第12回、「3バック、4バック」


 ジーコJAPANは、今開催中の東アジア選手権で3バックを敷いている。その前までは言うまでもなく4バックだった。
サッカーにはいろいろなフォーメーションがある。が、大雑把に言ってしまえば、3バック(5バックもあるが、3バックの変形ヴァージョン)か4バックのどちらかになる。
今、世界の主流は4バック(4−2−3−1、4−4−1−1、4−1−4−1など)である。そのため、ジーコ監督も4バックを採用した。
 3バックと4バック。どちらが攻撃的かというと、状況によるとしか言いようがない。 まあ、あの加茂監督は「3バックは守備的、4バックは攻撃的」などとのたまっていたが、そんなことは一概に言えない。
 3バックとはセンターDFを3人置く。基本は2人が相手2トップをマークし、(下がり目に位置する)余った1人がカバーリングに入るパターンである(3人が横並びのフラットもある)。
対して、4バックとはセンターDFを2人しか置かない。
加茂説は、センターDFの人数の多い少ないで攻撃的か守備的かと言っているだけの話である。
 攻撃するためには、まずチームがボールを支配していなければならない。そのためにはボールを奪わなければならない。
サッカーは攻守が即座に入れ替わるスポーツであるのに、こういった点を無視しておいて、「このフォーメーションはどうだ」などと言っていても意味がない。
アトランタ五輪代表チーム(監督は西野朗(現、ガンバ大阪監督))が守備的だと言うのはのも、当然無意味で馬鹿げた行為である。
 3バックと4バックの特徴を簡単にまとめてみよう。
 3バックは(フラットであろうがなかろうが関係なく)MF・FW登録の選手が7人(4(MF)−3(FW),5−2,6−1)いることになる。
3−4−3を除けば、両サイドはそれぞれ1人で受け持つことになる。(4−3でも同じだが)サイドMFの裏に広大なスペースができ、そこが弱点となる(両サイドが圧力に負けて下がってしまうと5バックになる)。相手が1トップの時、センターDFが1人無駄になってしまうという欠点もある。
また、3人のDFがフラットに並ぶか、中央のDFが(ジュビロの田中のように)他の2人より前に位置しないと、DFラインが下がってしまいプレスが掛けにくいという問題もある。
長所は、後ろに1人余る形になっているので、リスク管理(カヴァーリング)がしやすいこと。あとは、中盤より前に人数を掛けやすいことがある。
 4バックはフラットであろうとなかろうと、センターDFは2人(サイドDFも2人)になる。MF・FW登録の選手が6人(4(MF))−2(FW)、5−1、3−3)いることになる。
中盤の選手が真中に固まらない限り、両サイドはMFとDFの2人となりサイドの攻守のバランスがとりやすい。
また、フラットになる(もしくはセンターがやや後ろ目でフラットになる)形が取りやすいため、3バックよりプレスをかけやすい。
問題はセンターDFが2枚しかいないので、この2人に高い能力が要求されること(抜かれれば即大ピンチ)、サイドDF・ボランチに高いカバーリング能力が求められる。
そして、攻撃時にサイドDFのフリーランニングを求められることが多くなる(もちろん、チーム戦術によって変わる)。
大雑把に言ってしまうと、3バックでは両サイドMFの裏にできる広大なスペース、4バックではセンターDFの裏が大きな弱点となることが多い。
 ここから先はDFに話を限定する。
3バックのDFはフラットであろうとなかろうとセンターDFである。
そして、フラットでない場合はスイーパー1人+ストッパー2人の組み合わせが主流となる。
スイーパーにもっとも求められる能力は当然、危機管理能力・カバーリング能力(aー判断力)である。そして、コーチング能力(bー統率力)、対人守備能力(c)。日本人DFでこの能力が高い選手を上げていくと田中(磐田)、宮本(G大阪)くらいである(引退した井原も該当する)。
ストッパーは2タイプに分かれる。高さ+強さ(d)のタイプと、スピード+粘着力(e)のタイプである。ストッパーの最大の仕事は相手FWを自由にしないこと(言い換えれば1on1に強いこと)。そのため、相手FWのタイプにあう選手と対峙することになる。そのため、多少カバーリング能力が低くても問題にはならない。
高さ+強さのタイプに入る選手は、中澤(横浜M)、秋田(鹿島)、小村(仙台)、古賀(名古屋)、山口(G大阪)あたり。
スピード+粘着力タイプの選手は、鈴木(磐田)、大森(名古屋)、中西(市原)、(今年はサイドで起用されたが)森川(仙台)あたり。
両方(高さ・強さ+スピード)兼ね備えている(f)のが、松田(横浜M)、坪井(浦和)。
3バックならば、(ストッパー・スイーパーと)DFも役割が違ってくる。
フラットの場合は、求められる要素が4バックに近くなるので、4バックの選手とあわせて考えていく。
 4バックの場合は次のとおりになる。
まず、センターDF(これは3バックのフラットと同じ)。簡単に言えば3バックに出た条件の(a)(b)(c)の全てを兼ね備えている(f)タイプの選手になる。
が、そんな選手は日本人にはいない。
(今後の成長を見込めないベテラン選手を除いて考えると)近いところにいるのが松田(aに難あり)、田中(dに難あり)、宮本(dに難あり)、坪井(a・bに難あり)、中澤(b・eに難あり)、大森(dに難あり)、鈴木(b・dに難あり)あたりか(この選手に対する評価は私が見て推測したものです。)
フラットの場合は4バックと比べて求められる要素はa・bが強くなる。
そして、両サイドDFに求められる要素は、対人守備能力・運動量・カバーリング能力となる。
もちろん、攻撃力(ドリブル・パス・クロス(センタリング)の精度)が有るにこしたことはないが、それは2次的なものでしかない(攻撃時の主な役目はサイドMFのフォローとなる)。
適役の選手はと考えると、(本職の選手では)右サイドは市川(清水)、名良橋(鹿島)、徳永(F東京)くらい。ポジションは違うが、大森(名古屋)、酒井(名古屋)あたりも可。
左サイドは相馬(鹿島)、服部(広島)くらいしか思いつかない。ポジションは違うが、中田(鹿島)かな。
そのため、ジーコ監督はサントスを左DF、山田を右DFとして急場をしのいでいる。が、当然、弊害は出ている。それについて、今書こうとは思わない。
 DFのみで話を進めたが、現在の日本代表を考えると、好む・好まざるに関わらず3バックにせざる得ないと思う。
理由は簡単。4バックに適応している選手がいない(極端に少ない)からである。
初めにシステムありきではない。選手の個性に合ったシステムを組む。そうすることによって選手の能力は発揮される可能性が高くなる。
だから、「3バック」「4バック」はどちらが攻撃的か?というのは無意味な考えである。
最も重要なのは、選手の能力を発揮させること。それによって、ボールを保持し(奪取し)攻撃をするという流れになる。
 今回はDFのみにスポットを当てて「3バック」「4バック」を考えてみた。
当然のことながら、MF・FWとの連関も考えていかないと意味がない。実際、「3バック」「4バック」といってもいろいろなパターンがある。
が、今回はここで切っておきます。システム・フォーメーションに関しては近いうちにまたやります。

(DFの必要能力、選手の能力については私の考えですので、考え方が違う方がいるのは当然のことです。)
(フォーメーションはキックオフの時以外は何の意味ももたない(その通りのポジションを取っていることはほぼない)。)


雑感、第1回〜20回へ戻る
フィールドのカタルシスへ戻る
トップページへ戻る