ギィ・フォワシイ(guy foissy)

〈photo〉中川忠満

 ギィ・フォワシイはフランス人技師の子として1932年に北アフリカのダカールで生まれた。14歳で処女戯曲を書き、24歳で2作品をユシェット座の舞台にかけるが、失敗。

 劇作家として彼の名が知られるようになるのは、1965年、ジャン=マリー・セローの勧めに応じて、演出家アンドレ=ルイ・ペリネッティが『事件』(L'Evenement)を上演してからである。それ以後、フォワシイはコンスタントに戯曲を書き続け、現在、作品数は60を超えている。なかでも、ジャン=ピエール・ミケルの演出で、1971年にコメディー・フランセーズが上演した『相寄る魂』(COEUR A DEUX)は彼の評価を高めた代表作である。

 彼の作品に登場する人物は、大抵、ごくありふれた一般の市民たちであるが、抑圧されたその心の奥にひそむ狂気を、独自のユーモアで描くところにフォワシイの魅力がある。

 これまでに、フォワシイは、1969年にフランス・ラジオテレビ協会から「新人作家賞」、1978年に作家協会から「クールトリーヌ賞」、そして翌1979年に「演劇ブラック・ユーモア大賞」を獲得している。

 フォワシイの活動として忘れてならないのは、とかくパリ中心になりがちなフランス演劇界にあって、彼が一貫して文化の地方分散化に努力している点である。ブルゴーニュ劇場を皮切りに、マコン文化活動センター、ジェノヴァ・フランス文化センターの館長を歴任し、現在は南仏グラースに住んで「カンヌ劇団73」を主宰するかたわら、ヴァール県の演劇企画に協力している。

 フォワシイの作品は今や世界30ケ所以上で上演されているが、とりわけ東京の谷 正雄氏が作者の名を冠した「ギィ・フォワシイ・シアター」を1977年に設立し、現在まで30年以上にわたってひたすらフォワシイの作品を上演し続けている活動が注目される。

 日本における翻訳は「現代世界演劇」第17巻(白水社、1972年)に収められた『壁の崩れるのを眺めて』(利光哲夫訳)や雑誌「テアトロ」に掲載された数編のほか、これまでに2册のフォワシイ作品集が発刊され

ている。「相寄る魂─ギィ・フォワシイ一幕劇集」(牧神社、1977年、のち新装版、ギィ・フォワシイ・シアター、1990年)と「ギィ・フォワシイ戯曲集」(テアトロ、1980年)である。

 

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