縦書き源氏物語

 

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第三部 (1)源氏死後の世界 

 匂宮(「匂兵部卿」) (薫十四歳から二十歳正月)
 物語は源氏の死後数年後からはじまる。 源氏一門の繁栄は明石中宮と今上帝の 皇子たちを中心にゆるぎない。ことに 明石中宮腹の三宮は色好みで名高く、薫と 並んで世にもてはやされている。天然の薫香 が身から発するために「薫」、それに対抗して 名香を常に焚きしめているために「匂宮」と 二人は呼ばれる。

 紅梅 (薫二十四歳春)
 柏木没後の頭中将家の物語。致仕太政 大臣(頭中将)の孫娘中の君と匂宮との結 婚が画策されるが、真木柱の姫君と蛍兵部 卿宮の娘に心引かれる匂宮は相手にしない。 後人の偽作説が濃厚。

 竹河 (薫十四歳から二十三歳)
 鬚黒没後の一家の物語。玉鬘の二人の 娘は、大君が冷泉院に嫁し、中の君が宮中に 出仕することになる。夕霧はこの一家と親しく、 彼女たちから好感を持たれている。後人の 偽作説が濃厚。

 (「橋姫」より「夢浮橋」まで。 薫二十-二十八歳)
 柏木と女三宮の不義の子薫と、源氏の孫 匂宮が、宇治の八の宮の三姉妹(大君、 中の君、浮舟)をめぐって織りなす恋物語で ある。つよい仏教色、無常感が作品の主調 をなし、優柔不断で恋に対して決定的な強 引さを持たない薫の人物造形がライバル 匂宮や第一部第二部の源氏と対比されて いる。薫の人物像はこの後の王朝物語、 鎌倉物語につよい影響を与えた。

   橋姫 (薫二十-二十二歳十月)
 源氏の弟八の宮は二人の娘とともに宇治に 隠棲し、仏道三昧の生活を送る。みずからの 出生に悩む薫は八の宮の生きかたを理想として しばしば邸を訪れるうちに、ふとしたことから長女 大君に深く心を引かれるようになる。都に戻って 薫が宇治の有様を語ると、匂宮もこれに興味を そそられるのであった。

       第三部 (2)宇治十帖 

 椎本(薫二十三歳二月-二十四歳夏)
 春、匂宮は宇治に立寄り、中の君と歌の 贈答をする。秋、八の宮が薨去。二人の姫君 たちは薫に托された。薫は中の君と匂宮を結婚 させんことをはかり、自らはを大君に想いを 告げるが彼女の返答はつれない。しかし薫の 慕情はいっそうつのる。

 総角 (薫二十四歳八月から年末)
 薫はふたたび大君に語らうが想いはとげられ ず、むしろ大君は中の君と薫の結婚を望む。 秋のおわり、大君がはかって中の君と薫をひと つ閨にとりのこすが、薫は彼女に手をふれようと しない。最初の計画どおり、彼は匂宮と中の君 を結婚させるが、匂宮の訪れはとだえがちで、 これを恨んだ大君は病に臥し、やがて薫の腕の なかではかなくなる。

 早蕨 (薫二十五歳春)
 翌年、大君の喪があけて中の君は匂宮のもと に引取られる。薫は後見として彼女のために尽く すが、それがかえって匂宮に疑われる始末であった。

 宿木(薫二十四歳春-二十六歳四月)
 匂宮と六の君(夕霧の娘)が結婚し、懐 妊中の中の君は行末を不安に思う。それを 慰めるうちに彼女に恋情を抱きはじめた薫に 中の君は当惑するが、無事男子を出産して 安定した地位を得る。一方で薫は女二宮( 今上帝の皇女)と結婚するが傷心はなぐさま ない。しかし初瀬詣の折に、故大君生写しの 異母妹浮舟を垣間見て、心を動かされるの だった。

 東屋 (薫二十六歳秋)
 浮舟は母の再婚により田舎受領の継娘と して育てられ、父親の財力のために求婚者は 多い。しかし母親は高貴の男性との婚姻を望 んで、彼女を中の君のもとに預ける。母の意中 は薫にあったが、ある夜、匂宮が強引に契りを 結ぼうとしたためにあわてて浮舟を引取り、後に 薫と相談して宇治に移す。

  

 浮舟 (薫二十七歳春)
 浮舟への執心やまぬ匂宮は、中の君への 手紙から彼女の居所を察し、薫のさまを装って 宇治に赴き、強引に浮舟との関係を結んでし まう。やがて浮舟も宮を憎からず思うようになる が、何も知らない薫は彼女を京にうつそうとして 準備を始め、匂宮もこれに対抗してみずからの もとに彼女を連れ去る計画を立てる。その結果 匂宮のことは薫の知るところとなり、裏切りを 詰る歌を贈られた浮舟は二人の男のあいだで 懊悩する。

 蜻蛉 (薫二十七歳春から秋)
 浮舟が行方不明になり、後に残された女房 たちは入水自殺を計ったと悟って嘆き悲しみなが らも、真相を隠すために急遽葬儀を行う。薫も このことを知って悲嘆にくれる。夏になって、薫は 新たに妻の姉女一宮に心引かれるものを感じ るのであった。

 手習(薫二十七歳三月から二十八歳夏)
 浮舟はじつは死んでおらず、横川の僧都によ って助けられていた。やがて健康が回復した彼女 は、みずからの名をあかさないまま、入道の志を 僧都に告げ髪を下ろす。やがて、明石中宮の 加持僧である僧都が浮舟のことを彼女に語った ため、このことが薫の知るところとなる。

 夢浮橋 (薫二十八歳夏)
 薫は横川に赴き、浮舟に対面を求めるが 僧都に断られ、浮舟の弟小君に還俗を求める 手紙を託す。しかし浮舟は一切を拒んで仏道 に専心することのみを思い、返事すらもない。 薫は浮舟に心を残しつつ横川を去るのであった。


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     2013年8月24日 土曜日 修正