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表紙イラスト・天野天街
緒言
 劇団の十年史として、この本は一風変わっていると見えるかも知れない。それは表面的には編集人のデラコッタ趣味−口の悪い友人なら、ゴッタ煮趣味と言うだろうが−充溢であり、水面下では編集人本人が当のpH-7の十年を全く知らないという事がある。
 既知の一年をして、十年を連想しうるという程の達人とは縁の遠いデラコッタ狂人が編集するという奇妙さが、この本の総てであるが、凡そ考えられないこうした事態に力を貸した菱田一雄氏はこう云う、即ち、備前がウチの十年史を編集しようというのは、ペーハーの未知な部分に対する好奇心であると。そして、「十年ノ水」編集によってその好奇心が満たされてしまえば、お前はウチから離れて行くだろうと。
 だが、幸か不幸か「十年ノ水」編集によってお前の好奇心は十全には満たされなかった。
 pH-7は依然として謎の塊である。お前は思いつくままにその謎を並べてみる。
ひとつ、美尾りりこは何故、なごやんの皮を先に食べてしまうのか。ふたつ、嶋田直美にはなぜ、彼氏がいないのか。みっつ、心労居士たる菱田一雄の体重な何故、ぐうたら狂人の備前を上回っているのか。
 が、何よりこの本を奇妙な形にしたのは、印刷方法を途中変更した為に、編集人が本の演出を降りなければならなかったという事態である。御覧の通り、オフセットよりも一段と鮮明な文字面ではあるが、為に頁数・字数伴に限定され、十年史の案内役から編集人は降りざるをえなかった。そこで言わ猿たる備前は、見え猿をえなかった。読者諸君は、これから実に様々な頁に出合いながらこの本を辿って行かれる事と思うが、それこそ、派手なコスチュームで見て、見てとウルサイ編集人に自我の姿なのである。
               (レオナルド備前)
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