ジル・バンショワ
Gille Binchois (Gille de Bins)
1400年頃生-1460年9月20日没



シャンソン(ロンドー)「もし私がただ少しの望みを持っていたら」
Chanson (Rondeau) "Se j'eusse un seul peu d'esperanche"
(5' 45)


シャンソン(ロンドー)「次第次第に」
Chanson (Rondeau) "De plus en plus"
(4' 27)
De plus en plus se renouvelle 次第次第に新しくなるのは
Ma doulce dame, gente et belle, 我が愛しく気高く麗しき婦人よ、
Ma volonté de vous veïr 私のあなたに逢いたい気持ち。 (A)
Ce me fait le tres grant desir それを私に作ったのは、あなたから新しいことを聞きたいという
Que j'ai de vous ouir nouvelle. 私の非常に大きな望み。(B)

Ne cuidiés pas que je recelle 私がそんなふりをしているだけだなどと思わないで欲しい
Comme a tous jours vous estes celle なぜならあなたはいつも
Que je vueil de tout obeir. 私が全てにおいて従いたいと思う人だから (a)

De plus en plus etc. 次第次第に... (A)

Helas, se vous m'estes cruelle ああ、もしあなたが私に冷酷な人なら
J'auroie au cuer angoisse telle 私は心中に持つことだろう
Que je voudroie bien morir. 私は本当に死んでしまいたいという苦悩を。(a')
Mais ce seroit sans desservir だがそれは別れることなしに起こるだろう
En soustenant vostre querelle. 貴方の不満を認めながら。(b)

De plus en plus etc. 次第次第に... (A)

Ce me fait etc. それを私に作ったのは...(B)


ミサ断章「グローリア」
Fragmentum missarum "Gloria"
(7' 33)


シャンソン(ロンドー)「ああ、私は悲しくも語った」
Chanson (Rondeau) "Ay douloureux disant, helas!"
(7' 40)


シャンソン(ロンドー)「さらば、我が愛よ、そして我が恋人よ」
Chanson (Rondeau) "Adueu, m' amour et ma maistresse"
(4' 26)


シャンソン(ロンドー)「愛と、そして貴女がそれについて考えた事」
Chanson (Rondeau) "Amours et qu' as tu en pensé "
(3' 10)


シャンソン(ロンドー)「愛と彼女の思い出」
Chanson (Rondeau) "Amours et souvenir de celle"
(4' 03)
NEW


シャンソン(ロンドー)「悲しき喜び」
Chanson (Rondeau) "Tristre plaisir"
(3' 43)
NEW



CDその他



Dominique Vellard指揮Ensemble Gille Binchois:
MON SOUVERAIN DESIR: GILLE BINCHOIS Chansons.
Virgin Classics, Veritas 7243 5 45285 2 1.
NEW

 デュファイの音楽史上の重要さが余りにも大きいため、どちらかと言えばあまり演奏されることの少なかったバンショワのシャンソンの魅力が、デュファイに優るとも劣らないすばらしいものであることを再認識するには格好のCDです。

 演奏しているのはまさにバンショワの名前を持つグループ、アンサンブル・ジル・バンショワです。今までオール・バンショワのアルバムは出していませんでしたが、万全を帰してのこのCDは、彼等の名前に相応しいものになっています。

 特筆すべきは、我らがカンターテノール、太刀川昭さんが参加されていて、実に見事な歌声を聞かせてくれることです。例えば、ソロを歌っているDe plus en plus「次第次第に」は、跳躍や細かい音符を実に典雅に歌いこなし、おそらくは歌詞も深く理解しながら、詩をかたるように歌っています。日本でカウンターテノールは今は珍しくはありませんが、このように深い歌い方をできるのは、おそらく太刀川さんだけではないでしょうか。バンショワも没後500年以上も立ってから、この曲が日本人によってこのようにすばらしく演奏されるとは想像もつかなかったでしょう(当然といえば当然ですが)。

 もちろん、このCDの他の歌手もすばらしい演奏をしています。歌いまわしは実に典雅で、それを適切に選んだ器楽がそっと支えているスタイルは、まるで宮廷で演奏をされているかのようです。幾つかの曲は、器楽をヴォーカライズして歌っていますが、これもイギリスのグループなどのやりかたが奇を衒っているように見えるほど、巧みに自然に演奏しています。

 バンショワのCDは、まともに聞くことのできるものは、実にマンロウ以来はほとんどなかったと言っていいだけに、この録音は本当に嬉しいものだと思います。そのすばらしいCDに、日本の太刀川さんが参加されているのは、素直に我々は誇りに思うべきでしょう。




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