ロワゼ・コンペール
Loyset Compère
1450年頃生-1518年8月16日没



MIDIサンプル


我等が神、救い主たるイエスの生誕ミサ
Missa in Nativitate Dei Nostri Jesu Christi

全曲
(19'09)

今日我等が為に乙女より救い主が(イントロイトゥス)
Hodie nobis de Virgine Christus (loco introitus)
(2'37)
Hodie nobis de Virgine Christus nasci dignatus est.
hic praesens testatur dies, currens per anni circulum,
quod solus a sede Patris mundi salus advenerit.
venite, adoremus, parvulus filius et vocabitur nomen eius Emanuel.
venite, gentes et adorate Dominum quia per ipsum omnia facta sunt.

今日我らが為に乙女より救い主が生まれんとす。
今日のこの日は一年の輪を周りて告知する、
只ひとり、御父のもとより世の救いがあらわれんことを。
汝ら、来れ、ともに崇めん、幼子の息子は、かのエマヌエルの名前で呼ばれん。
人々よ、来れ、そして主を崇めよ、なぜなら彼その人によりて全てが作られし故。


恵まれし神の産み手たるマリア(グローリア)
Beata Dei genetrix Maria (loco Gloria)
(2'01)
Beata Dei genetrix Maria,
cuius viscera intacta permanent,
Hodie genuit salvatorem saeculi.
Beata, quae credidit, quoniam perfecta sunt omnia,
quae dicta sunt ei a Domino.
恵まれし神の産み手たるマリア、
その肚は汚れずに留まれり。
今日世の救い主を産みたり。
恵まれたり、神より語られし事を信じたる彼の女は
なぜなら全てが成し遂げられた故。


今日救い主が生まれ給うた(パトレム)
Hodie Christus natus est (loco Patrem)
(1'38)
Hodie Christus natus est,
et per totum mundum de caelo pax vera descendit.
hodie nobis salvator noster et caelorum rex
de Virgine nasci dignatus est,
ut hominem perditum ad caelestia dona revocaret.
hodie in terra canunt Angeli,
hodie beata Dei genitrix filium genuit salvatorem saeculi.

今日救い主が生まれ給うて
世界中に天より真の平和来れり。
今日我らが為に我らが救い主かつ天の王は
乙女より生まれんとす。
哀れな人を天の国へと呼び戻さんがため。
今日地上で天使が歌い
今日恵まれし神の産み手は世の救い主たる息子を産み給いし。


身ごもりし乙女は王を産み給いし(オッフェルトリウム)
Genuit puerpera regem (loco Offertorii)
(3'08)
Genuit puerpera regem,
quem laudant Angeli, throni et dominationes.
Christe redemptor omnium ex patre patris
unice solus ante principium natus ineffabiliter.
tu lumen tu splendor patris tu spes perennis omnium
intende quas fundunt preces tui per orbem famuli.

身籠りし女は王を産みたり。
彼と王座における支配を天使は讃える。
救い主よ、全ての罪の購い手よ、汝は父の父より
唯一始原より前に得も言われぬ業にて生まれ給いし。
汝、光りであり、父の栄光、全ての者の永久の望みよ、
地上に溢れる汝の召し使いの祈りに心を傾け給え。


サンクトゥス - 御言葉が肉体となり給いし(ベネディクトゥス)
Sanctus -- Verbum caro factus est (loco Benedictus)
(2'38)
Sanctus, sanctus, sanctus, Dominus Deus Sabaoth.
Pleni sunt caeli et terra gloria tua.

Verbum Caro factus est.
et habitant in nobis.
et vidimus gloriam eius.

聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主たる神よ。
天も地も汝の栄光に満ちたり。

言葉は肉体になりけり。
そして我等に宿りたり。
そして我らは彼の栄光を見たり。


忘れ給うことなかれ、救いをなす者よ(ポスト・エレヴァツィオーネース)
Memento salutis auctor (Post elevationes)
(1'28)
Memento salutis auctor
quod nostri quondam corporis ex illibata imagine
nascendo formam sumpseris.
gloria tibi, Domine, cum Patre et Sancto Spiritu in sempiterna saecula.

忘れ給うことなかれ、救いをなすものよ、
かつて全き姿より生まれることにより
我らの肉体の形を作りし事を。
主よ、御父と精霊と共に、汝に常世にわたりて栄光あれ。


汝ら羊飼いたちが見た者は誰か(アニュス・デイ)
Quem vidistis pastores (loco Agnus)
(2'54)
"Quem vidistis, pastores, dicite, annunciate nobis,
quis apparuit in terris in choro Angelorum. "
"salvatorem Dominum, quem genuit puerpera,
cui nomen et aeternum et gaudia matris habens
cui virginitatis nec primam similem visa est nec habere sequentem."

「羊飼い達よ、汝らが見し者は誰かを語り、我等に
誰が地上の天使らの合唱の中で現れたのかを告げよ。」
「救い主たる主を見たり。彼を身籠りて産みしは
永久の名前と母の喜びを持ち、
以前も以後もその純潔に似たものを持つことは見られぬような者。」


おお、驚くべき交わり(デオー・グラツィアース)
O admirabile commercium (loco Deo gratias)
(2'54)
O admirabile commercium!
humani generis creator ex virgine nasci dignatus est.
Christus natus est nobis,
per quem salus aeterna mundo apparuit.
beatus auctor saeculi servile corpus induit,
ut carne carnem liberans ne perderet quod condidit.

おお、驚くべき交わりよ。
人類の造り手が乙女より生まれんとしたり。
救い主は我らがために生まれし。
彼によりて世の平安が現れたり。
恵み深き世の造り手は賎しき者の肉体を纏いたり。
肉体に肉体をつり合わせ、彼の創りしものを壊さぬがため。


モテット「花嫁の付き人は」
Motettus "Paranympus"
(2'06)


シャンソン「万歳、高貴なる王」
Chanson "Vive, le Noble Roy"
(0'52)


モテット「おお、善きイエスよ」(偽作?)
Chanson "O bone Iesu"
(2'26)
コンペール作曲として伝わっているものの、偽作の疑いもある作品で、スタイルの上からもコンペールによるものではないと思います。とはいえ、シンプルな構成の中に味わいのある佳曲です。




CDその他


Orland Consort:
Loyset compère.
METRONOME, MET CD1002-01.

 コンペールのみを集めた、極めて珍しいCDです。録音は10年程前ですが、すでに活躍目覚ましいころのオルランド・コンソートによる演奏です。今や老舗のオルランド・コンソートですが、この頃のほうがもっといい演奏のような気がするのは気のせいでしょうか。

 冒頭を飾る曲は、カンブレの大聖堂の献堂の際に、まさにギョーム・デュファイのMissa Ave regina coelorumと共に、錚々たるフランドル楽派の面々と共に演奏されたと思われるOmnium bonorum plenaです。これはヒリヤードなどによっても演奏されていますが、オルランド・コンソートのこの演奏はより深い情感をたたえた名演奏になっています。

 シャンソンが幾つか収録されていますが、殆ど耳にされる機会のないこれらのシャンソンがかなり面白く、コンペールがこの分野をかなり得意にしたであろうことが分かります。モテットでは、当時もっとも有名であったコンペールのAve Mariaが情感深く演奏されています。フロットラの分野では、ジョスカンも作っているScaramellaが緩急巧みに演奏されています。

 このCDの圧巻は、なんといってもモテット・ミサのMissa in Nativitate Deus Noster Jesu Christe (MIDIにしています)です。クリスマスのキリスト降誕祭に歌われるミサを、一貫したモチーフと歌詞のモテットに差し換えて統一したのが、このミサ曲で、決して派手な曲ではありませんが、やや暗めのしっとりとした曲調と、それぞれの曲の後半で、恐らく三位一体を象徴するプロポルツィオ・トリプラが印象的な名曲で、それに相応しい好演です。

 重要な音楽家でも、現在の知名度が低いとほとんどCD化されないCD業界を考えると、次にオール・コンペール・プログラムのCDを期待するのはかなり難しいと思われますが、考え様によっては、この一枚のCDで音楽家の技量が確実に見て取れるというのは、コンペールに取っても我々にとっても、幸福なことかもしれません。




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