低血糖

  1. はじめに
  2. 低血糖の症状
  3. 低血糖への備え(重要!)
  4. 低血糖が起こったら
  5. 低血糖かなと思ったら
  6. 低血糖の原因と誘因
  7. 低血糖を防ぐには
  8. 参考:インスリンが必要無くなった猫
  9. 付記1:参考資料
  10. 付記2:変更履歴

はじめに

低血糖とは、血糖値が下がりすぎて脳が正常に活動できなくなる状態のことです。
糖尿病の猫は血糖値が高すぎる状態が続きます。
そのため血糖値を下げる治療をします。
ところが血糖値を下げるために使うインスリンや飲み薬が効き過ぎると、血糖値が下がりすぎてしまいます。
特にインスリン注射は低血糖を起こす危険性をいつも持っています。
糖尿病の治療を受けている猫のほとんどがたぶん1度は低血糖を経験するでしょう。

低血糖はごく軽いものから重いものまでさまざまな程度で起こります。
重い低血糖は、すぐに適切な処置をしなければ、一時的に目が見えなくなったり、回復できない損傷を脳に与えたり、猫の生命を奪うことさえあります。(猫は人間より低血糖による脳の損傷に強いようですが、危険であることには変わりありません)。

猫の糖尿病の薬物治療、特にインスリン注射を始める時に、わたしたちは低血糖への備えもしなければなりません。

低血糖の症状と対処の方法については、獣医さんから必ずあらかじめ説明してもらいます。
獣医さんがその説明をしなかった時や、説明を受けたけれどあなたが忘れてしまった時は、獣医さんに説明を求めましょう。

低血糖の危険性と、猫が高血糖にわりとよく耐えることとを考えて、猫の糖尿病の治療では人間や犬よりゆるやかな血糖コントロールが勧められます。
でもゆるすぎるコントロールは高血糖による症状を抑えられず、急性合併症や後期合併症のおそれも大きくします
わたしたちに備えができていれば、低血糖を必要以上に恐れることはありません。
低血糖を恐れるあまり、必要な時に十分なインスリン療法をしなければ、猫の健康を損なうかもしれません。
低血糖対策の知識を身に付け、できる範囲でベストな血糖コントロールを目指しましょう。

低血糖の症状

低血糖の程度と症状(猫によって大きく違います)。
軽度空腹(ゴハンを異常に欲しがる)。または逆に大好きなゴハンにも全く興味を示さない。瞳孔の拡大(大好きなおもちゃを見せた時に目が真っ黒になるのと似ている)。目がちゃんと見えない様子(動く物を目で追う様子がいつもと違う)。ふるえ。
中程度落ち付きが無い。怒りっぽい。奇妙な鳴き方をする。いつもと違う変な場所に隠れる/寝転ぶ/眠る。名前を呼んでも反応しない。ぼーっとしている。どんよりした目をしている。酔っ払ったようにふらふら歩く。歩けない。脱力(抱き上げてみるとグニャグニャで、首や足に力が入らない)。すぐに眠ってしまいなかなか起きない。
重度全身の痙攣。昏睡。

低血糖の症状はさまざまです。
血糖値がどれぐらいまで下がっているのか、その程度によって現れる症状が違います。
また特に注意しなければならないのは、猫それぞれで症状と血糖値の関係が大きく違うことです。
あなたの猫にどんな症状が現れるかを正確に予測することはできません。
でも、いつもとはっきり違う様子になることが多いので、1度見れば見分けが付くようになるでしょう。
同じ猫が同じ程度の低血糖を起こした時は、同じ症状が現れることが多いようです。
あなたの猫が低血糖を起こした時は、どんな症状が現れたかよく覚えておきましょう。
そうすれば次に猫が低血糖を起こした時、素早く気付いて対応できるようになります。

低血糖の2種類の症状

低血糖の症状は大きく2種類に分けられます。
交感神経症状は、下がり過ぎた血糖値を正常に保とうとする体の反応として現れます。
自律神経のうち交感神経が興奮し、副腎髄質からアドレナリン(エピネフリン)というホルモンが分泌されます。
肝臓のグリコーゲンを分解し、血糖値を上昇させようとします。
同時に、恐怖を感じたり怒ったりした時と同じような状態が現れます。
人間の場合は、発汗や手足のふるえ、動悸、不安感、いらいらなどが出てきます。
猫の場合、発汗や動悸、不安感などは見付けにくいのですが、瞳孔が開いて目が真っ黒になることがあります。(これは大好きなおもちゃを見せた時と似ています)。
何となく落着きがなくなったり、怒りっぽくなる猫もいます。

交感神経の働きによって血糖値が十分にあがれば低血糖の症状はなくなります。
でも血糖値が十分上がらず、さらに下がりつづけると、脳が正常に働けなくなります。

脳の機能異常は、ブドウ糖の不足によって脳が正常に働けないために起きる症状です。
体の中でブドウ糖の不足にいちばん弱いのが脳です。
人間の場合は集中力・判断力・計算能力・記憶力・思考などがまず低下します。
さらに運動を調節する機能がうまく働かなくなり、千鳥足になったり、ろれつが回らなくなったりします。
猫では、呼んでも反応をしなかったり、ぼーっとした感じになったり、別猫になったような行動をすることがあります。
さらに進むと、ちゃんと歩けなくなったり、全身に力が入らず、抱き上げてみるとグニャグニャになっていることもあります。
すぐに眠ってしまい、声を掛けてもなかなか起せないこともあります。
もっと重度になると、全身の痙攣や昏睡を起こします。

血糖値と全身反応

血糖値の下がるスピードが速いと交感神経症状が出やすくなります。
ゆっくりだと交感神経症状が出ないまま脳の機能異常が出ることが多くなります。
でもどういう症状が出るか、またどれぐらい血糖値の下がった時に症状が出るかは猫によって大きく違います。
血糖値の高い状態が続いていた猫では、100 mg/dl以上でも低血糖の症状が現れることがあります。
まったく何の症状も示さずに、とても低い数値まで血糖値が下がってしまうこともあります。

図の見方。
点線は血糖値の下がるスピードが速い。交感神経症状が前面に出る。
実線は血糖値の下がるスピードがゆっくり。脳の機能異常が前面に出る。
(「図9-1.血糖値と全身反応」、『図で学ぶ糖尿病のインスリン療法』pp71より改変)。

低血糖への備え

インスリン注射を始める時は、低血糖を起こした時に必要になる物も必ず用意しておきます。
糖分をたくさん含むものを、すぐ取り出せる場所に、すぐ使える状態で置いておきます。

コーンシロップは、液状でブドウ糖をたくさん含んでいるので、使いやすいでしょう。
蜂蜜も同様ですが、寒い時に固まってしまわないように気を付けなければなりません。
普通の砂糖を水で溶かしたものを用意しておいてもかまいません。
獣医さんがブドウ糖溶液を用意してくれるかもしれません。
これは、針を外したシリンジといっしょに渡されるのが普通です。

緊急事態はいつやって来るか分かりません。
いざという時に、どこにしまったか忘れてしまい、探し回るはめになりたくはないでしょう。
いつでもすぐ取り出せる場所に、いつでもすぐ使える状態で、用意しておきましょう。
何箇所か複数の場所に置いておくのも賢いことです。
猫を連れてどこかに出かける時は、糖分をたくさん含むものを必ず持って行きましょう。
蜂蜜の小さなパックは持ち運びに便利です。

インスリン注射を始める時は、低血糖の症状と対処の方法を獣医さんから必ずあらかじめ説明してもらわなければなりません。
また、診療時間外に緊急事態が起こった場合や緊急時に獣医さんと連絡が付かない場合にどうすれば良いかも必ずあらかじめ説明を受けましょう。
もし獣医さんがその説明をしなかったり、あなたが忘れてしまった時は、獣医さんに説明を求めましょう。
必ずノートを取って、何度も同じ説明をしてもらうことのないようにしましょう

緊急時の対処法は、ノートに書いておくだけではなく、冷蔵庫のドアなどすぐに目に付くところに大きく書いて貼り出してください。
いざという時に探し回るはめにならないためです。
このページをプリントアウトしたものではいけません。
必ず自分で書き出してください。

低血糖が起こったら

慌てず冷静に対処することが何より大事です。
ちゃんと準備ができていれば、慌てる必要はありません。
ここまで読んできたあなたは既に、猫が低血糖を起こした時にはすぐに見付けられるようになっていて、何をすれば良いかも分かっていて、そのために必要な物も用意できているはずです。
冷静で正確な対処があなたの猫を救います。

低血糖への対処でまず必要なことは血糖値を安全なレベルまで上げることです。
血糖値を上げる方法は血糖値の下がり具合によって違います。
低血糖の程度と対処の方法はそれぞれの部分を読んでください。

猫が1度低血糖を起したら、その後数時間は続けて猫の様子に注意しなければなりません。
インスリンの作用が続いていたら、血糖値が安全なレベルまでいったん上がっても、また下がってくるおそれがあるからです。

猫が低血糖を起こし時は、軽いものでも必ず獣医さんに連絡します。
今後の治療を調節しなければならないかもしれないからです。

軽い低血糖への対処

あなたの猫がふだん食べているゴハンを与える。

軽い低血糖の場合はふだん食べているゴハンを与えます。
ゴハンに含まれている炭水化物が血糖値を安全なレベルまで上げてくれるでしょう。
あなたの猫がふだんのゴハンを食べない時は、何でも良いから猫が喜んで食べるものを与えます。
ふだんのゴハンに炭水化物がほとんど入っていなくて血糖値を上げる作用がごく弱い時も、猫が喜んで食べるもので炭水化物を含むものを与えます。

使っているインスリンの効果が持続する時間から考えて、まだ血糖値が下がりそうなら、その後数時間は猫の様子に注意します。

軽い低血糖を起こした時も必ず獣医さんに連絡します。
ちゃんとゴハンを食べているのに低血糖を起こしたのなら、インスリンや飲み薬の必要量が大きく減っているのかもしれません。
もしそうなら薬の量を減らさなければならないかもしれません。
今後の治療について獣医さんとよく話し合ってください。

中程度の低血糖への対処

コーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)を与える。

中程度の低血糖の場合は、大さじ1杯のコーンシロップ(または蜂蜜。または小さじ1杯のブドウ糖溶液)を与えます。
コーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)はそれだけで与えてもかまいませんし、ゴハンといっしょに与えてもかまいません。
コーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)はすぐに血糖値を上げますが、その効きめは長く続きません。
使っているインスリンの持続時間から考えて、まだこれから血糖値が下がると予想できる場合は、ゴハンもいっしょに与える方が良いでしょう。
ゴハンといっしょに与える場合は、コーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)を缶詰ゴハンに混ぜるかドライフードにかけます。
コーンシロップ(または蜂蜜)だけを与える時や猫がそのゴハンを食べない時は、コーンシロップ(または蜂蜜)を猫の歯茎や頬の内側に擦り付けます。
ブドウ糖溶液だけを与える時は、シリンジで猫の口の中に流し込みます。

持続型のインスリンを使っている場合、いったん血糖値が上がって低血糖の症状が無くなっても、低血糖が再び起こるおそれがこのあと数時間引き続きあります。
まだ数時間はあなたの猫から目を離さないでください。
低血糖の症状がまた現れたら、コーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)をまた与えてください。
コーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)だけを与えて、再び低血糖を起こしたのなら、ゴハンも与えてみてください。

中程度の低血糖を起こした時は、必要な対処をまずしてから、獣医さんに連絡し、指示を仰ぎましょう。
すぐに猫を連れて行かなければならないかもしれません。
すぐに連れて行く必要が無くても、インスリンや飲み薬の量を調節する必要があるかもしれません。

重い低血糖の場合(緊急事態)

次のことを迅速に行なう。
まずコーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)を猫の歯ぐきに少量擦り付ける。
次に獣医さんに電話する。
かかりつけの獣医さんに連絡が付かなければ、どの獣医さんでもよい。
そして獣医さんの指示を仰ぐ。
すぐに猫を連れて行く。

猫が重い低血糖を起していることに気付いた時は、以下のことを慌てず冷静に行ないます。
あなたの迅速で正確な行動が猫を救います。

まず急いでコーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)を与えます。
少量のコーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)を猫の歯茎や頬の内側に擦り付けてください。
この時注意してください。
たくさんのコーンシロップ(または蜂蜜やブドウ糖溶液)を口の中に入れると、猫が窒息してしまいます。
また全身の痙攣を起こしている時は、けっして猫の歯の内側に指を入れてはいけません。
指を噛まれてしまいます。

続いてすぐに獣医さんに連絡します。
かかりつけの獣医さんに連絡が付かなければ、どこの獣医さんでもかまいません。

そして獣医さんから指示を仰いでください。
すぐに猫を連れて行かなければならないでしょう。
これから猫を連れて行くまでに何をすれば良いか、獣医さんの指示を書きとめ、その指示に正確に従ってください。

低血糖かなと思ったら

猫が低血糖を起こしているかもしれないけれど、はっきりと判断が付かない時があります。
明らかにふだんと様子が違うが、それが低血糖の症状かどうか分からない。
あるいは血糖値を測ると低い数値が出るが、変わった様子がない。
いずれにせよ低血糖が疑わしい時は、低血糖の対処をするのが安全です。
低血糖はすぐに死につながる危険もあるのに比べ、40〜50 mg/dlぐらい血糖値が上がっても大きな害はないからです。

少しでも疑問に思うことが起きたら獣医さんに連絡しましょう。

低血糖が疑わしい症状がある時

明らかにふだんと様子が違うが、低血糖の症状かどうか分からない時があります。
特に初めて猫が低血糖を起こした時は、わたしたちがはっきり判断するのは難しいでしょう。
また昏睡状態になった時や全身の痙攣を起こしている時も、低血糖によるものなのか、ケトアシドーシスなのか、高浸透圧性非ケトン性昏睡なのか、それとも何か別のものなのか、わたしたちには分からないことが多いでしょう。
こういう時、低血糖が疑わしいなら、低血糖を起こしているものとして対処するのが安全です。

例えば昏睡状態にある時、低血糖の対処をすれば、血糖値が40〜50 mg/dl上がります。
もし本当に低血糖が原因で昏睡状態になっているのなら、これが猫の生命を救うでしょう。
低血糖が原因でなくても、この程度血糖値を上げることで生命の危険を増すことにはなりません。
逆にはっきり分からないからと言って低血糖の対処をしなければ、本当に低血糖が昏睡の原因になっている時、低血糖が猫の生命を奪うかもしれません。

家庭での血糖値測定(HMBG)をしている場合

何も低血糖の症状がないのに、低い血糖値が得られた時は、もう1度測定をしなおしてください。
血液の量が少なすぎると低い数値が出る測定器もあるようです。
十分な量の血液を採ってください。
耳をアルコールで消毒し、よく乾かないままに採血すると、低い数値が出ます。
耳をアルコールで消毒しないか、消毒したらよく乾かしてから採血します。

測り直しても低い数値が出た時は安全策を取りましょう。
血糖値がかなり低くても問題ない場合もあるようですが(参考:「インスリンが必要無くなった猫」)、確信を持てない時は低血糖を起こしているものと想定して対処するのが安全です。
得られた血糖値に応じて必要な対処をしてください。
分からないことがあれば獣医さんに相談してください。

低血糖の原因と誘因

  1. 食事の乱れ
  2. インスリン注射の間違い
  3. インスリン必要量の激減
  4. 他の内分泌疾患

食事の乱れ

食事のスケジュールやゴハンの量・中身を急に変える。

インスリン注射をした後に食べたものを吐いてしまい、その後ゴハンを食べない。
インスリン注射を打った後にゴハンを与えている場合に、注射を打ったのにゴハンを猫が食べないなど。

インスリン注射の間違い

量を間違えてたくさん注射してしまった。
インスリン液を十分攪拌せずに濃いインスリン液が注射されてしまった。
皮下ではなく静脈内に注射してしまった。
注射に失敗したと思い、または注射したことを忘れてしまい、もう1度注射したなど。

インスリン必要量の激減

感染症からの回復時。
1型糖尿病でハネムーンに入った時。
腎障害が進んだ場合など。

他の内分泌疾患

他の内分泌疾患を合併して、血糖値を上げるホルモンの分泌が下がっている場合。
副腎皮質機能低下症。
脳下垂体機能低下症。
甲状腺機能低下症など。

低血糖を防ぐには

低血糖を防ぐには、まずインスリン注射を間違いなく正確に行なうことが大切です。
インスリンの種類(U20、U40、U100)や注射に使うシリンジを取り違えてはいけません。
インスリン注射を始めた頃やインスリンの種類を変えた時は、特に注意が必要です。
注射する単位量も正確に測りましょう。
シリンジの目盛りを読むのに困難を感じる人は獣医さんに相談してください。
U20やU40のインスリンをU100用(しかありません)のインスリンペンを使って注射する方法があるようです。

注射に失敗したと思っても基本的に重ね打ちはいけません。
どれぐらいの量が猫の体に入ったか分からないからです。
あるいは注射したかどうか忘れてしまった場合、注射したかもしれないなら注射してはいけません。
注射に失敗した時や注射したかどうか忘れてしまった時の対処法は獣医さんに相談してください。
家族の何人かで注射をしている時は、必ず注射のスケジュールとチェックのための表を用意します。
誰かが既に注射したのに、まだだと思って重ねて注射してしまうことを避けるためです。

猫の体が必要とするインスリンの量と、注射するインスリンの量とのバランスを崩さないことも大切です。
毎日できるだけ同じ時間に同じようなゴハンを同じぐらい与えて、猫に食べてもらうようにしましょう。
ゴハンの中身を急に変えると、インスリン必要量が急に変わったり、猫の胃腸がついていけなくて消化不良を起こすことがあります。
ゴハンを変える時は必ずゆっくり少しずつ変えていきましょう。
ゴハンの間隔があく時は、自動給餌器を使うか、ドライフードを置いておく、間食を少し与えておくなどの工夫をしましょう。

インスリンを注射してからゴハンを与えている場合に、注射したのにゴハンを猫が食べない時。
あるいは、インスリンを注射してから食べたものを吐いた時。
こういう場合は、しばらく時間を置いて、もう1度ゴハンを出してみます。
それで食べなければ、ゴハンを食べたくない原因を探して、猫が食べたくなるように工夫します。
それでも食べなければ、何でもかまわないから猫が食べないか試してみます。
それでも食べなければ、低血糖を防ぐためにコーンシロップや蜂蜜、ブドウ糖溶液を使う必要があるかもしれません。獣医さんに相談しましょう。

家庭での血糖値測定(HMBG)は低血糖を防ぐための強い味方になります。
インスリン注射の前に血糖値を測れば、血糖値がいつもよりずっと低いのに同じようにインスリンを打って低血糖を起こしてしまう危険を前もって避けられます。
いつもより血糖値が低い時にインスリン注射をどうするかはあらかじめ獣医さんとよく話し合っておきましょう。

インスリン注射の量が多くなれば低血糖を起こす危険も高くなるので、、特に注意が必要になります。
2型糖尿病の猫では、インスリン必要量を減らす工夫をして、インスリン注射の量を減らすことも予防策として有効でしょう。
肥満の解消や高タンパク質・低炭水化物食によって、インスリン必要量を減らすことができるかもしれません。
減量や食事療法については獣医さんとよく話し合ってください。

参考:インスリンが必要無くなった猫

インスリン注射の必要が無くなった猫では、家庭での血糖値測定でかなり低い数字が出て、しかも低血糖の症状がまったくないことがあります。4b
60 mg/dl、40 mg/dl、あるいはLO(20 mg/dl未満)。
測定器によってはもともと低めの数値が出ることがあります。
ですから実際の正確な血糖値がこれほど低いかどうかは分かりません。
実際にはもう少し高いのかもしれまません。
いずれにせよ血糖値測定器の数字が低くてもまったく問題がない場合があるようです。
ほんとうに大丈夫か確信が持てない時は獣医さんに相談してください。

参考資料

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  2. 後藤由夫 監、野中共平 編、「低血糖」、糖尿病ネットワーク糖尿病セミナー、Soshinsha 1997 。
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  4. Feline Diabetes.com,
    1. "Sympthoms of hypoglycemia", 2002.
    2. "Q for h-mooners and those who've tested their non dc's", posted by Linda and Zenny Moonbeam, FDMB archive, 2003 Feb 16 7:01 am, and other following posts.
  5. Melessa and Popcorn (GA), "General rules of thumb for treating hypoglycemia", Gorbzilla.com, 2001-2003.
  6. Wallace MS, Kirk CA, "The diagnosis and treatment of insulin-dependent and non-insulin-dependent diabetes mellitus in the dog and the cat", Probl Vet Med 1990 Dec;2(4):573-90. (Abstract in PubMed)
  7. Whitley NT, Drobatz KJ, Panciera DL, "Insulin overdose in dogs and cats: 28 cases (1986-1993)", J Am Vet Med Assoc 1997 Aug 1;211(3):326-30. (Abstract in PubMed)
  8. de Courten-Myers GM, Xi G, Hwang JH, Dunn RS, "Hypoglycemic brain injury: potentiation from respiratory depression and injury aggravation from hyperglycemic treatment overshoots", J Cereb Blood Flow Metab 2000 Jan;20(1):82-90. (Abstract in PubMed)
  9. Rand JS, Martin GJ,"Management of feline diabetes mellitus", Vet Clin North Am Small Anim Pract 2001 Sep;31(5):881-913. (Abstract in PubMed).

変更履歴