発売日:1994年3月18日   発売元:光栄   ジャンル:SLG
値段:11800円   おすすめ度:3.5(知名度が低くも秀作な一品)
 イギリスが、北アメリカに植民を開始したのは16世紀も終わりに近づいた頃…。
ある者は富を求め、またある者はカトリックといった宗教などの自由を求めるために、大西洋を超えてこの新天地へやってきた。
だが、そんな希望を胸に抱き新大陸に渡った彼らを待ち受けていたのは、新大陸の厳しい自然と現実であり、それに耐え切れなくなった人々は次々と倒れていった。
それでも、生き残った人々は過酷な自然に立ち向かいながら、森を切り開き畑を耕しつつ、時にはインディアンといった先住民族と協力して、植民地を着実に発展していったのである。
 それから、北アメリカに植民を開始してから100年以上が経過した頃、母国イギリスでは度重なる戦争とそれに続く軍隊の駐留により財政難に陥り、それを補うべく政府は植民地の人々に対しての課税を、過酷なまでに強化した。
イギリスは、仇敵フランスやスペインなどといった国々と北アメリカの利権を長年にわたって争い続け、最終的にイギリスが勝利し後の大英帝国の基礎を固めたが、その代償として国家の財政は火の車になってしまっていたのだ。
 もちろん、北アメリカの過酷な自然に耐えてきた人々がそれを受け入れるはずもなく、各地で課税に反対する人々の暴動が起こった。
砂糖法、タウンゼント諸法、印紙法など、本国政府に対する植民地の人々の不満は次第に高まっていった。
そして、茶法から端を発したボストン茶会事件を契機に、イギリス政府はその事件の制裁措置として、ボストン港の閉鎖やマサチューセッツの自治の剥奪など植民地の権利を厳しく制限、本国と植民地の緊張は急速に高まることになった。
 1775年3月バージニア州会議事堂において、弁護士であるパトリック=ヘンリーが歴史的な発言をした。
「我々は、もうこれ以上自分を欺くべきではない。今まで迫りくる嵐を避けるために、あらゆる努力を惜しまなかったはずだ。
しかし、我々の請願や抗議も全ては無駄に終わってしまった。自由と権利を失いたくないのならば、それを守るために戦わねばならぬのだ!
諸君は平和、平和と叫ぶかもしれないが、それはもうここにはないのだ。戦争は、既に始まっているのだ!
誰がどの道を選択するかなど、私の知るところではない。しかし私はこの道を選ぼう。おお、神よ…我に自由を、しからずんば死を与えん!」
 こうして、植民地の人々の多くが遂に立ち上がった時、アメリカの海岸にイギリスの艦隊が姿を現した。
同年5月、イギリス軍が植民地のレキシントンとコンコードの民兵の武器弾薬を徴収しようとして民兵組織と衝突。
これを機に、植民地の愛国派は本国と植民地の王党派との間で、長く苦しいアメリカ独立戦争が始まったのである…。
初のアメリカ独立戦争のコンピューターゲーム化
おお、神よ・・・我に自由を!
しからずんば死を与えん

独立戦争 Liberty or Death

 光栄が送る歴史SLGの1つで、18世紀後半に起こった合衆国軍とイギリス軍との戦い、いわゆる『アメリカ独立戦争』をテーマにしている。
アメリカ誕生の出来事ゆえに、アメリカはもちろん全世界の学校で必ず学ぶだろう出来事で、日本の中学校の歴史の授業でもアメリカ独立戦争を、大雑把ながらも学んでいる。
『世界が逆さまになった』といわれるほど重大な戦いだったため、コンピューターゲーム化されるのは必然であったといえる。
 しかし、同じ歴史SLGである『信長の野望』や『三國志』と比べて知名度があまりにも低すぎることと、2008年現在続編も発売されていないことにも知名度の低さに拍車をかけている。
続編が発売されないのは、先の戦争の知名度もそうだがプレイヤーが選ぶ勢力がアメリカとイギリスのみという、2勢力だけの争いとなっているためなのだろう。
『項劉記』などといった、2勢力だけの争いを題材にしたゲームでも、その多くがいまだ続編が発売されていないのがその根拠といえよう(『提督の決断』シリーズは4作まで制作)。
だからこそ、これらのゲームを今も好意的に評価している人が多くいるのも事実。
 また、光栄初の海外向けとして制作されたことも、このゲームの知名度が低い要因の1つのようだが、『ランペルール』のように日本人にあまりなじみのない歴史舞台をゲームにしたのは評価でき、当然ながらも最初に発売したアメリカでは評価はすこぶる高かっただろう。
事実、アメリカのPCはもちろんSNES(アメリカのSFCのこと)やジェネシス(アメリカのMDのこと)にも移植され、日本でもPC−98やSFCに移植されているが、移植ハードの少なさもやはり両国共に知名度の低さを物語っている。
 それは、2003年から始まったコーエー25周年記念パックとそれに続く2005年から始まるコーエー定番シリーズにも、このゲームが選ばれなかったことを意味しており、項劉記や源平合戦でも記念パックや定番シリーズに移植されたのに、独立戦争だけその対象から外れてしまったのは、多くの要因の結果からなる知名度の低さに加えて、アメリカ独立戦争自体日本人にはあまりなじみの薄い題材だったのかもしれない。
さらに、約8年間にもわたる大戦争だったにもかかわらずシナリオがたった1つしかなく、2大勢力作品でも複数のシナリオが存在しているが、これは独立戦争の資料がスタッフにもなじみの薄いものだったため、資料集めや和訳などに苦労を強いられたことを示しているようだ。
加えて、光栄作品における2勢力のだけのSLGにおいて、元になった戦いの敗者が滅亡し(『提督の決断』シリーズでは勢力ではなく政権)敗者が追い詰められていく過程での悲劇的な場面が多かったが、独立戦争は戦争の原因がイギリスの傲慢な態度から勃発し、あくまで独立戦争ということで敗れた宗主国側はアメリカという勢力を失ったものの全体的に維持されたままなので(つまり滅亡していない)、敗者の悲劇は起こりうるものではなかった。
 つまり、多くの要因によりアメリカ側を正義としイギリス側を悪としたため、イギリス寄りの屈指の名場面がほとんどなく、アメリカよりのイベントが目立っている(独立宣言など)。
その上、総合的な戦力ではアメリカのほうが終始イギリス軍に対し優勢で、フランスやロシアなどからなる反イギリスの武装中立同盟やイギリス軍の地理上の不利などをシミュレートしているものの、初期のイギリス軍優勢の事実はあまり存在していない(ドイツ人傭兵部隊はあるが)。
アメリカに輸出するために、このような手法をとったのかどうかわからないが、相手側をないがしろにする行為もまた、続編が発売されない要因の1つなのかもしれない。
それでも、PCや家庭用ハードでのリメイクを希望する人もいるので、その点については記憶にとどめておくべきだろう。

本日のまとめ

 ゲームの内容として、プレイヤーはアメリカのジョージ=ワシントンかイギリスのトーマス=ゲージ両最高司令官のどちらかを選び、それぞれ独立を達成する側かそれを鎮圧する側として戦う。
両司令官とも高い能力を所持しているが、海外版では能力の減退傾向にあり、特にゲージは全ての能力(統率・戦術・指導)が半分の値に減退され、一般将校の能力に転落している有様。
ゲージの能力が大幅に低下している理由は、レキシントン・コンコードの反政府勢力の鎮圧する司令官に任じられながらそれを阻止することが出来ず、結果的に独立戦争が勃発し最終的にアメリカが独立してしまったためなのだろう。
 ワシントンの能力も、海外版では戦術のみ低く抑えられているのは資料に基づいたためのようで、日本版での能力が全て高く設定されているのはワシントンの知名度が高く、日本ではアメリカ建国の父という認識を持っていたためらいく、海外のゲームは総じて難易度が高い傾向にあるので、日本人にも受け入れやすいよう能力を高めたことも考えられる。
ゲージの場合は、単に最高司令官の地位にあるため独立戦争の火蓋を切った責任があるとはいえ、最高司令官の見栄を利かせるためあえて大幅に能力を高くしているのかもしれない。
 最高司令官ゆえに、本人が捕虜となったりまして処刑されればゲーム終了(対人戦もできるため、ゲームオーバーの表現はしない)。
また、年度末の信任投票で政治家達から信任が得られなかった時もゲーム終了となる。
信任を得られるには、自分の陣営が所属している地区の支持率を上げなければならず、それを上げるには官報を出したりパレードを行ったりとこちら側のアピールを行う必要がある。
支持率は、歴史SLGにおける民忠誠度に近いが、ゲーム継続に重大な影響をもたらすあたりは斬新であると同時に、高い緊張感を維持できる役割を果たしている。
 だが、行動を起こすには一定の体力が必要で、毎月わずかながら将軍の体力が回復するあたりは『信長の野望・戦国群雄伝』を思い浮かべる。
しかし、休暇を与えることで体力を回復させることが出来る一方、その将軍は最大3ターンまで使用することが出来ず、敵軍が攻めてくるという欠点があるものの休暇をした将軍の忠誠度が上がるので、金がない序盤では使用頻度が高い。
官報も、金が余りある中盤以降に来る前はパレードで代用するしかないのだが、その場合体力が40も消費されるので、体力(将軍)を取るか金を取るかプレイヤーの悩みといえる。

 戦闘では、主に武装度と訓練度が高ければ何とかなり、沿岸地区で登場する艦隊は双方に脅威となるため、必然的に攻略する地区が限定されるのが欠点ではある(艦隊にも弱点はあるので、それがわかれば序盤で沿岸地区を攻略することが可能)。
兵科は、歩兵、騎馬隊、砲兵隊、ゲリラの4種からなり、特にゲリラはこのゲームの戦闘を象徴付ける活躍ぶりを見せている。
夜間攻撃に強く、敵将軍を狙撃して大ダメージを与えるなどいいことづくめ。
砲兵隊も、後方射撃で大打撃を与えたり、騎馬隊も突撃での威力が持ち味。
 歩兵隊は、総合的に能力が劣るものの、銃剣突撃による白兵戦で敵の砲台を奪ったり、敵を後退させてこちらの包囲網に追い込んだり、包囲しての援護射撃が行えたり(2回)など、こちらも白兵戦における攻撃のバリエーションでは負けておらず、兵科と攻撃の種類が戦場でのバリエーションの豊富さに一役買っている。
そして、敵部隊を追い込んで捕虜にすることこそが、このゲームの戦いの最大の醍醐味であり自軍強化のチャンスでもある。
というのは、このゲームの最終目標は舞台となる13州と、周辺のイギリスの植民地全てを自軍のものにするのではないからだ。
 史実でのイギリス軍敗北の理由の1つに、有能な将軍の慢性的な不足と部隊の分散にあったためで、ゲームでも将軍の少なさが兵力に大きく影響し(最大兵士500まで)、植民地での人材登用や相手将軍を買収してこちらに引き込む手もあるが、13州はかなり広い上に地の利がアメリカ側にある以上、史実通りの攻略では間違いなく独立を許すことになる。
将軍が少なくなることは、敗北に近づきつつある証拠でもあり、身代金で捕虜を取り戻せればいいが、それすら払えない場合は脱走などよほどの場合を除いて戻ることが出来ず、将軍の総合的な数が少ないイギリスはかなり厳しい。
SFC版では、身代金の釈放が追加されたが、それでもイギリス軍での攻略が難しいのは、ひとえにアメリカ軍をひいきしている感じがある。
 したがって、全ての領土を得なくても相手側の戦力を潰してしまえば勝利できるので、このあたりの戦略はこの戦争のイメージに適ってはいる。
逆に言えば、領土が少なくても勝てるチャンスは十分にあり、史実で敗北寸前まで追い詰められたアメリカ軍が最終的に勝利できたのは、あまり多方面に勢力を拡大せずに諸外国との共同で地道に拡大していったことが大きいだろう。
 それを象徴するかのように、2勢力に味方する別の勢力があり、地区での攻略を進めているのは愛国派と王党派の2勢力。
前者がアメリカ側で後者がイギリス側を支援し、勝手に領土を拡大して敵勢力に攻め込んだりもするので、大抵あっさり返り討ちにあうのがらしいといえばらしい。
戦闘では、自動的に戦闘が進むために自由な戦略が利かずそんな余裕などないので、多くのプレイヤーは支援勢力を見殺しにしたのかもしれない。
 そもそも、年度はじめに国家の予算が配備されるものの、主にその予算のやりくりで占領地域を養わなければならず、借金をしてでも目的を達成させなければならないあたり、このゲームの難度の高さを改めて感じさせる(初級レベルはあるものの難しいといことにかわりはない)。
その分、支持率が高ければ民衆から物資を支給してくれることが多いので、難易度が高いゲームながらもじっくりプレイすれば必ずいいことがある、例え負け続けても民衆の力があればどんな苦難にも立ち上がれる、苦労好きの人にはやりがいのあるゲームかもしれない。
あえて、2勢力を自分で操作し片方を勝たせてやるのも面白いだろう。

 このゲームは、当時のファミマガで知ることとなり、当然歴史好きの私にはのどから手が出るほどほしかったゲームであった。
しかしそこは光栄作品、値段が馬鹿高いSLGをずらりと並べているために、結局購入することは叶わなかった。
いずれ、中古で購入するためにそのゲームの情報が載っていたファミマガは大事にしまっておいたはずだったが、大学時代に一人暮らしのアパートに持ち込んで数年後に紛失してしまったらしい。
 一応、当時の記事はおぼろげながらに覚えていたものの、いざプレイしてみると予算の少なさと体力による行動の制限などで、いきなりこのゲームの現実と難しさを思い知らされることになった。
ニコニコ動画で、PC版の光栄作品のOP集を見て当時の思い出が一気に噴出し、上三川近くあたりのブックオフで箱と説明書つきで2680円で購入したのはよかったが、当時の記憶が美化されすぎていたのがまずかったのだろうか。
というより、歴史好きな性分ゆえにどの歴史ゲームもプレイしてみたいのだが、特に光栄作品を多くプレイしてみたいと思っていた。
 ともあれ、発売から14年かけて初めてプレイした私であったが、初級でプレイしているにもかかわらず敵の動きがやや迅速で、予算が少ない当初は敵の攻撃を防ぐだけで精一杯だった。
私が選んだ勢力はアメリカ軍で、戦争の発端を作ったイギリス軍はどうも好きになれず、序盤のイギリスの快進撃にいつも歯軋りをしていた。
それでも、信任投票で落とされない程度に支持率を上げ(100が最高)、主に訓練や武装でイギリス軍の侵攻に備えていた。
もちろん、体力や所持金などの制限はあったものの、最近見つけた攻略サイトを見て苦戦はすれど連戦連勝だった。
 それから2年後、イギリス軍の攻勢が弱まった頃を見計らって反撃を開始、今までの戦闘で多くの将軍を捕虜にしたことで一気に北部地区を制圧、フィラデルフィアを奪還し独立宣言を成し遂げた。
この後、空白地や王党派の領土を占領しながら確実にイギリス軍を追い詰めていったが、途中支持率が高い地区での婦人達による装備の支給や外国勢の加勢など、プレイしていて「支援されているな」としみじみと感じた。
いずれにせよ、後は南下して抵抗を続けるイギリス軍と王党派を潰すだけになったが、私としてはイギリス軍の将軍全員を捕虜にする予定だった。
しかし、包囲してもたまにイギリス軍が撤退を成功するので、いつの間にかセントオーガスティンまで追い詰めていったのはご愛嬌か。
 今のところ、エンディングを見たもののあまりの難度の高さゆえに、2回目以降はプレイする予定はない。
ただ、2回目をプレイする場合は2人対戦にして楽しんでいきたい、アメリカ軍を終始優勢にするために。
とはいえ、必ず1775年からはじめなければならないのは、このゲームの欠点の1つであるシナリオの短さとプレイ時間の長さに直結しているため、もしDSかPSPでリメイクできれば、新たにシナリオ追加の方向でやってもらいたい。