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Haieの久々コラム

2012年12月10日 (月) 

サメシンポジウム in 海遊館

〜日本板鰓類研究会主催 サメシンポジウム参加報告〜

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>シンポジウム開幕直前の様子


★サメの歯一筋の博士による

     「ハ・ヒフ」の話に「ヘー、ホウ」と頷く。


 研究発表のシンポジウムと講演主体のフォーラム。
ともに2日間の日程を無事に終えて、さらに私的なサプライズセッションもありました。 これもまた後にお話しできればと思います。

いずれにしても、主役でもあり裏方も務めなくてはならなかった海遊館のスタッフのみなさんと大勢の板鰓類研究会スタッフの方々へ、このような場を設けるご苦労を忍びながら一サメファンとして厚く御礼を申し上げます。
m(_ _)m 多謝!!

 さて、シンポジウムの演題をすべて取り上げることができるか、かなり怪しい状況になっております。というのも、(当たり前っちゃあ、当たり前ですが)専門性の高い発表が多数占め、もはや前回参加の発表レベルをはるかに超えてしまっています。今回はフォーラムを設けることで明確に研究者と好事家のすみわけを目指されたように感じました。
しかし、サメの最先端の研究が知れる!とサメイベントならどこにでも首を突っ込むような無謀なサメマニア(「はーい」)は、無惨にも返り討ちに遭ってしまうのです。それはまるで暖流に身を任せた死滅回遊魚のように…。

多分に恥さらしな報告とは相成りますが、ご高覧願えれば幸いです。


-歯から見た板鰓類の多様性について-
                鶴見大学短期大学部歯科衛生科

 トップバッターは、サメの歯の研究一筋の後藤仁敏(まさとし)先生です。
来年度に鶴見大学の教授を退官なされるとのことで、シンポジウムが始まって以来かかさず発表を続けてこられたことへの敬意も込めてでしょうか、他の発表者よりも尺の長い発表となりました。(シンポは2年置きなのでこれが現役最後ということですね)
pro.gotou
 パワーポイントでのスライド方式で古代から連綿と続くサメの歴史を紐解かれます。これは一般聴講者を意識された基調講演ともいうべき導入でした。

 地質学的な年代を示す、古生代・中生代・新生代でそれぞれ現生のサメにつながる種の分化、いわゆる系統進化の段階を順を追ってご説明なされました。

 4億年前の古生代デボン紀(デボンとは発掘場のあるイギリスの州の名前。でも見つかるのはアメリカ)に姿を現したサメの始祖ともいうべきクラドダス(クラドドント類)が現れます。その中のクラドセラケと呼ばれる種類は大阪の和泉層群からも発掘されているそうです。大阪自然史博物館あたりで見られるのでしょうか?
 中生代(恐竜の時代)には、今のサメのスタイルにつながるヒボーダス(ヒボドント類)がサメ類ではもっとも繁栄しています。そのためか、この仲間なんと日本各地でもかなり発掘されるそうです。
 そして新生代までにほぼ現在の8つの目という大きな分類で構成されるサメが出そろうことになります。メインに話された歯の比較による系統進化の解説は、多くのサメ本などでも紹介されていますね。

 そしてサメの大きな特徴の一つであるサメ肌の「皮小歯」(ひしょうし、皮歯・楯鱗とも)の断面写真を用いて、いくつかのサメの特徴を述べられました。要旨では現生以前と以後で等しく書かれていましたが、発表では現生種に力を入れておられたように思います。
 皮小歯は、化石として発掘されるものの、その同定は極めて難しいそうです。
 なので古い特徴を残すラブカから見てみますと、ラブカの皮膚は皮小歯が揃っていなく、向きもばらばらで不規則な印象を受けます。
pro.gotou

自前の粗悪な乾燥標本です。











スライド写真からは、基部の象牙質にちょこんとエナメル質が乗っかっているような印象を受けました。以前の観察では、ゴマ団子のような皮膚構造に見えました。
 ただ表皮の下にも歯乳頭と呼ばれる歯のもとがあり、大きく顕在化していないだけのようです。ラブカの名の由来が「ラシャ布」の肌触りとされることは、こういったまばらな皮小歯のせいなのですね。
 画像掲示板に、ラブカのしりビレの拡大写真もありますのでぜひご覧ください。 ⇒こちら

 続いてメガマウス。
 メガマウスは、博多湾での漂流個体の調査が詳細に行われたこともあり、海の中道マリンワールドのHPでもその記録を見ることができます。
 メガマウスは背中側と腹側でコントラストの違う皮膚をしています。これは多くのサメでも見られる特徴で、カウンターシェーディングなどと呼ばれています。この色分けは、どうも付け根の真皮の色素を多く含むか否かで決まるようで、腹側では全く色素はないそうです。
⇒千葉中央博の立派な頭部剥製

そして同じくプランクトン食のウバザメ。
 これら2種類のサメはプランクトンをエラでこす食べ方をすることで有名ですが、そのエラに鰓耙(さいは)というブラシのような突起が密集しており、それらにも粘膜で覆われたサメ肌、粘膜小歯(ねんまくしょうし)が存在しているそうです。
 この粘膜小歯はサメの口腔内に存在し、口の中に鱗を持つ魚としてサメが存在する証拠でもあります。歯が捕食の役に立たないサメは、エラの小さな歯で確実にコペポーダなんかを捕まえているのでしょう。
⇒ウバザメの口腔内について取り上げたコラム

 取り上げた内容はごく一部ですが、後藤先生は長年の研究の蓄積を余すことなくご披露してくださいました。
 先生の功績は、歯がサメの特徴を大きく示す手がかりであることを常識にした点でもとても大きなものだと思います。多分私などが改めて取り上げずともサメ本には、わかりやすく記述されていることでしょう。おそらく古いサメファンは、後藤先生の提供された写真を多くのサメ本で目にしていたことと思います。
 発表後に大きな体躯を曲げてあいさつなされると、大きな拍手が会場を包みました。

至らぬ筆致で、お粗末さまでした。拝


関連リンク
 歯科し、サメが好きなんだなぁ(前回参加のシンポジウム)

関連書籍(深く知りたい方のために)
「軟骨魚類の進化」『生命の科学 遺伝 2008年5月号』
エヌ・ティー・エス刊※後藤先生の記事があります
次回、未定!! ←はやくもか!!
(あと23題、しかもフォーラムもあるしなぁ…。どうするか)



開催地:大阪港天保山 大阪海遊館
 http://www.kaiyukan.com/(公式サイト)
主催:日本板鰓類研究会
 http://jses.ac.affrc.go.jp/ 

→サイト内関連リンク
2005年 日本板鰓類研究会主催サメシンポジウム(東大)


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