ブラウン・バースデー・レポート

2003 年 8 月

ブラウンの打席で、12球団で一番ヘタクソと自称ミュージシャンのわしが認定するオリックス応援団のラッパが「ハッピーバースデー」を吹き出したので、「あぁ茶色て今日、誕生日なんだー」とスタンド全員が納得。(それにしても応援団って、人の誕生日に敏感な。「ビジョンメガネ」のダイレクトメールみたい。) むっちゃ暑かった昼間がウソのように涼風吹き抜ける、8月3日(日)GS神戸の対ダイエー・ナイター。ブラウンはその応援に乗って「生まれて初めて」という先制の誕生日ホームランをかっ飛ばし、すっかり四番として定着した貫禄を見せたのだ。そこまではよかったのだそこまでは。


結局、この日のスコアは3−10。
それだけ見れば、

「また懲りもせず ダイエーにこてんぱんに・・」
「プロの試合じゃないよ」
「喝だー 喝!」

なんて声が聞こえてくるが、
8回に入るまでは3−3で緊迫した、
それはそれはいい試合だったんだよ。

信じられまいが。

最近、疫病にでもかかったように総崩れの投手陣の中、
いきなり先発に抜擢され
誰もが「1アウトも取れないんじゃ?」と思った牧野が大好投。

牧野がへばってくると、さすがに世論を気にしたレオンは
へっぽこ中継陣をすっ飛ばして、いきなり小倉にスイッチ。

中継ぎの中では一番安定してる小倉も
「がががんばまっす」
と、なんとか7回まで同点で試合を持ってきたわけだ。

ずうっと「始球式」やってるみたいな
外人にあるまじき投げ方のナイトを打線がしっかり捕まえときゃ、
ワンサイドで勝てる試合ですらあったのだ。

なんだか「押し気味」で終盤まで持ってきた、
「それでもプロか!」のBW軍!

んが。

8回1死からの柴原のレフト前ヒットを、
「何をどう思ったか!」
ブラウンが取るなり鬼のような形相で一塁へ大遠投。

彼の茶色頭には、
「ゆっくり走ってる柴原をずばっと刺せば・・レフトゴロだぜ!」
なんちう、劇画の読みすぎのような考えがよぎっていたのか?

アメリカに劇画てあるのか?

オリックスファンなら、
「ブラウンが遠投したらどうなるか?」
お分かりだろうと思う。

ちょうどライトスタンドから見てるわしの目の前を通過する、
調整不良のスカッドミサイル。
通過した瞬間、わしはそれを 「見上げた」。

それは誰がどう見ても、
「空高く飛んでいるものを撃ち落とす」 弾道。

一塁手・葛城は
はるか上空を通過する物体をUFOとでも思ったのだろう。
ちらっと見て 「きょとん」。

直後にフィールドシート方向で「がーん」ちう着弾音を聞き、
驚きのあまり、頭を抱え込む葛城。
ボールよう見とけ!

多分葛城は、彼のしょぼい野球人生で、
あんなに高い弾道の返球を見たことがなかったのだと思う。
それはわしも同じだ。

「V2ロケット発射失敗!ブラウンだけに!」
あぁ。どうでもいい教養がまた。。
んなことをわしは一人思い笑ったが、笑ってる場合でない。

柴原は♪イッツァ オートマティッ♪(ふっるー) に3塁へ。

あまりの状況の変化に、
「どうする?」状態になったチワワ小倉は、
ぶるぶると一気に崩れていったのだ。

誕生日ホームランで意気上がってたブラウンは、
珍しくスタンドに笑顔で手を振ったりご機嫌だったのに、
これで一気に意気消沈。

長い攻撃が終わって肩を落としてベンチに帰っていく様子は、
なんだか可哀想でもあったのだ。
責任を感じたブラウンはベンチでがっくり「うつむき」状態。

と。そのとき、場内MCの明るい声が・・

「今日は、ルーズベルト・ブラウン選手の誕生日です!
 それではブラウン選手の娘・ロザリオちゃんからパパへ、
 メッセージです!」

ベンチ上に連行されたブラウンの娘が
「はピーばーすでー だーでぃー」
しかしベンチの中ではブラウンがついにタオルをかぶったまま。
そして場内は

しーん。

なにもこんなときにっちうか、
そのセレモニー、もっとさっさとやっときゃよかったがな。
ブラウンには、なんともほろ苦い誕生日か?

それでも9回にうちの土井が
(そういえばこいつ、ダイエーからババつかまされた下取品やんけ!)
「あ。すいません。これはプロじゃありませんでした」
ちう、ほんまに情けない腰砕け投球で試合をぶっ壊したあとの、
9回裏。

ブラウンはこの日3安打目となるヒットを打ち、
しつこく意地は見せたのである。

ルーズベルト・ブラウン。

ラインドライブのホームランを打たせれば、
今いちばんすごい男。

大量失点で久しぶりにBWを取り上げたマスコミ各紙は
「新戦力が軒並み期待はずれ」
と断定するのだが。

打率は330.以上。
打撃成績どの部門でも6,7位に付けている上に、
足も速い(盗塁4位)ブラウンは、
誰が見ても新外人の中ではトップクラスの実力の持ち主やぞ。

どの投手相手でもあっさりやられることはなく、
なんとかミートする能力にはすごいものがあるねんぞ。
見とんのかい!見てないわな。

肩?
強いんやで。肩は。
暴投であろうが、すんげー返球って、わしは見たいよ。
投げないよりは。

ただ、肩のどこかの部品が 壊れてるんやろ?
工場行っとき。

とにかくブラウンよ。
君目当てで球場に行く価値あるとすら、
わしは思っとる。

ばんがれ。

追記:
ブラウンは、その無視しようのない数字が評価され、
見事7月の月間MVPを受賞。
記者会見で、なかなかの男前を披露した。
が、全国ニュースではセ・リーグの阪神2選手の紹介のみで、
映像はなし。
ブラウンよ。これで終われば、
去年のシェル丼(現サーパス)と同じなので、
今月もその調子でな!

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