お久のラッセル独り占め

一の谷新道経由で山頂公園へ。
公園手前でトレースが消え最後の最後にまたラッセル。
たった数十メータが一向に進みません。
目の前の雪面の傾斜が落ちてきたかなと思う頃、
その向こうに御在所名物人工氷瀑が覗きます。
後5m、後4m…、着いた〜。


20120128

先週はメタボ予防をサボってしまったし、今週あたり行っとく?
週初めの天気予報では週末は良さそう。スキーにでも行ってこようと思っていたのですが、週末が近付くと悪い予報に変わってきました。
寒波が居座っている状態でマイヤなんて行きたくありません。年末はホント死ぬかと思っちゃいました。(ま〜いいや。)じゃあシニア券2,000円の魅力のチャオに行ってみチャオかな? いえいえこの寒波では道中雪が降り続いている事でしょう。マイナーな田舎道、地上高の低いAuではリスクが高いです。まして独りではねえ。
結局通い慣れた御在所へ。まあスキーじゃあ腹も凹まんからなあ。メタボ予防には汗(冷や汗?)をかくのが一番です。
(毎度の事ながら前置きが長過ぎですな。年寄りはこれだから困ったもんです。)
朝、車に乗り込むと、外気温+1℃の表示。曇っているので放射冷却が無かったのでしょう。窓の霜取りのお湯を沸かす手間が省けました。それはそれで良いのですが、鈴鹿は雨かもしれません。低いからなあ、仕方ないか。

6:45 a.m. 湯ノ山最奥駐車場着。
既に5-6台が停まっています。天気が良ければこんなもので済む訳がありません。駐車出来るのは悪天のおかげ。何事も良い方に解釈しましょう。
ん? 今日はIさんの姿が見えません。雨でも雪でも槍が降っても皆勤賞の人がねえ。珍しい事もあるものです。いや、富士山? この天候じゃあ、そんな訳ないか。
じゃあ独りと言う事で気儘に行きましょう。
暖房完備の車内でBachのブランデンブルグを聴きながら腹ごしらえ。急かされる事もなくのんびりのびのび。
外は相変わらず小雪が舞っています。地面には15cmほどの新雪。こんな事もあろうかと助手席足元に靴とスパッツを入れてあります。tanuoさんにしては手回しが良いではありませんか。草履のまんま外に出たらアンヨがしもやけになってしまいますから。
外気温は−1℃、カッパを着るには気温が高いですが室内の暖かさに慣れきった身体にはペラペラジャケットだけではチト寒い。足ごしらえをしてからトランクに回りカッパの上だけ羽織ります。
のんびりしてたらもう7時15分。やはりtanuoさん急かしてくれる人がいないと際限なく時間が過ぎて行きます。ホントおグズのtanuoさん。

7:15 a.m. でっぱつ。

曇っている所為かまだ薄暗いです。ラテを灯して、なんてもう何年前の事でしょう。いや、なに、一応いつもザックの中には今でも入ってます。入っていますが電池って予備も含めてとっくに放電しちゃってますよねえ。役にも立たないものを持ち続けている、これがホントのザックの肥やし。まったくお目出度いtanuoさんでやんす。
先行者の足跡は中道へ。う〜ん、どうしようかな? こんな天気じゃ中道行っても何も見えないだろうし…。てな訳で久しぶりに本谷。
いつも思いつきで行動しているtanuoさん、これじゃあ登山届けなんて出せる訳がありません。
気温は高いですが一応駐車場で氷点下。大黒滝も凍っているかもしれません。先週抜けた所為か身体が重いです。エラかったら大黒滝から引き返しても良いし。なんなら不動滝から引き返しても良いし…。軟弱の虫は留まる事を知りません。これだから独りって大好き。

顕著なトレースは堰堤を過ぎた所から本谷に向かっています。こんな下からじゃあドボンしそうなので巻き道を行きます。
獣の足跡が登山道を伝っています。途中で別れたかと思ったらまた合流。交錯した登山道を知り尽くしているかのようです。「人より賢いな〜。」つい感心してしまいます。
微かに残っていた踏み跡がまた途中で谷に折れてしまいました。にも係わらず獣の足跡は正規の巻き道を辿っています。人のトレースに惑わされない獣って、人間様よりずっと賢いです。これなら釣られて遭難なんて絶対に起きないですね。
谷に出ると顕著なトレース。下からだとかなりのアルバイトを強いられた事でしょう。といってもこれは今日のものではないですね。今日はどうやらtanuoさんが一番乗りのようです。
この辺り、まだ沢の流量が多く雪を被った石の上を辿る事になりますが、ややもするとドボンしちゃいそうです。新たにルートを取るより古いトレースを辿った方が良さそうです。「しかしよう滑るなあ。」
トレースの主も流れの中の石を嫌い高巻いています。当然tanuoさんも後を辿ります。少しでも楽な方へとトレースの主も知恵を絞っているのが手に取るように解ります。「そうだろそうだろ。いやここはこうじゃないだろ。」トレースの主との会話を楽しみながら行きます。
概ねトレース通りに行きますがところどころそれを外します。外した結果が不正解。ってのも楽しいものです。


8:00 a.m. 不動滝着。

相変わらずチリのような小雪が舞っています。既にここまでで滑って膝頭を打ち付けています。
気温が高くカッパのままでは大汗です。そして眼鏡が曇り、カンで歩いているものですから滑って当然です。
かといってこの降りようではカッパは脱げません。もう少し上まで行けば涼しくなるでしょう。それまで我慢我慢。
いや、もうここから降りちゃおうかなあ。軟弱の虫が鳴いていますが、この時刻ではまだ温泉が営業していません。温泉に弱い軟弱tanuoさんを説得するには「温泉、ま〜だだよ。」の一言が効果的です。

不動滝を巻き再び谷に下ります。

だんだん薄くなって行くトレースから四苦八苦の跡が窺えます。こんなに滑るんならアイゼン着けちゃおうかな?その方が水際の歩き易い所が通れるし…。と思いながらも適当な休憩場所が見当たらずもうすぐ大岩。

そしてとうとう大岩も越してしまいました。

「おいおいどこから引き返すの?」軟弱君が聞いてきます。
「そうだなあ、大黒滝を見てから。」(ひとり二役のtanuoさんって二重人格?)
小滝の連続帯の下の岩小屋状の所で小休止。ここなら雪も降り込みません。ついでにアイゼンでも履きますか。

そういえば最近、アイゼンって履いていませんね。最後に履いたのって、Iさんに誘われて前尾根でアイゼンワークのお稽古したのが最後じゃなかったっけ?
用もないのに冬場はザックのホルダーに付けっ放し。これもザックの肥やしだったんですねえ。
ついでにつるはしも手に持ってでっぱつ。これは決してザックの肥やしではありません。なんちゃって。
やはりアイゼンは楽チンです。凍った岩でもしっかり掛かってくれます。こんな真ん丸のツァッケでもビブラムよりずっと確実に岩を掴んでくれます。そしてグイグイ高度を稼いでくれます。

大黒滝の谷へ移るところは大きな押し出しで完全に埋まっています。腰まで潜りながらトラバります。久しぶりに味わう大雪です。
そして右岸のバンドへの登り、雪に隠れたホールドを探すのが面倒。だって手袋もうベタベタなんですもん。気温が低いより高い方が手が冷たいってどういう事? 今日もまた鈴鹿のリスキーさを知ったtanuoさんなのでした。ああしもやけになりそう…。
攀じ登った後も凄い押し出し。今度は股まで潜りながらトラバります。
アイゼン履いてる事だし流れ沿いに行く事にします。刺さらないつるはしのピックをツララとツララの隙間に押し込みそ〜っと身体を持ち上げます。これやると膝がしんどいです。今じゃあスクワットなんてやる事ないしなあ。
そして伸び上がった瞬間、目の前に氷のシャンデリアで飾り付けられた氷の女王様の宮殿が。
ついうっとり。「来て良かったでしょ。」と軟弱君に囁きます。軟弱君は感動のあまり無言です。さあこの間に上へ行っちゃいましょ。
しかし太陽の光があればもっと綺麗なのに。

巻き道への登りも凄い押し出しです。臍上まで潜る軟らかい雪を体重で押しのけながら行きます。こうなるともう無我の境地。頭は何も考えずただリズムをとりながら一歩一歩進むのみ。スローテンポで1-2-3、1-2-3。なんだラッセルもワルツだったのか。
呼吸はゼーハー_ゼーハー_ あっこれもワルツですな。
軟弱君、すっかり引き返す事を忘れています。
樋状滝の横、左岸の巻き道から降りようと谷を見ると、なんと三角岩が復活しているではありませんか。チョット小さいな。あっ、思い出しました夏に来たときに見つけた新たに崩れてきた岩でした。確か四角だった筈…、雪の帽子が三角なんじゃん。
潜り岩横のクラック、スタンスを探すには雪が多すぎます。どうしようかな?と思ったら軟弱君が思い出したように「大黒滝から降りるんじゃなかったの?」すかさず、「ここまで来たら上に抜ける方が早い。」この台詞、何度使ったことやら。
流れの真上をチムニーで攀じ右側のクラックへ乗り移ります。うんにゃ、半ば氷化した大量の雪が張り付いており難なく直上。雪が多いとかくも簡単に登れるんですねえ。
さてさてここからが大変、大雪との格闘です。半ば消えかけの古いトレースを辿ればさほど潜る事もなく登れるのですが。
トレースとはホント大したものです。踏んだ跡って固く締まり春まで残ります。運がよければ膝まで潜るだけ悪くても股まで潜るだけ。ところがこの古いトレースを外すとズモモモモモモ〜。奈落の底です。
2cmほどの長さに成長した針状霧氷があちこちに付いています。谷筋という事もあってよほど風が無いのでしょう。気温はかなり下がっている筈なのにちっとも寒くありません。雪が付いても濡れず、軽く叩くとさらっと落ちますから相当下がっている筈です。

ドンツキが近付くにつれ周りは白一色の世界。ガスなのか降雪なのか?
傾斜も増してきます。トレースの名残を見定めそれを辿ります。またまた無我の境地で1-2-3、1-2-3。

ドンツキをそのまま直上し大黒尾根に出ます。ここまで来るとやっとしっかりしたトレースとご対面。あ〜、楽チン楽チン。
一の谷新道経由で山頂公園へ。公園手前でトレースが消え最後の最後にまたラッセル。たった数十メータが一向に進みません。
目の前の雪面の傾斜が落ちてきたかなと思う頃、その向こうに御在所名物人工氷瀑が覗きます。後5m、後4m…、着いた〜。後はしっかり踏まれた雪道です。時刻は10時50分。

ここから先は遊歩道、邪魔なアイゼンは外しつるはしも背中に刺します。この先人が多いのでチンドンヤは恥ずかしいです。
ここまででもうすっかり消耗してしまいました。久しぶりのラッセル独り占め、人に合わせる必要もなくマイペースで休みたい時に休み…のつもりでしたが、持って生まれた性格かつい頑張りすぎてしまいました。あ〜、足が攣りそう。でも後は楽チン中道。
遊歩道を中道に向かいます。雪遊びに訪れた家族連れに混じって山屋さんとすれ違います。皆さん誇らしげに出っ歯アイゼンを履きピッケルを手にしています。「カッコええなあ。」でもどこを登って来たんでしょ?

樹氷林の中を行きます。過飽和のガスのおかげか凄い成長ぶりです。


11:05 a.m. 富士見岩。
本谷を覗きますがガスに閉ざされたまま。何も見えませんが4時間近くかけて登り、その間誰も追いついてこなかったという事は、今日のお客さんは私一人だったって事でしょうか。


中道を駆け下ります。この時刻でもどんどん人が登ってきます。邪魔にならないように踏まれていない所を滑り降ります。
が、足がもつれしりもちばかり。相当足がよれています。
上のテラスで小休止。

多少回復したかな?とまた降り始めますが、なんのなんの、この疲れはそう簡単に回復しません。何度もしりもちをつきながら下ります。
その内足が攣り始めました。こりゃいかん、北谷テラスで燃料補給を兼ねて小休止。
お湯を沸かすのも面倒だし、ザックに腰を下ろしパンを齧ります。
ふと目の前のマンサクに目を遣ると、あれ〜、蕾が全く付いていません。

種が弾けた跡の袋は沢山残っていますが、蕾は全く見当たりません。マンサクの蕾は前年の秋にはもう出来ています。って事は枯れてしまったのか? 裏年といっても蕾がゼロなんて事はないでしょうから。それとも山に自生しているものは春になってから蕾が付くのでしょうか。
なんだか今年の春のお楽しみがひとつ減ってしまったような…。

休んでいる内にガスが晴れてきました。小雪も止んだようです。

降るに従い天気は良くなって行きます。その内薄日も射すようになってきました。
羽織っているカッパがまた暑く感じます。
相変わらずすれ違う人が多いです。時計は11時を大きく回っていますが、よくもまあこんな時刻から登り始めるものです。あっ、ロープウェイで降りるのかな? さすが中高年、私とは懐具合が違います。


12:00 駐車場着。
結局最後まで足の疲労は回復しませんでした。足が縺れ膝を打ちそこが痛いです。あ〜、こうやって年をとって行くのかなあ。
少しはおバカな事を慎まなければなりません。と言うか、三つ子の魂百まで。今まで直らなかったものがこの先直るとは思えません。来週もおバカをやり、あちこち怪我して帰って来るんだろうなあ。
さあ、湯治湯治。ん?湯ノ山温泉って創痍にも効果があるのでしょうか?


2012年01月28日22時55分00秒 記


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