神奈川県の「山の仲間 浮雲」の記録です


山行記録

明神岳東稜から主稜ソロ

2015年5月1日〜2日



”ようやくラクダのコルに1530到着。遅すぎる!”



 前夜、11時前に「風穴の里」に着いて車中仮眠。翌4時に沢渡駐車場に移るが、まだ早いので二度寝して 5時半ごろにたまたま3人組と一緒にタクシーに乗って上高地へ。ラッキーだった。 明日からの本格的gwを前に、まだ混雑はなかった。

 6:20に河童橋を出発し、明神館から旧養魚場先の丸太橋を渡る。昨年6月の明神のとき、 パートナーがはまった丸太橋は新調されていてはまりようがない。 宮川のコルまで雪はなし。ここで、先行する2人が遠くに見えた。上宮川谷からは 雪の上を歩き最後やや急な雪面を抜けると瓢箪池だ。1100到着。時間かかりすぎだ! 先行の二人は第一階段に取り付いていた。まあ、彼らには追い付くことはないのでゆっくり行こう。

 東稜を眺めると、第1階段に雪はまったくなくその先から雪がついている。 ひょうたん池から雪の斜面を一登りで第一階段だ。するとなんと、先行パーティのセカンドが 登っているところだった。難しいのか?私はとりあえず空身で出だしを試してみる。 重荷だと出だしが微妙だ。ザックを背負って、「えいやっ」と越えて、草付の階段を越えた。 その後、二人組を追い越すと急な雪面に(溶けた)トレースがいくつかあるが、一部は怪しい。 東稜は基本的に明瞭なリッジで左にルートをとる。右に登れそうな雪壁があっても左のリッジに 向かうべきだ。無雪期の経験が役に立つ。ただし、そのまた左は切れている。ラクダのコルまでは、 夏道を交えながら雪稜を行くが、夏道は場所によりとても狭い(細い)ので見逃さないことだ。 この日の松本の最高気温は27度らしい。雪は腐っていて美味しくないアイゼン団子を作り、高度感の ある雪稜ではステップが崩れて冷や汗ものだ。

 ようやくラクダのコルに1530到着。遅すぎる!ここに1200までに着いたなら、先を目指そうと密かに考えていた。 何が足りないのか?体力不足と言ってしまえばそれまでだが…。ということでここで幕営。

 場所を整理してテントを張る。そうだ、水も作らなくてはいけない。雪山から遠ざかっていたので テント生活のカンがなくなっている。彼らはどうしたろうか?途中、雪稜をスタカットで登っているのが はるか下に見えた。私との時間差は2時間はあると思えた。まあ、遅くても1800にはここにやってくるだろう。 ところが、私がラーメン雑炊の夕食を終えて1800を過ぎてもやって来ない。まだ明るいが、この時間に 着かないということは何かあったのか。とにかく、彼らの無事を祈って1900就寝。

 バットレスは確保なしで登れるだろうか?できなければロープをどう使おうか?テントで横になってからも考えた。 夜は風が強くテントがひしゃげた。3:30に起きてラーメン雑炊をすすっていると明るくなってきた。やはり、 彼らのテントは無かった。心配だがとにかく自分が無事帰ることだ。テントを撤収し、目の前の岩に取付く。正面から 取付くべきだが、右の緩い雪面にトレースがあるのでそれに従い最後は灌木を越えた。その後のルンゼは雪壁からの 一歩がいやらしい。ルンゼを登って振り返ると、ラクダのコル手前のピークに彼らの姿が見えた。無事で良かった。 それにしても昨晩はどこで寝たのだろう。

 さて、バットレスだ。目の前にしてみると決断は早かった。重荷のフリーソロは止めよう。どうしても確信がもてない。 ここで滑れば間違いなくアウトだ。ロープがあるのだから死なない方法を探るべきだろう。 ロープの端をビレイ点のハーケン2本に結び、一方の端をハーネスに結んで空身で登る。 墜落距離が短くなるようにハーネスのロープを結び替えながら。 アイゼンだとスメアが効かないのでいつもの凹角直上はできない。 右にトラバースして上に抜けた。アイゼンでは辛いが、「ロープを張れば終わりなんだ」と自分に言いきかせて頑張る。 ビレイポイントに着いて一安心。でも、ここでまったりしている暇はない。ビレイポイントから懸垂してザックを 背負って登り返すが、目の前にロープがあるのはすごく安心だ。

 バットレスを無事過ぎたことで、出発前からの不安が解消。心が軽くなった。その後、明神頂上直下は雪がある。 過去の経験は直上の凹角であるが、トレースに従い左の雪面に取り付く。早朝の雪はしまっていてアイゼンがよく効く。 頂上を左から大きく巻くと1-2のコルに向かう道に出た。その道1分で明神頂上だった。頂上への出方”としては パットしないが今回はこれで満足。頂上で自分が写っている証拠”写真を撮って早々1-2のコルに向かう。コルの 梓川には雪がありテントを張るスペースが十分にあるが、この巨大なブロックが崩壊することはないのだろうか? アイゼンを外して無雪期の通りに取り付くが、雪があるので高度感はほとんどない。二峰に立つと、彼らがI峰直下に いるのが見えた。その後、頂上に着いて喜んでいた。

 主稜を降るが以前はいつも稜線をトレースした。今回は「巻まき」作戦である。もちろん雪はなく、ひたすら降る。 III峰の辺りで、登ってくる2人組と会った。2人は昨夜、V峰台地に幕営したという。彼らによれば、南西尾根に雪は まったくないらしい。南西尾根に入り暫く行くと右下に雪渓が見えてきた。 前明神沢の枝沢だろうか?尾根は夏と同じだから、 無理をして雪渓に入らなくてもよい。しかし、しばらく進むと「ここから沢に入りなさい」という声が聞こえた。 細い尾根に左から雪渓が入り込んでいるのだ。アイゼンを付けて沢に入ると素晴らしい速さで下降。 左に曲がり岳沢に平行に進んでからは 一般登山道に気を付けないと横切って通過してしまう。

 GWは今日からが本番だろう。上高地には11時になっても大勢の登山者がいた。 沢渡駐車場までの帰りも5人でタクシーに乗ることができ、再びラッキー。最初から最後まで幸運に恵まれた登山であった。

 このプランは当初二人のものだったが、パートナーのキャンセルで単独となった。 初めから単独ならこのルートは選ばなかったかもしれない。二人での計画に背中を押されて単独で実行した形だ。 ロープ(7mm*30m)とスコップを持っていくか直前まで迷い、悩みすぎでわからなくなった。 こんなに迷うくらいなら両方とも持って行こうと決断した。

 ロープがなかったらどうなっていたかと思うと、この判断は正しかったと言わざるを得ない。 いろいろな意味で良い経験となった。 バリエーションは足の揃ったメンバーで行けという。 あの二人パーティーはどうだったか?あの(良い)コンディションの東稜でラクダのコルに辿り着かないのは問題と思う。 一方、私は一人なので早く行動できたが、それでも予定時間を大きく遅れてしまった。 複数を連れてロープを多用したら彼らと同じことになっていただろう。 今後、計画を立案・実行する上で今回の経験を忘れないようにしたい。
(記事:G)


5月1日 天気:はれ
0620河童橋6:20〜11:00ひょうたん池〜15:30ラクダのコルTS

5月2日 天気:はれ
TS5:20〜07:00明神I峰〜10:30南西尾根から入渓〜11:20上高地バスターミナル

メンバー:G