この三人 These Three
公開:
1936年
この三人
製作:
サミュエル・ゴールドウィン・プロダクション

サミュエル・ゴールドウィン
監督:
原作:
リリアン・ヘルマン
脚本:
リリアン・へルマン
撮影:
音楽:
アルフレッド・ニューマン
出演:
ミリアム・ホプキンス

マール・オベロン

ジョエル・マックリー

学生時代からの親友で、共同で寄宿制の女子高を経営するカレンとマーサ。 問題ばかり起こす女子生徒のメリーは、マーサがカレンの婚約者ジョーに恋心を抱いていることを知り、 ガーディンがマーサと密かに通じているという悪質な噂を流す。 やがて、その噂は保護者たちの耳に届き、女子高は閉鎖に追い込まれ、3人の関係も危うくなる・・・。 劇作家リリアン・へルマンのヒット戯曲を、名匠ウィリアム・ワイラーが映画化した男女の三角関係を描いたメロドラマ

1930年、スコットランド人ウィリアム・ラフヘッドは実際に起きた犯罪を集めたアンソロジー「バッド・コンパニオンズ」に『閉ざされた扉、あるいはドラムズヒュー事件』を発表。 ハードボイルド作家のダシール・ハメットは、このエディンバラの女子学校でオーナーがレズビアンだと噂された為に学校が閉鎖に追い込まれたという話を読んで、愛人のリリアン・へルマンに戯曲化することを提案。 ヘルマンはこの話をもとにして三幕の戯曲『The Children's Hour (子供たちの時間)』を発表。 34年にブロードウェイで上演されると絶賛を浴び、レズビアニズムをテーマにした話題も手伝って601回もの公演を記録する大きな成功を収めた。 ヘルマンは自身の初のヒット戯曲となった『子供たちの時間』の映画化をサミュエル・ゴールドウィンに提案するが、彼は映画化に興味を示さず、 他のスタジオもレズビアンを扱った戯曲の映画化に積極的ではなかったが、最終的に考えを改めたゴールドウィンが4万ドルで映画化権を獲得。 舞台でセンセーショナルな話題を集めた『子供たちの時間』が映画化されることを知ったへイズ・オフィスの会長ウィル・へイズはゴールドウィンと話し合い、 『子供たちの時間』という題名は使わないこと、広告や製作発表などで原作戯曲との関わりには一切触れないこと、レズビアニズムをはじめとする倫理規定に反する事柄は映画から削除することを条件に映画化を許可した。 ヘルマンはゴールドウィンと3年の専属契約を結んで脚色を担当し、戯曲の売り物であったレズビアニズムを、一人の女性がもう一人の女性の婚約者を愛してしまうという三角関係に変更。 また、悲劇的な結末はハリウッド的なハッピー・エンドに変えられたが、嘘の持つ力という戯曲のテーマは映画版にも残された。 ゴールドウィンは、それまでニ流の映画を手掛けていたウィリアム・ワイラーを監督に抜擢し、 ワイラーはテストした何十人もの子役の中から当時13歳のボニータ・グランヴィルを嘘つきの生徒メアリー役に抜擢。 主要キャストにはゴールドウィン社専属のスター俳優が起用され、 カレン役にマール・オベロン、マーサ役にミリアム・ホプキンス、ジョー役にジョエル・マクリーが配された。 初の大作を任されて不安になったワイラーは、失敗するのではないかと恐れて胃痛を起こし、自信が持てずに同じ位置のキャメラで40ものショットを撮り、使うのはその中の2、3だけということも少なくなかった。 また、ワイラーはグランヴィルの演技に夢中になり、他の俳優にあまり注意を払わなかったため、クランヴィルに映画の主役を横取りされるのではないかと感じたオベロン、ホプキンス、マックリーらの反感を買うこともあった。 マーサがカレンに自分もジョーを愛していると告白するシーンでは、ワイラーはカレンを演じるホプキンスの後ろにキャメラを据えて、 マーサがカレンへの愛を告白しているようにも見えるように撮影。 ゴールドウィンはこれでは意味が不明瞭になると考え、ワイラーとこのシーンを巡って対立したが、 ゴールドウィンの9歳の息子がその場面が何を描いているかを正確に理解したので、このシーンは映画に残される事になった。 ヘルマンは『嘘』という仮題をつけていたが、最終的なタイトルは脚本部門が考えたいくつかの題名の中からゴールドウィンが選んだ『この三人』に決まった。 映画は高い評価を得て、見事な演技を見せたオベロン、ホプキンス、マクリーも好評だったが、 3人の予想通り圧倒的な演技を見せた子役のグランヴィルが映画をさらい、第9回アカデミー賞の助演女優賞にもノミネートされた。

『この三人』の出来に満足していなかったワイラーは、61年にオードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーンの二大スターを起用して、 レズビアンの要素を復活させた『噂の二人』として自らリメイクした。


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