『平和に捧げる、殴り愛マシーン。』

 ソニックブラストマンは、はるか宇宙のかなたからやってきた正義のヒーローである。
今日もまた、地球の平和を守るため、必殺のメガトンパンチが炸裂する!

 1990年のゲームセンターに、最上部に書いてあるキャッチコピーと共に、風変わりなパンチングマシンが登場した。
その名は『ソニックブラストマン』。
ゲーセン内では、『ファイナルファイト』や『パロディウスだ!』といったコンピューターゲームがメインとなっていて、こういったパンチングマシーンは、奇異に見えたゲーマーがかなりいたのではないだろうか。
しかし忘れ去られるはずのソニックブラストマンは、当時のメジャーなゲームと違った意味で、一部のゲーマーの記憶に刻み込まれる。
 その理由は3つあって、1つはコンピューターゲームの雰囲気。
普通のパンチングマシンは、ゲーム画面は付いておらず、ただ自分のパンチ力を測るだけのものだった。
しかしソニックブラストマンは、あえてゲーム画面を入れることで、コンピューターゲームをプレイしている雰囲気を作り出した。
 2つ目は、このゲームの設定。
このゲームは3ラウンドになっていて(ゲーム画面に「3回殴って○○を止めろ!」というテロップが出る)、そのときに測ったパンチ力でゲームが進行される。
またソニックブラストマンというヒーロー上、戦うのは地球の平和を脅かすものたち。
その敵も難易度ごとに分かれていて、その数5つ。それも、最初はただの悪漢から暴走トレーラー、果ては小惑星まで様々である。
そういった危機を、3回殴るだけで救われるのだから、(あまりの馬鹿さ加減において)こんなすごいことはない。
さらに主人公のソニックブラストマンも、アメコミ風のキャラのいでたちで、一部のファンの人気を得た。 
 3つ目は、パンチングマシンゆえの手軽さ。
一般のゲームのプレイ時間は、面白いにしろつまらないにしろ、だいたい3、40分かかるものだった。
場合によっては、プレイヤーがだらけることもあったのだが、ソニックブラストマンはパンチングマシンの特性を生かし、クリアできたにしろできなかったにしろ、3回殴れば終わりであった。
これによりこのゲームは、最大2分ほどで終わることができるので、手軽さという意味でも人気があった。
 かくしてソニックブラストマンは、ゲームセンターの歴史に新たなる1ページを刻み込まれることになる。

 私にとってのソニックブラストマンは、業務用のほうが思い出深い。
あまりゲームセンターに合わないパンチングマシンが、このゲームだけは結構マッチしていた。
理由は前にも述べたように、ゲーセン風に仕立てたことや、3発殴れば終わりという手軽さなどである。
 私は、パンチ力があまり強くなかったので、悪漢を倒すのはともかくトレーラーを止めるのが精一杯だった。
でも、1回殴るごとに対象物が壊れていく様は、私をその間だけヒーローにさせてくれた。
 そしてSFCの移植なのだが、ファミマガでゲーム画像を見たときは、「これ面白そうだな。」と思ったのだが、何故かSFC版をプレイする機会がなかった。
それから14年後の現在、ようやくプレイすることができた(近くのゲームショップで400円で購入)。
しかし、あまりのゲームの悪さに、一時は投げかけたのだが、何とかクリアできた。
業務用も移植版も、私がまだ子供だった頃に登場したからなのか、そのときの記憶が美化されたらしい。
特に移植版のほうは、ファミマガがいい意味でこのゲームの記事を作っていたからなのか、大人になってプレイしてみて「あの時はまだ子供だったな。」と、つくづく思ったのだった。
 業務用稼動の2年後に移植版、そして移植版発売の2年後に業務用と移植版の続編が登場する。
業務用はともかくとして移植版だが、続編が出るほど人気だったのか、それとも前作で何かやり残したことでもあったのか…。
それは開発者達しか知らない永遠の謎である…。

必殺 100メガトンパンチ!!

本日のまとめ

 移植により業務用の雰囲気は失われたものの、全ての雰囲気が失ったわけではない。
ソニックブラストマンの連続技の派手さはある程度出ているし、Lボタンで溜めてYボタンで出す100メガトンパンチ(メガクラッシュ)は、パンチングマシンでの雰囲気がかなり出ている。
ちなみに投げのダメージは、パンチ一発と変わらない。
ソニックブラストマンの得意技はパンチなので、パンチの連続技のほうが敵に与えるダメージが大きいのだ。
ただ投げる動作は無敵だし、敵が群がってるところへ投げると、巻き添えをさせやすくなるので、どちらも使用頻度は変わらない。
 そして雰囲気といえば、何といってもパンチングマシンの雰囲気が出ているということ。
といっても、ステージ間にあるボーナスステージだが。
先に業務用の雰囲気は失ったと書いたが、あくまでゲーセンでの雰囲気であってパンチングマシンの雰囲気ではない。
ゲームの進行も、全く変わっていないのだが、問題は移植版でどうやってパンチ力を出せるのか、ということであった。
もちろん、コントローラーを床に叩きつけて測定するわけにはいかない(当たり前です。コントローラが壊れるから)。
 ではどうやって再現するのかというと、画面上部にあるゲージを制限時間内にできるだけ多く溜めて、パンチを放つ(ボタンを押す)。
画面真ん中に近いほどパンチ力は大きくなり、ゲージがより多く溜まっていれば高ポイントが期待される。
そのゲージの溜めかただが、十字キーの左右連打で行う。
何かしら力を使うことが多いアーケード版だが、SFC版もかなり力を使う(アーケード版は精神力、SFC版は体力)。
しかもあまりゲージが溜まらないので、無駄な体力を使うことが多いのではないかと思う。
何でボタン連打ではなく十字キー連打なのか、そこが残念で仕方がない。
 どうでもいいのだが、業務用も高ポイントを獲得するのには、ただ単にパンチ力が強いだけではなく、どこを叩けば高ポイントが出やすいかといった頭の使い方も大きなポイントだった。
 ボーナスステージにおけるパンチングマシンの移植は、いろんな意味で完璧はないが、なかなかの出来ではないだろうか(「私のパンチを受けてみよ!」という声も入ってるし)。

 その2年後の1992年、ソニックブラストマンのSFCへの移植の情報が流れる。
この情報は、このゲームのファンにとって、危惧されることになった。
元々このゲームは、あくまでパンチングマシンであり、ゲームセンターだからこそこのゲームの人気があったわけだ。
それを移植するということは、パンチングマシンを移植することと同じだという考えが、ファンにはあったと思う。
つまり、それのための周辺機器が発売された場合、はっきりいって置き場に困る代物になるのではという心配であった。
それを見透かしてか、ゲーム雑誌『ファミリーコンピューターマガジン』の当時の記事では、コントローラーを床に叩きつけて、その力を測定するという予想が書いてあった。
もちろんそれは冗談なのだ(と思う)が、このふざけた予想を見たファンが激怒したかしなかったか…。
 そして9月25日、SFCの移植版が発売された。
ゲームの内容は、業務用と全くジャンルが違い、『ファイナルファイト』にあったベルトアクションであった。
おそらくいや間違いなくこのゲームのファンは、SFC版のゲーム画面を見て、落胆したのではないかと思う。
何故パンチングゲームをベルトアクションにしたのか、それ以前に移植する必要があったのか、完全に謎である。
これより半年前に、カプコンから『ファイナルファイトGUY』が発売され、そこそこの売り上げを見せたことは(当時としては)記憶に新しいが、ベルトアクションゲームは売れるとタイトーは思ったのだろうか。
 操作方法は、ファイナルファイトとさして変わらないが、AB同時押しで回転攻撃を出せる。
しかし出すと、一定時間操作不能になる。
そもそも操作自体が悪く、歩くスピードはハガー市長より遅い。
なのにジャンプで移動すると、何故か歩くよりも速い。
またソニックブラストマンの攻撃のリーチが短いため、ファイナルファイトでプレイした感覚で攻撃すると、必ず敵の反撃を食らう。
こういったことを合わせるに、クセとかそういう以前にベルトアクションとして完成してないのではと思ってしまう。
ただ敵もあまり攻撃しないので、慣れれば何とかやっていけるかもしれない。

発売日:1992年9月25日   発売元:タイトー   ジャンル:ACT
値段:8500円   おすすめ度:2(全体的にゲームバランスが…)

私のパンチを受けてみよ!?

ソニックブラストマン