[MSX] ハイドライド

>>TOP PAGE


■STORY

 この伝説は、今私たちが住んでいる世界とはまったく別の空間での物語です。ここは、妖精の住む王国、フェアリーランド。ここは王様の住んでいる宮殿を中心に広がっている、緑の美しい平和な王国でした。この宮殿には三種類の不思議な宝石が祭られており、その宝石によって王国の平和は保たれていたのです。人間と妖精達はこの世界でお互いに共存し助け合いながら、仲良く暮らしていました。

 ところがある日、悪心を起こした人間によって宝石のひとつが盗まれてしまったのです。数が足りなくなってしまった宝石は、その輝きが鈍くなってしまい、遂に宝石によって封印されていた、神話伝説最強といわれる悪魔バラリスが目覚めてしまったのです。

 バラリスの魔力によって残りの宝石もいずこかへと飛ばされてしまい平和であったフェアリーランドも崩壊してしまいました。
 国王のプリンセス、アンもバラリスの魔力によって妖精にされて、いなくなってしまいました。王国を崩壊させたバラリスは、国のあちこちに怪物を放ち、人々の心を恐怖と絶望が支配したのです。

 この悪魔の悪行に耐えかねた一人の勇敢な若者が、王国の復興を願ってたちあがりました。
 彼の名はジム。ジムは人々の希望を一身に背負って、たった一人で怪物に挑戦していったのです………。


■新ジャンルを開拓!!

  

 HYDLIDE II 、HYDLIDE 3と先に記事にしておいて、今更ながらな気がしなくもありませんが、T&E SOFTの不朽の名作”ハイドライド”を今回お送りします。本作は”アクション性のあるRPGゲーム”=”ARPG”というジャンルを開拓した、元祖ARPGのゲームです。

 当時のRPGと言えば、マイコンなどのテレビゲームより、ボードゲームやゲームブックといった違うメディアの物のほうが、優れた作品が多く、ゲーム化する場合もRPGというジャンルよりも、アドベンチャーかアクションのジャンルにされる事が普通でした。
 それにRPGというジャンル自体があまり認知されておらず、ウィザードリィやウルティマなどの古典RPGもあるにはありましたが、海外製のマイコンでしかプレイできず、英語の読解力も必要だった為、まだまだRPGはマニアがプレイする域を越えていなかったのです。

 アクション性の高い体当たりによる戦闘、1画面切り替え式のフィールド、視覚的に分かりやすいステータス配置など、誰もが取り付きやすいように丁寧に作り込まれたシステム面、見た目にも想像力をかき立てられるようなフィールドに、分かりやすいストーリー。
 ハイドライドは当時のユーザーに驚きと共に迎えられ、ほぼ全てのマイコン機種に移植されるという快挙を成し遂げ、本作は大ヒット作品となりました。

 ハイドライドが初めて発売されたのはPC88版で、発売日は1984年末。MSX版は1985の春先にテープ版が、夏にROM版が発売されたとのことです。管理人が本作を購入したのは、確か発売日より半年以上経っている1986年の梅雨前だったと思います。



  

 勇者の剣や正義の盾、永遠のランプなど、アイテムを入手すると画面下に並んでいくので気分がいいです。
 ステータス類やアイテムに敵のLIFEの状態など、ゲームの状況が視覚的にすぐに分かる事と、ゲームにアクションスタイルを取り入れたことによって、とにかく難しくなりがちなRPGというジャンルの敷居を下げ、RPGを誰でも取り付きやすくしたことは、やはり国産のソフトハウスのなせる技だったと思います。

 ハイドライドシリーズといえば、何かしら意地悪で難解な謎がひとつ用意されているのですが、初代ハイドライドでは最後のフェアリーの居場所が難問でしょうね。最後のフェアリーは「魔法使いの火の玉を5発以上受けてすぐに魔法使いを倒す」と見つけることができるのですが、魔法使い相手でレベルアップ作業をしない限り普通は分からないんじゃないかな…。

 アタックモードではなく、ディフェンスモードでも敵の体力を削れる事に気がつかないと、城のドラゴンやバラリスは倒せないでしょう。高レベルで普通に操作していたら、スライムとか勝手に倒しているだろうから、たぶん気がつくとは思いますが…。

 バンパイアの住む城に、ローパーの巣食う地上迷路、墓場に砂漠、呪われた騎士のいる地下迷宮に、動き回る樹や岩の不思議。
恐ろしい海竜のいる水路を抜けると、ドラゴンの守護する城があり、奥には大悪魔バラリスがこのフェアリーランドを支配している…。
 想像力をかき立てられるような、目まぐるしく変わるハイドライドの世界観は、この初代からの伝統でしょうか? ハイドライド三部作のラストのセリフではないけど、まさしくフェアリーランドは不思議がいっぱいです(笑)




 管理人が本作を知る数ヶ月前、管理人の周囲では”ゲームブック”というものが流行していました。”ゲームブック”という物を凄く簡単に説明すれば、本というメディアでプレイするアドベンチャーゲームのようなものです。

 段落ごとに番号が振ってあって、各段落では状況説明の書かれた文章と、自分が取れる行動の選択肢から成っていて、選択肢には次に読む段落が指定されてあり、自分で選択した行動の段落をたどりながら、その物語の目的を達成するという、読書とゲームを融合したようなものでした。

 国内でのゲームブック第一作は”火吹き山の魔法使い”というタイトルの、ファンタジー世界での冒険物だったせいもあり、”火吹き山”が流行して以降、ゲームブックはファンタジー世界の冒険物が数多く発売されるようになっていました。

 友人達とゲームブックを貸し借りしていく内に、管理人の周囲では自分でゲームブックのような物を作るような流れになり、ノートを持ち寄り、ダンジョンや墓場や建物の地図を描いて、罠だとか吸血鬼やゾンビなどの自分達が知っている限りのファンタジー世界のモンスターを配置して、冒険に必要なアイテムや、冒険の目的や報酬である宝物を考え、それらの材料をもとに文章を作って…、と、皆でワイワイ言いながら楽しんでいました。

 管理人がハイドライドを知ったのは、友人の家でファミコンの”ハイドライドスペシャル”を見せられた時でした。
 友人より説明を受け、実際に手に取らせて貰った時、「ゲームブックがテレビに映っているの!?」という印象を思いっきり受けました。
 ヴァンパイアがいて十字架があり、墓場にはゾンビがいて、マス目のようなダンジョンがあって、素晴らしい宝物や魔法のアイテムが隠されていて、川の向こうにはお城に巣食うドラゴンがいて、話によると城の奥には悪い大悪魔がいる…。
 謎に満ちたフェアリーランドは、不思議とファンタジー満点の冒険があり、自分はお姫様を助ける勇者になる!
…そこにはまさしく、ゲームブックがそのまま飛び出してきたかのような世界があり、管理人はすぐに心が奪われた事を憶えています。

 後にしばらくして誕生日にかこつけてMSX版のハイドライドを入手したのですが、見た目で初日はショックを受けましたが、何度も何度も繰り返しクリアしました。三匹目のフェアリーの居場所が分からず、攻略本や雑誌を見るようにもなり、世間ではハイドライドIIが話題になっている! と別の衝撃も受ける羽目になりましたが(笑)




  

 こちらはファミコン版のハイドライドスペシャルの画像になります。T&Eではなく東芝EMIによる移植でした。
 時期的にハイドライドIIがちょうど発売された後だった事もあり、ハイドライドをベースに魔法やマルチウインドウなどのIIのシステムも採り入れられ、オリジナルの敵に、当時のファミコンで流行していた”隠れキャラ”や、魔法を謎に絡めてある部分など、いろいろと丁寧に作り込まれていて、元マイコンユーザーの管理人から見ても素晴らしい出来の移植作となっています。

 ハイドライド自体がマイコン界で大ブレイクした実績があった事もあり、本作はテレビCMを流したり、テーマソングを作ったりと、宣伝面には相当に力を入れていましたが、ファミコンのユーザーにRPGというジャンル自体の受け皿が微塵も無かった事もあり、ファミコン初のRPGである当ハイドライドスペシャルは華々しく散り、当時のワゴンセールの主としての地位を固める結果となりました…。

 やはり、マイコンでどれだけ大ヒットしても、より年齢層の低いユーザーにはウケが悪かったのでしょう。初代ドラゴンクエストですら、あれだけの作り手を揃え大々的な宣伝をしてたのにも関わらず、人気が出るまでにしばらくの時間を要した事だし。
 当時の販促用のチラシの申し込み用紙部分の文章に「友達といっしょに申し込むと便利ダヨ。」の文字があるのですが、結果を知るだけに涙無しには見れません(笑)


 ファミコン版の大失敗をよそに、ハイドライドは続編が作られ、当然続編も素晴らしいヒット作となりました。平地に森に砂漠に墓場にと、シンプルで分かりやすいフィールドの変化や、取り付きやすいストーリーは、以降のIIも3にもきっちりと受け継がれています。

 昨今のRPGをアニメや映画とすれば、本作初代ハイドライドは童話や軽めのファンタジー小説といったところでしょうか? ボリュームも短めだし、ちょっとした合間に気軽にファンタジーの世界に触れるには丁度いいと思います。

 RPGというジャンルを国内で世間一般の物として確立させたのは”ドラゴンクエスト”でしたが、それ以前に国内のマイコン機種でRPGの土台を築いたのは、間違いなく本作”ハイドライド”でしょう。



>>TOP PAGE
2011/2 初版