神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

足尾山塊・栗原川砥沢(八林班沢〜六林班沢下降)

2015年10月10日〜11日



”急に両岸が切り立ったゴルジュになり奥に大膳滝が見える。”



   基本的に今まで沢登りは山の、より自然度の高い部分に入り込んで行く 感覚に魅力を感じ、楽しんできたが今回はちょっと毛色の違う山行に同行 させてもらえることになった。

 足尾山塊の群馬県側、栗原川の支流沿いにはかつて足尾銅山へ供給する 木材を伐採し運搬するための集落が幾つかあったらしい。沢を遡行しなが ら今でも残るその痕跡を探索することも目的とした山旅だ。



 アプローチは皇海山の登山口へ続く栗原林道から。過去の記録にあった 入渓点の目印の白布を探しながら車を走らせるも見つからず、明らかに行 き過ぎたので駐車可能な場所に停まり現在地を確認。ここで谷側の斜面を 見ると赤テープと踏み跡がある。偶然にもここが最終的に沢から林道に復 帰する予定の地点だったので車を置いて歩いて林道を戻ることに。

 目印は見つからず、少し早いけれど薄い踏み跡のある尾根を下ると最後 が厳しく懸垂に。途中20センチ角くらいの岩に足を置くと軽く土に埋まっ ていただけで簡単に外れてさらに周りも崩れてしまった。 スネで押さえて いる状態でどう仕様もないので下に声をかけて落とすとゾッとするような 凄い音で下の岩も巻き込みながら落下。改めて懸垂ではよほど気を付けな ければいけないと思った。

 沢に降りた時点でUさんのスマートフォンが不調でGPSによる現在地確 認ができなくなる。入渓予定地点であり今回の目的地の一つでもある源公 平址よりは上に居るはずなので沢を下降することに。20分ほど下って10時 頃に源公平に到着。古い石垣が残る他は生活の跡は殆ど分からないが、苔 むして寂れた石組みは何となく趣がある。

 ここから改めて遡行開始。広いナメと小滝(といっても幅広でなかなか の見ごたえ)が続き、全面茶色くヌメるけれど谷は明るく木々も紅葉し始 めていて美しい。しばらく進むと急に両岸が切り立ったゴルジュになり奥 に大膳滝が見える。その上は方向が変わっていて見えないけれど何ものか ありそうな雰囲気。手前が深い淵になっていて、泳ぎはもう辛い気温なの で左壁を伝って滝まで行ってみることに。行き詰まって落ちても最悪冷た いだけなので際どいヘツリが楽しい。どうしても無理そうな部分はハーケ ンが一つ打ってあったのでスリングを掛けて越え、大膳滝の上へ。上部は 立派な滝がさらに二段続いていた。後で滝マニアの記録などを見るとここ が三段の滝ということなので下の大膳滝を含めてということだろうか。さ て、ここは巻きなので写真を撮って戻る。限界までヘツって最後は落ちて 腰まで浸かりつつ元の場所へ。さらにすこし戻って北側の枝沢を登って巻 くと石積みの残る円覚址に出る。


 あまり広くはなく周りは斜面、どうして 此処に?という場所だが調べてみるとここは集落跡というより当時、“架空 索道の停車場”があった所らしい、、、って何それ?、、要するにロープウ ェーのことだという。最盛期は100年ほど前のことだ。驚愕!現地では何 なのか分からなかったけど確かに太いワイヤーが残っていた。源公平から 滝を避けて砥沢を結ぶにはこの位置に停車場が必要なのは理解できる気が する。それにしてもこんな山の傾斜地にそんなものがあったとは!索道は 砥沢からさらに六林班峠を越えて足尾銅山のある栃木側の銀山平の製材所 まで繋がっていたというから凄い。

 遡行中はそんなことは知らず、大膳滝の先で分かれた不動沢を落ちる円 覚滝を右下に見ながら少し上がるとその落ち口に出る。ここで不動沢を渡 り、残置ロープを使って砥沢との間の尾根に上がり踏み跡をたどって1105 ピークへ。トラバースになる踏み跡を進むとやがて道が分かれる。迷いつ つ沢の方へ下るとちょうどツバメ沢の出合(右の写真)に出た。この先小さな滝が続 き、どれも釡が深くて綺麗だ。水を避けて小さく巻きながら進み、やがて 立派な石組みの堰堤が現れる。これも古そうでなんだかかっこいい。この 上も大きな釡と小滝が続き、15時頃に六林班沢と八林班沢の出合でテント を張る。このあたりはもう砥沢の集落跡の一部のようだが探索は下降時で この日は焚き火を楽しむ。

 翌日は朝から曇り、一時小雨が降るものの大したことはない。テントを 残し、余分な荷物をデポして出合から八林班沢を進む。この先も釡を持っ た小滝とナメが続きなかなか良い雰囲気。一時間ほどで石組みの堰堤が現 れ、その先すぐの新しい大きな木造風の堰堤を越えると砂利で埋めた斜面 (重機を入れるための通路と思われる)となり、すぐ上の林道へ上がる。

 紅葉した山々の眺めの良い林道を北に進み六林班沢に架かる橋の手前の 踏み跡から沢を下降していく。古そうな堰堤をひとつ懸垂で巻き下り、す こし行くと石積みが現れ、砥沢址になる。ここは周辺で一番大きな集落跡 でかなり広く、立派な石組みも残っていて往時を偲ばせる。ここに縁のあ る人達が利用するための皇海荘という小屋もある。左岸の踏み跡をたどっ て行くと八林班沢との間の尾根のトラバースになり、途中、石組みの通路 から八林班沢側へ抜けられる。踏み跡に沿って尾根から沢に下るとそこが テントがある出合だった。

 テント場の上にはトラバースの踏み跡らしきものがあり、それを使って 前日の1105ピーク先で分岐した道と繋げられるかもしれないとの狙いで沢 から離れて行くことにする。

 踏み跡は不明瞭になったり上にも下にもあったりで迷う。やがてトラバ ース道は不明になり、分かり易そうな上の尾根まで、急登を三人とも木の 杖を突き突き(背中には途中で拾った鹿の角付き頭骨を括り付け)喘ぎな がら上がり、迷いつつも1105に戻って不動沢に降りたのが14時頃。急な 尾根の踏み跡を登って林道の駐車場所までは30分弱だった。

 今回はこれまでにない沢の楽しみ方を体験できた山行だった。後から調 べてわかったことも色々あり、沢自体も面白く、さらに興味が広がったの でもう少しこの地域について調べて、また訪れてみたいと思う。
(記事:Is)


10月10日 天気 晴れ
栗原林道駐車場所08:00〜10:00源公平址〜11:00大膳滝〜12:00円覚址〜13:15 ツバメ沢出合〜14:50テント場

10月11日 天気 曇り一時雨
テント場06:30〜08:00八林班沢上の林道〜08:45六林班沢下降点〜10:00砥沢址〜 14:30駐車場所

メンバー:U、F、Is