発売日:1990年12月12日   発売元:光栄   ジャンル:SLG
値段:9800円   おすすめ度:3(小学生に経営の勉強…)
 大元の正式名称は『トップマネジメント』で、かつて光栄が歴史SLGと共にもう1つ手がけていたスタイルの1つである、ビジネスシミュレーションゲーム第1弾に該当する。
やはりこれも、PC版のをFCサイズに移植しただけだが、なぜこのゲームだけ『ファミコン』と冠しているのに(タイトル画面にもそれが出ている)、他の光栄のFC作品にはそれがついてないのかは全く不明。
『トップマネジメント』とは、社長を中心とした最高経営陣を作るという意味で、おそらく『ファミコン』と冠したのは元々複雑すぎる経営の仕組みを子供達にもわかりやすく説明するため、あえて『ファミコン』を冠したのではないだろうか。
 この頃の日本経済は、バブル経済によって豊かになっていく一方で、バブルゆえに一度はじけてしまうとあとは一気にどん底に落ちてしまい、抜け出すことが難しい不景気に長くはまってしまう危険があった。
それでも、そんなことなど知らぬ日本人の多くは、アイデアを出せばそれだけで売れる商品となり、適当な株を買っただけでそれが高い値幅をあげたりなど、バブル経済にどっぷりつかっていった。
ゲーム業界もまた然り、SLGがFCに登場した1988年にはいきなり大人向けのゲームが次々と登場し、『松本亨の株式必勝学』や『ザ・マネーゲーム』といった経済をメインとするゲームが登場し、短い期間で大金を手に入れようという当時としては無茶な目標があったりした。
 しかし、バブル時の経済ゲームやバブル時代そのものに警鐘を鳴らす人も、少ないながらもいたことは事実。
特に、経済をテーマにしたゲームの大半は株などの資産の売買で大金持ちになるもので、どんな手段を使おうが自分だけが大金持ちになればそれでいいという、スタッフの黒い思惑が動いていたようだ。
それを察知してか、株式必勝学では株だけで稼ぐ努力をしなければゲームオーバーになってしまうという、バブル崩壊の原因の1つになった土地転がしの自粛を促すシステムを取り入れている。
 そして、金儲けに固執して表面上は好成績に沸く大企業の中にも、内部では利益を優先したあまり環境が悪化した会社もあった。
後に平成不況が深刻化するにつれて、その問題が浮き彫りとなりバブル時に投資したものも裏目に出て、結果倒産する企業が絶えなかった。
トップマネジメントは、現実に起こっているかもしれない会社内部の腐敗に喝を入れるべく、企業における本当の金儲けの何たるかというものを示したかったのかもしれない。
ファミコントップマネジメント
さいきん かいしゃが
おもしろくない といって
たいしょくする わかものが
ふえているようです

ビジネスシミュレーションゲーム第1弾

 そう、このゲームは会社経営シミュレーションであり、プレイヤーは大企業の社長になって会社の利益を上げるための活動や指示をしていく。
会社の社長とは聞こえはいいが、実際会社を経営していくとなると会社の現状を把握しながら方針を決めなければならず、主に新商品をどうするかとか会社を運営していくに当たり社員の増減の基準などを考えなければならない。
一昔前の一般的な社長のイメージとは、ふんぞり返って社員達に適当(というほどでもないが)に命令を出すという楽な役柄なものが大半だったが、このゲームでは社員以上に本当は社長もつらいことを暗示している。
 このゲームの目標は、プレイヤーが選んだ5社のうちの1社が、ホビー・ブック・スーパーの3種類のシェアを全て独占かつ50%以上にするあり、その間自分の会社の売り上げを伸ばすための努力をしなければならない。
そうなれば余分に金がかかり、初期の所持金と銀行の預金ではぎりぎりの可能性が大きく、銀行から金を借りることも可能ではあるが、毎月の売り上げと返済の合計などで所持金が常時マイナスになると倒産・ゲームオーバーになる。
もちろん、毎月の収支がマイナスになるのは初期のことで、軌道に乗れば大抵大幅なプラスに転じることも可能で、1年後半で売り上げで首位に立つこともできる。
 この他の手段として、株の売買で副収入を得るという手もある。
3社の株が購入でき、全て名前はなく3番目以外の会社の株は100円まで値下げされ、その時にまとめて購入して値が上がったら売るという株の売買をテーマにしたゲームと同様の手段があるため、その手のゲームをプレイした人ならやりやすいと思うだろう。
だが、多くの場合会社が倒産してせっかく買った株が紙切れになってしまい(実質損する)、他の株売買のゲームのようにずっと持っていればいずれ値上げする保証などないため、結局経営で売り上げを上げることしかないのがつらい。
実質売買にできるのは、一番最後の株でそれも序盤では手が出せないほど高い。
 とはいえ、会社のゲームで株の売買以外の副収入の手段が見当たらないのも事実。
金を増やすこと自体の方法はあれど、このゲームの雰囲気に合うものはほとんどなく、せいぜい株取引程度しか経営ゲームでの副収入に合うという考えの限界を示したといえる。
あくまで、経営で利益を得た金でさらに経営を発展させるための予算にして、売り上げを増やすという地道な努力をプレイヤーに促し、副収入だけ大黒字で本収入が経営悪化で赤字ということを防ぎたいという思惑があったのだろう。
 それに、このゲームの本来の目的は3つのシェアを50%以上にすることであり、金が豊富になってもシェアが低いままではいつまでたってもエンディングを見ることができない。
そうしているうちに、副収入である株取引がつまづき、一気に会社の運営が下り坂になった挙句倒産でゲームオーバーになることもある。
楽して、会社の運営やシェア独占ができるほど甘くはない、それがこのゲームのポリシーである。
 もっとも、他の会社もあの手この手で売り上げとシェアを伸ばそうと躍起になる。
自分の会社の存在と製品を、他社にアピールして社員の引き抜きをやったり、その会社のシェアをこちらのものにするなどという妨害ともいえる手段も可能だが、それが年度の初め(4月)にしか行えないのは少々味気がない。
せめて毎月、もしくは4ヶ月に1回できれば会社争いの展開が面白くなり、自社の3種類のシェア独占が確定しつつある終盤がだれることはなかっただろうと思われる。

本日のまとめ

 売り上げを伸ばすためには、新商品の開発や宣伝が欠かせず費用も毎月変動するので、どのメディアに宣伝させるのかもシェア独占の鍵の1つとなる。
宣伝や商品の改良は、会社のブランド上昇につながり、ブランドが高ければ商品も売れるという現実の会社の商品売り上げを髣髴させている。
商品の製造や値段設定も然り、作りすぎては年度末に在庫処分という形で大損するし、製品の値段を上げすぎるとブランドが高くても客が買ってくれないという事態に陥る。
 どのタイミングで、製造の量を増やすかや値段設定を行うかが面白く、ある意味中毒性になりやすい要素といえるだろう。
結果、自分のやった運営によって商品が飛ぶように売れ、その月の収益が倍増すればさらに宣伝したり商品を多く製造しようと思うのだから。
宣伝や製造を行うのはその部署の人間達だが、それを指揮するのは社長のあなたなのだから。
 だが、社長の手足となる人材がいなければ会社の活動ができないのも事実で、年度初めに社内の人員を部署ごとに何人か採用させ、製造ラインや商品の宣伝の配分などを決めて、商品の流通や売り上げの予測を見越しての値段設定なども決める。
これが、このゲームでの自分の会社を発展させるために必要な、社員を有効に活用させるコツで、ノルマを課して増大させることも必要になる。
 ところが、会社の利益を優先しすぎて社員の待遇をおろそかにすると、社員達の反発が頻発化し今まで利益が上向きだったのが下向きに転じてしまう。
ストライキと社員の引き抜きや退職などがそれで、社員の働きに見合った給料やボーナスを出したり、教育や福利厚生を行って社員の能力やモラルを上げる努力も必要になる。
社員を指揮するのは社長の役目だが、その社員達を自分の会社に満足させることも社長の役目であり、会社の羽振りがよければ一気に社員の質を上げたり、一般給料やボーナスの大盤振る舞いをやって他社に差をつけるのも面白い。
 当然、会社の景気が悪ければ人員の大幅削減や、給料の数分の1のカットとボーナスの据え置きという一大リストラもやむを得ず、社員に配慮する会社を目指しつつも時として会社の建て直しには鬼に徹しなければならないことも社長の役目であって、ゲームながらも社員の配慮にもこと細かく設定がなされている。

 このゲームの醍醐味のさらにもう1つとして、たまに行われる他社との商戦である。
競争相手以外の会社から、商品とその数を指定されての自社の参加の是非を行い、こちらにその商品の在庫が十分にあり、競争相手が2社以上参加すれば商戦が始まる。
条件さえそろえば、最大5社による一大商戦も拝見できるわけだ。
 内容は、対象となる会社に伺って交渉による商品の説明や値下げなどを行って、30ターン以内にこちらの信用度を他社より一番早く100にできれば対象会社との交渉権が得られ、モラルやブランドが上昇する。
1面のマップに、勢力とそれらに取り囲まれている対象会社が登場し、対象会社に隣接して先の交渉を行うが、その前に競争相手を妨害して対象会社の信用度を落としたり、論戦を行ってライバル会社を蹴落としたりなど行える。
しかし、たまにアクシデントが発生して1回休みになったり、ライバルのほうが信用度をあげやすく悪評で信用度を落としてもダメージを超える回復を見せ、結局ターンの無駄遣いとライバル会社の勝ちに花を添える結果になってしまう。
 このため、こちらも負けじと信用度を上げるより、先にライバル会社を蹴落としてじっくり対象会社との交渉に移るという、外堀から先に埋めるやり方がメインになってしまったのは否めない。
CPUのレベルを最低にしても、商戦でのレベルはあまり下がったとは言えず、ここでもある程度レベルを下げてプレイヤー有利に配慮してもらいたかった。
 どちらにせよ、会社経営を主体とするこのゲームは、はまればかなり中毒性が高いものになっているものの、大人向けに洗練されたものゆえに会社運営のノウハウがわからなければ、いつまでたってもこのゲームの良さが見つけられずじまいだ。
FCサイズに収まっているものの、それでもこの手のゲームは子供達にはわかりにくかった。
自分の会社の3つのシェアを独占するまでの経緯が、経済の勉強と思えたのかもしれない。
 最後に、このゲームの登場する5つの会社の元ネタについて説明しておきたい。
名前を見ればわかるように、一大家電またはPCメーカーのパロディなのだが、ロゴが現実の会社そのままというのは何かと勇気がいる決意だっただろう。
一応、ゲーム開始前の『この会社は存在しません』となっているものの、光栄の姿勢を見るに何かと疑いたくなるのはご愛嬌か。

 このゲームをレビューするきっかけは、ニコニコ動画の光栄作品のOP集を見たというわけではない。
詳しく言えば、そのOP集を見てOP集に入っていないゲームがあることに気づいただけ。
私の知る限りで、OP集に入っていなかった作品(PC版のみ)は『トップマネジメント』と『伊忍道 打倒信長』の2つで、おそらくそれらを持っていなかったためにOP集から外れてしまったと思っている。
 ちなみに、このゲームの存在は発売から間もない頃に知ることができたが、まだ名前だけしか知っていなかった上に数年後に発売されたSFC版の画像をファミマガなどで見たときは、「何か難しそうだな」と思ってプレイをためらっていた。
にもかかわらず、当時続編や同じビジネスシミュレーションである『リーディングカンパニー』や、『エアーマネジメント』シリーズはいつかプレイしてみたいという気持ちが目立っていった(エアーマネジメントシリーズは2作ともプレイ済み)。
多分、FCで本格的な会社運営を行うと同時に、パワースペックが小さいFCでプレイするのに抵抗感があったのだろうと思う。
 とにかく、光栄作品のFC版を全てレビューすると言う意気込みで、トップマネジメントのFC版を箱と説明書付きで1780円で購入。
今思ったが、90年以降のFCとSFCの光栄作品のほとんどは必ず1万を突破しているが、90年に発売しているトップマネジメントだけ9800円なのは、容量がたったの2Mだけなのだろう(2Mの光栄作品は必ず9800円だった)。
プレイする前の私の評価は、会社の経営が複雑すぎて難易度が高すぎるというものだった。
 実際にプレイしたとき、運営のノウハウがわからなかった私は、ゲーム開始直後から頭が完全にウニになってしまい、人員をどうするか製造ラインやその人員の配置をどうするかなど、現在パートの身である私にとってかなり志が高いものとなってしまった。
雇われの身であり、経営者の身になど全くなっていない私は、適当に会社の運営をこなすしかなかった。
最初の月は、ライバル4社に差をつけて1位に躍り出ることができたが、翌月以降になると一気に順位を落としてしまった。
 おそらく、序盤から銀行の借金の世話になることを恐れ、積極的に社員を雇わなかったり宣伝も一番影響力が低い雑誌メインでやっていたのが原因だったと思う(銀行に預金があったことを知らなかったのも、積極的に会社を経営しなかった理由の1つだったかも)。
5月の売り上げを見た私は、すぐリセットして新しくゲームを始めた上で、銀行から借金をする気持ちで会社の運営に取り掛かる努力をした。
その時には、会社の運営のノウハウはある程度身についていたので、短い期間でゲームオーバーにならないように気をつけた。
 結果、毎月1位を維持し続け売り上げも順調に伸びていき、4年後には術のシェアが50%以上を達成することができた。
その間、株取引とかにも手を出したが、1万株買った挙句その会社が3ヵ月後に倒産してしまったのを見て、株で稼ぐことはやめた。
このゲームを最初にプレイして、混乱しかけた私がつい夢中になってプレイしているところまできたところを見ると、ゲームでの会社の経営だからこそできたのではないかと思っている。
どうでもいいが、ニュースに出ている『テレビ横浜』とは、神奈川テレビと光栄本社を掛け合わせたものなのだろうか。