西暦2024年、人類は世界協和構想に基づき、地球規模の事業で『軌道エレベーター』という、超巨大建造物の着工に入った。
これは、大西洋上に建設することにより地球の静止軌道にまで達するもので、シャトルの類をごくわずかなエネルギーで発着させるためのプラットフォームとして、また太陽エネルギー集積衛星からの一時的な蓄電システムすなわちエネルギーダムとして、さらには特殊高分子素材の生成プラントとしての機能を果たすことを目的とするものであった。
この計画を立てた要因として、21世紀初頭に起こった世界資源紛争を教訓にしたもので、名前を『アトラス』と呼んだ。
 着工から約12年後の2036年、この建造計画は順調に進み、世界の協調と平和のシンボルとして位置付けられた。
この巨大建造物の構築作業の高効率化を計って、二足歩行型の作業機が実用化された。
これにより、アトラスの建設スピードは格段に上がり、アトラスによって宇宙から得られる資源を共有することで、世界に永遠の平和がもたらされることが現実味を帯びるはずだった……。
 ところが、アトラス完成が大詰めを迎えた、2036年も半ばを過ぎたある日、重水素による常温核融合技術の応用が具現化し、軌道エレベーターの建造意義が希薄となってしまう。
建造に参画していた一部の国は、離脱を表明することになり、平和と協調のシンボルだったアトラスから目を離す人々が続出した。
残った国々は、アトラスの処遇をめぐって会議を行うも、計画の続行と中止をめぐり見解は真っ二つに分かれ、結果この地球規模の大事業は一時中断を余儀なくされることになった。
 2年後、中東で極めて小規模な紛争が起こったが、これに呼応するかのごとく各地で国家間を揺るがす事件や紛争、さらには革命までもが頻発し、国際関係は非常に不安定な状況となる。
それは、あたかも見捨てられたアトラスが、人類に対して復讐の意をこめて雷を放ったかのようであった。
慌ただしくなった国連の平和維持活動には、ヴァンツァーと呼ばれる二足歩行型の装甲騎兵が、序々に投入されていく。
 それから40年後の西暦2064年、最も治安体制の整う北大西洋に面した平和の地、ベルゲン共和国首都エミンゲンにも、クーデターと言う新たな戦火が立ちのぼろうとしていた。
仕掛け人は、共和国軍人のアーク=ヘルブランド大佐で不意を突かれたオーウェン大統領は、エルトダールにある海軍基地でアルベルト=グレイブナー軍曹らヴァンツアーパイロットに護衛されながら国外脱出をすることになるが、これを見逃すアーク大佐ではなかった…。
フロントミッションシリーズ ガンハザード

発売日:1996年2月23日   発売元:スクウェア
ジャンル:アクションRPG   値段:11400円
おすすめ度:4(スクウェアが送る、久々の横アクション)

外伝と割り切ったアクションRPG

 フロントミッションシリーズの第2弾だが、『2』となっておらず『ガンハザード』というサブタイトルがついており、フロントミッションシリーズの外伝作品となっている。
外伝要素となっているのはタイトルだけでなく、世界設定が初代とある程度リンクしていることを除けば、まるっきり別のゲームに代わっている。
ジャンルも、初代(と言うよりガンハザード以外)のシミュレーションRPGからアクションRPGに変更されており、それも横スクロールアクションなので、他のシリーズに慣れている人がガンハザードをプレイすれば、まず間違いなく違和感が出るだろう。
 ただし、フロントミッションシリーズの醍醐味の1つであるヴァンツァーのカスタマイズは、別の形で受け継がれている。
といっても、それは武器やボディだけで、両腕や脚のパーツは登場しないものの、代わりにダッシュパーツやジャンプの飛距離がアップするなどのパーツが登場するので、こちらも他のシリーズ同様にカスタマイズの楽しみが維持されている。
さらに、人間用のパーツ(と言うより装備)も用意されているが、これらは生身(ヴァンツァーを降りる)で戦うことで効果を発揮する。
 このゲーム、ヴァンツァーで戦う他に生身で戦うこともできる。
というより、生身で戦わねばならない場合もあり、総合的に生身はヴァンツァーより貧弱でHPや攻撃力も低いため、同じ生身の集団に囲まれればともかくヴァンツァーならば、対処を誤った時点で死が確定してしまう。
つまるところ、アリが象に歯向かっているという無謀な図式なのだが、生身の回避方法はなかなかによく、大部分の攻撃は回避できる。
 それに、人間がヴァンツァーといった大型兵器を倒す快感は、ヴァンツァーだけで戦っている人にはわからないほど衝撃的かつ痛快で、拳銃一丁で大型兵器を倒すにしても、自分の腕さえどうにかなれば何とかなる(苦戦は免れないが)。
リアルロボットアニメにおいて、生身の人間が大型兵器を倒すシーンは何度も登場しているので、ガンハザードでも実現可能と判断したのかもしれない。
奇しくもこの時期、他のガンダムシリーズより生身対MSの場面が多い『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』が登場したことも、ガンハザードが他のロボットアクションゲームと比べて、あまり異質は感じられなかったことの1つなのだろう。

 ジャンルがアクションRPGとはいえ、他の作品と比べればかなり異質だ。
横スクロールのアクションRPGも異質なのだが、中には強制スクロールの場合もある。
難易度的に少々高く、十字キーの上下を使っての弾を射出する方向を決めたり、バーニアを吹かしての2段ジャンプをしたりなど、少々高度なアクションを要求される。
 当然、敵の攻撃も激しいが、敵に密着すればダメージは受けない。
しかし、敵兵器が爆発するとその爆風でこちらがダメージを受けてしまい、その被害も少しとはいえ塵も積もれば何とやらでバカにできない。
さらに、自爆するロボットや地雷までもあるので、受けるダメージの大半は敵の弾よりも爆風が占めているものと思われる。
せめて、爆風のダメージをなしにするか、もしくは軽減する処置をしてもらいたかった。
 だがそれ以上に異質なのが、経験値や金の取得だろう。
このゲームは、敵を倒してもその場で経験値や金がもらえず、自分が指定するエリアの戦闘が終了(主に、左端からスタートし右端にたどり着く)することで、そこで倒した敵の数などに応じてもらえるようになっている。
同時に熟練度も導入され、全てのパーツを使い続けることで熟練度が上がり、100%になればパーツの総合能力が上がる。
 これにより、弱い武器でも熟練度を100%にすることで、強敵にも対抗できるようになるので、節約している人にとってこれは大助かりなシステムだろう。
だがボディについては、ダメージを受けることで熟練度が上がっていくのでかなり危険な方法なのだが、ボディにも熟練度が導入されている以上仕方ないだろうし、100%になれば耐久力などといった性能が上がるため、決して理不尽と言うわけではない。
もっともパーツ自体、主人公アルベルトのレベルによって登場するタイミングが違うため、クリアを優先していくと高性能のパーツが最後まで出てこない。
逆に、序盤でレベルを上げていけば(時間はかかるが)購入できるパーツがいきなり増え、レベル上げも一度クリアした場所ならば(一部は不可)何度でも挑戦できるので、低レベルでクリアと全てのパーツが購入できる状態でのクリアなどという豊富なやりこみもできるようになり、ガンハザードの魅力の1つとなっている。
またエリアの中には、別の攻略しなくてもいい場所もあるので、あえて全てのエリアを出してクリアするというやり方も、やりこみの1つといえる。
 この他として、パートナーを選択してその人物と共に戦うことができる。
裏技で、2Pがパートナーを操作できるものの、基本的にCPUが操作することになっている。
パートナーにも、色々とカスタマイズできたりレベルも上げることもできるので、自分のヴァンツァーや生身の装備同様プレイヤー独自の色を出すのも容易だ。
 金のほうに戻すが、闘技場がない分稼ぐ効率はこちらが少々悪い。
手軽に手に入る点では、ガンハザードのほうが上なのだが危険度は高く、初代が金を失うだけなのに対してこちらは下手すればゲームオーバーの危険が高い。
物価も、初代と比べて数倍に跳ね上がっているが、仲間が少なくパートナーも1人しか連れて行けないことを考えれば、これはやむをえなかったのだろう。
とはいえ、もう少しリスクが少ない金の稼ぎ方を編み出す必要はあっただろう。
あえて、ショップ内にカジノといったギャンブル施設を作ってもらいたかった(一応、楽して経験値と金を稼げる場所はあるが、かなり時間がかかってしまう)。

 ストーリーは、主人公が所属している部隊を含めた勢力全てが善悪関係なく、それにより戦争の悲惨さや苛烈さを前面に押し出していたのに対して、今作は主に勧善懲悪に近い形でストーリーが進んでいくので、初代よりは様々な勢力関係に戸惑いを出すことは少ない。
だからこそ、初代の主人公ロイドのようにあまりしゃべらずクールな性格なのに対して、今作の主人公アルベルトはなかなかに直情的で、アークの悪事はもちろんそれによって犠牲にされた両親の仇を討つため、仲間の制止を振り切ろうとしたり、いきなり強行突破をすることが多い。
最初は、アークといった悪の野望を潰すためにただ戦っていくだけだがそれは前半のことで、世界各地を荒らしまわっている悪の軍団が、最終的に上部組織の手のひらで動いていたに過ぎなかったことや、とある地域でアルベルトが所属している部隊が実は悪の組織だったりなど、ストーリーが進むごとにやはり難解かつ複雑に絡み合っている。
 戦争の悲惨さも忘れておらず、何の変哲もない村がいきなりヴァンツァーによって全滅させられたり、戦闘で犠牲になった家族の敵と言うことで、何の関係のないアルベルトにいきなり攻撃を仕掛けるなど、初代に劣らず悲劇的で衝撃的でもある。
ゲーム開始直後に、アルベルトの同僚がいきなり戦死してしまうところも、初代の悲劇を再現したものといえるだろう。
性格の描写もまた然り、顔の変化が登場したことで、より一層キャラの感情移入がしやすくなり、初代に引き続いて天野義孝氏の描くキャラの質も衰えていない。
 しかし、人気と言うとあまり高いとはいえず、売り上げも約18万本と前作の約50万本の半分未満にとどまり、知名度もシリーズを通して一番低い。
その理由は、先にも書いたとおりジャンルが横スクロールアクションRPGであるため。
だが、BGMは4人の作曲家陣にスクウェアの音楽担当でおなじみの植松伸夫氏が加わったことで、初代に勝る劣らずな重厚なものに仕上がっている。
グラフィックも、繊細かつ細部にこだわっており、前半に訪れるアルハリの夕日の丘は、ヴァンツァーが山に隠れると太陽の光が減るという細かさは、グラフィックのきれいさも合わさってつい敵と戦うことを忘れてしまう、それほどまでに惚れ惚れする。
最後にこのゲームは、『重装機兵ヴァルケン』の開発を担当した(発売はメサイヤ)大宮ソフトが担当しており、ヴァルケンもRPGの要素を取り入れていないことを除けばガンハザードとほぼ同じだが、さすがにガンハザードの人気は主にヴァルケンのファンによるものとはいえないものの、フロントミッションファンの不人気を考えると、あながちありえなくもないと考える。

 私は、それに似たようなゲームを発売当時にいとこの家で見かけたことがあるのだが、既にファミマガといったゲーム雑誌は購入しておらず、ゲームについてはPSやSSといったニューハードに関心が集まっていた。
したがって、特にガンハザードが面白いという感じは持たず、大学時代に久々SFCをプレイしても、ガンハザードをプレイすることはなかった。
発売時期と、大学生活の間が狭かったことも理由の1つだが、そもそもいとこのプレイを見ただけでプレイはしていなかったため、あまりプレイする気にはなれなかったことももう1つの理由だった。
 このため、ようやくプレイしたのは今頃になってからであり、初代をレビューしたからついでにプレイしてレビューしようかという気持ちだった。
だがプレイしてみて、いきなり衝撃が走ったが、それはシリーズの基本ジャンルが全く違っていたのではなく、面白さによるものだった。
確かに、弾はかなりばら撒かれて爆風もダメージが大きいが、(生身以外で)体当たりや敵に触れるだけでは全くダメージを受けないので、ゲームに慣れればそれ程難しくはなかった。
もちろん、うかつに無駄弾を撃つとリロードがかかってきて攻撃できないこともあり、バズーカやバーナーといった特殊ウェポンは弾切れになったら補給しない限り使えないため、主にボス戦で使用することになった。
 経験値や金を稼ぐのはなかなかにつらく、弾切れのことも合わさっていつやられるか、プレイ中はいつもびくびくしていたが、ゲーム中盤のザンボラのエミンガの森は、経験値を多く稼ぎやすい場所だった。
ステージの最後の場面のある場所でじっとしているだけで、自爆する敵がプレイヤーの関係ないところで勝手に自爆し、経験値をいただけるのだ。
もちろん、量は微々たるもので打ち止めもあるので、永遠にじっとすることはできないが、それでもバカ正直に経験値を稼ぐよりもよっぽど効率がよく、その間はほかの事をやっていた(主に親の手伝い)。
 個人的にストーリーは、前作と比べれば私にとって少々わかりやすく、勧善懲悪調やステージ構成等により『主人公が所属している部隊=正義』と思い込みやすくなった。
例外もあるが、大部分はアルベルト達が敵対している勢力が必ず悪事を企んでいるため、初代のリメイクのようにロイドの敵対勢力側の視点を考えずに、思う存分敵を叩きのめせるのがいい。
それにしても主人公のアルベルトは、最初は復讐のために悪と戦い、世界各地で起こっている紛争の被害を見ることで、次第に世界の平和を再構築する戦士に変わっていく。
まるで、仮面ライダーV3の風見志郎や結城丈二のようで、志郎は両親や妹を丈二は部下達をデストロンに殺され、最初は復讐のために戦うも徐々に平和のために戦うことに昇華していくところを、ガンハザードに当てはめたのはなるほどと同時にわかりやすいとも思えた。

本日のまとめ

無理しすぎよ、
心配したわ!