鳴尾浜GW旅情

2002 年 5 月

5月2日。休日のような、平日のような、あいまいな日にふさわしいどんより空。どよーんとした街の空気もうれしく、久しぶりに阪神電車に乗って、JOMAくんでおなじみとなった鳴尾浜野球場に向かう昼前のけだるさかな。。本日は、阪神対サーパス神戸の二軍戦があるのだ。お、阪神電車職員の胸には「ねばねばねば」のバッジが光るし、なんだか車内広告は阪神だらけ。一軍の勢いがこんなところにも、である。タイガートレイン!武庫川駅からなんだか平和に住宅地を南下する単線に乗り換え、武庫川団地前駅で降りれば、どうにもさびれた埋立地。。コンビニでお昼を買おうと思っていたのに、なんじゃーこの寂しさわ。。

■Tiger Den でん?

鳴尾浜野球場に行くのは、初めてなのだ。
でもまぁ、まっすぐむこうに見えるネットがそうだろー。
で、1軒だけあったほか弁屋で唐揚弁当を買い、そちらへ。

てくてくと人気のない歩道を10分も歩くと、
あぁこれかぁ。。 Tiger Den
Den? でんって?

試合開始の小1時間前に着いたのだが、
こじんまりしたスタンドは、既に8分の客の入り。
試合開始時には立ち見も出ていたので、早く着いて正解だね。

売店はないので、ほか弁を買っていったのも正解だね。ね?
んぐんぐぐ。。あらもう食ってる。

うーん、二軍球場ってどこもいいな。
唐突に思えるほど、選手が身近。
グラブの匂いがするほど、近いのだ。

すべてのベースボールサウンドがはっきり聞こえて、
選手の発する、息遣いまでサラウンド!
サラウドン。。皿うど。。あー、また腹へって来たよ。

外野の向こうには阪神二軍寮が見えている。
広沢とかカツノリって。。まさかなぁ。。

グラウンドではサーパスが練習中。よしよし。
え!
今外野にいる奴の背番号、3じゃなかった?
う、うん!あの独特の拝み取りは。。葛城やんけー!

■葛城哀歌

落ちたのか?調整か?(マジ落ちでした)
あまりの腑甲斐なさにわしも「ドツボ」コラムを書いたが、
一軍できのうスタメン、おととい3番の葛城イクローですぜ。。

さすがに試合では2安打を放ったが、
ツーストライクまで簡単に追い込まれるところといい、
ボールが上がらないところといい、あんまり変わりなし。
さすがに落球はなかったけど。。

試合が終わってから、いきなりジュースを買ってる彼と遭遇。
「がんばってー」というと、「おいっす」。。
なんか目がうつろなんだよなー

■吉原炎上

現在BW一軍はキャッチャー二人体制。
二軍にもキャッチャーは異常繁殖したカブトムシのように、
うじゃうじゃいる。
お。ミスター人間ドキュメント・深谷も、いる。

で、二軍に落ちてる吉原は一塁でスタメン出場なのだ。
元 巨人。。すでに10年選手の彼だが、
慣れない一塁で何を思う?

何も思う暇はなかった。。
ゴロやら送球を ぽろぽろぽろぽろ。。
キャッチャーやろ?捕球はうまいはずちゃうんか?

しかしなんだか彼もベンチも含み笑いしっぱなし。
ベテランの存在感ってやつかぁ?
まぁ向こうのベンチで置物のように座ってる広沢よりまし?

しかし吉原は、ピッチャーにこと細かく声をかける。
といっても、「ナイスボール」「がんばっていこ」程度だが。
うーん、どうもなぁ。既に指導者狙いのムードがなぁ。。

吉原はチェンジになるたびに「一軍気取り」で、
二軍戦では珍しくボールをポーン、とスタンドに投げ入れるのだが、
なんとそれを、彼の悪口をメモる わし にキャッチされてしまった。

どうもどうも。
悪口は書くけどな。。うわ 汚いボール。。

■ファールボール騒動

二軍戦のファールボールは、基本的に回収である。もらえない。
スタンドに入ったボールを取りに来るのは、グラウンドボーイ。
真っ赤な顔をして走ってくるグラウンドボーイが、
「すんません!ボール来ませんでしたかぁ?」

あるとき、確かにその辺にボールが落ちたはずなのに、
彼が聞いても、誰もボールを差し出そうとしない。
頭を下げて、「落ちたはずなんですがぁ」という、いたいけな彼。

とそのとき、
スタンド最上段に 女囚さそり のように君臨し、
いかにも常連という風に大声で試合解説していた おばばが、

「そこらに落ちた筈や!その兄ちゃんらの、どっちかや!
 ネコババするつもりやで!」
と、犯人を独自特定!!

おおー。。そこまで言うかっていうか、これって
「終わりの会 で花瓶割った生徒を探し出してる先生」状態?

全員目をつぶって、正直に手を上げなさいかぁ。。と思ってると、
ある青年がたまらずボールをグラウンドボーイに投げる。。
場内なんとなくほっとしているところへ、おばばの追い打ち。

「ほら!あったやろ!そんなことしたら、いかんわー」

■上に行ける奴はおらんかえ?

試合の方は、6対1でサーパスの快勝。

残念ながら、子虎ちゃんには目立った活躍はなく。。
守備もなんだかひどかったなぁ 2エラーのファースト木田!
面出(めんで!)も藤田太陽も、かんなり平凡な投球だし。

それでなぁ、カツノリは試合にも出ずなのに、
練習でもブルペンでもなぜか、えらそう。 そういう、血?
みてるこっちが どきどきしちゃう。。

サーパスでは先発のユウキ、
5回から最後まで投げた「先生」橋本、両者とも出色の出来。
グラウンドが近いのを割り引いても、かなりのスピードに見えた。

特にユウキの落差50キロありそうな、
ありえない遅さ のチェンジアップが度肝を抜いたな。

あと玉木の3安打、プリティ上村のかわいい赤鼻 が収穫。

■鳴尾浜旅情

大多数は、タバコくっさーい おじいちゃん。
けど変わったのもいろいろと。。やっぱ人気球団やからね。

まず、わしの後ろの 漫才おっさん二人組みに感謝したい。

延々、しょうもないことしゃべり続けてくれてな。
二人とも半ズボンに短い茶髪、サングラスの、典型的虎ファン。
日焼けして小太りの、やんちゃ上がりのええお父さんってとこ?

笑うのは、二人で真剣に、二軍戦手の行く末を案じるのだ。
「こいつらもなー、もうつぶしがきかんからー」
「野球選手やめてサラリーマンになれた奴なんか、おらんやろ」
。。おるやろ、それくらい。

「お、コーチあれ、御子柴やろ。わしと同い年や」
「庄司って構えが巨人におった 呂 みたいやな
 呂って、わしと同い年や」
。。しらんがな

白眉はこれ。
「ファーストの木田てええ番号、22もろとるんやなー」
「木戸から木田へか。。名前KIDOからKIDAってことは
 OをAに代えただけで、ユニフォーム使い回しちゃうか?」
「ちょっとくさいですけどー いうてな。。」

続いて、わしの右隣のおばはんに感謝したい。

寡黙な旦那さんと来ているんだけど、とにかくボールが怖い。
確かに二軍の球場は、ボールが周囲のネットでリバウンド。
ただ単にファールに注意しているだけでは、危ないとは言える。

それにしても、まったく方向違いのファールでも
「きゃあああ」 「うぎゃあああ」
うるさいっちうねんっ

そして、例の吉原がスタンドに投げ込んだボールは、
おばはん一直線!「うぐぅわああああ」 
隣のわしがはしっと取ると、「ありがとうさんですうう」

あんたをすくったわけや、ない。

最後に、わしの左隣の女性に感謝したい。
饐えたタバコのヤニの匂いの中、唯一文化的な 8×4の香り をさせて。
なんだか、こういう場所にいていいの?というかんじ。

サンケイスポーツ・レジャー欄風に表現すれば、
「ちょっとヒロスエ風の美人なのだ」

片手にタイガースのファンブック、片手に双眼鏡。
適切なところで「ふーん」と鼻を鳴らし、熱心に最後まで観戦。
世の中 世界球蹴り大会 で大騒ぎの中、
こういう野球ファンがいるのが、うれしいじゃあーりませんか。

うーん、周りのおっさんらも、わしも含めて
「ねーちゃん、はんしん 好きなんけ?」
なんて声をかけないで、感心感心。。気をつけて帰ってね。


最後に、グラウンドが近いので気がついたしょうもないこと。
野球選手って、ベンチに帰るときや守備に付くとき、

絶対にファールラインの白線を踏まないね。

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