すようです。

▼これは(恐らく)ツマグロ(メジロザメ類)の顎。
 がはまる穴が眼窩内で関節のように動くよう。(ツマグロにはない)
jaws














サメの顎は、足をはさむ狩猟ワナの「かせ」のような上下の顎が、舌弓(ぜっきゅう)というエラの骨が変化したと思われるものに付け根の部分を支えられています。こんな感じ→「 >) 
(細かく分ければ上顎は口蓋方軟骨(こうがいほうなんこつ)、下顎はメッケル氏軟骨で、舌弓も上が舌顎(ぜつがく)軟骨、下が角舌(かくぜつ)軟骨に分かれ、それぞれが上下の顎を支えています)

 その上顎の部分でちょうど目の窪みにかかる突出した部位が穿つように目の裏あたりとはまっているそうです。その多様性についての考察を述べられました。
 この眼窩内関節はすべてのサメで顕著ではなく、なかでもツノザメの仲間が特徴的で、背側から頭部の骨を見るとぽっかりと小さな穴が開いています。スライドの写真(フンナガユメザメ)でもそれははっきりとわかりました。
カスザメやノコギリザメとの比較もされましたが、写真では関節の部分を理解できませんでした。
(聞き書きだったので、なかなか注視しづらいのです)

 ツノザメに限って言えば、顎を「本」に見立てて、「」開いたときに背表紙を持つのではなく、上の端を持ち大きく広げるような格好になる状態に関節が働くということのようです。(私の説明では、わかりづらいですね)なので、上下の顎の接合点を前へ押し出す「」の格好になるみたいです。うん?これは、あのクッキーカッターことダルマザメの仕草!
 なるほど、土をつかむクレーンのバケットと同じ機構が眼窩内関節の動きということですね。

 しかし、眼窩という言葉に反応して、「そういえば、ツノザメは目玉の大きい奴が多いよなぁ」と、思っていました。この関節の動きが目の刺激などと関わりがあるのかそんなところも気になりました。まぁ、難しい話ですね。そういえばこの方、藻類の研究所の方だそうですが、なぜサメの研究を…?(本編の多様性に触れなくてすみません)

 とまぁ当時の聞き書きとスライドを思い返しながらなんとか頑張っています。勘違いしているところも多いのかもしれませんが。

 日々いろいろな発見をされる研究者の方々には、本当に頭が下がります。下らない質問などして時間をつぶすわけにいかないので、こうやって一人でうんうん唸っております。
まぁ、それが楽しかったりするのですけども(>ω・)←オッサンの使う顔文字じゃねェ

関連書籍(より深く知りたい方のために)
「軟骨魚類の進化」『生命の科学 遺伝 2008年5月号』
エヌ・ティー・エス刊※顎関節の詳細な記事があります

次回、ギブ!!かも
(あまり講義の内容に突っこめてないことは突っ込まないでください)



開催地:大阪港天保山 大阪海遊館
 http://www.kaiyukan.com/(公式サイト)
主催:日本板鰓類研究会
 http://jses.ac.affrc.go.jp/ 

→サイト内関連リンク
2005年 日本板鰓類研究会主催サメシンポジウム(東大)


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